2020/09/30
お城にゆかりの御城印・御朱印・武将印・御城印帳 【中国・四国編】6つの現存天守と毛利一族ゆかりの御城印
近年、登城の記念となる「御城印」が注目を集めています。多数の書籍が刊行されたり、テレビなどでも取り上げられたりすることもしばしば。どのような特徴の「御城印」が、どこで購入できるのかなど、一城ずつ城びと編集部が丁寧にご紹介! 今回は【中国・四国編】。毛利一族が大きな影響力をおよぼした中国地方と、現存天守が4つも残る四国には、どのような御城印があるのでしょうか…!?
御城印って? 中国・四国地方ではどこのお城が出しているの? その特徴は?
中国・四国地方の御城印の一部
「御城印」とは、 半紙(和紙)に城名やゆかりある城主の家紋や花押などの印を押したもの。お寺や神社でいただける御朱印を参考にして作られ始めて、今では多くのお城で登城の記念として頒布されています。「御城印」以外にも、「登閣記念印章」「登城記念御朱印」「城郭符」「御城朱印」など、呼び方は城によってさまざまです(本記事では「御城印」で統一します)。
中国地方は毛利元就の居城・郡山城をはじめとして毛利一族ゆかりの御城印が多彩! 現存天守が数多く残る四国からは丸亀城、松山城、宇和島城、高知城の御城印がそろいます。現存天守といえば中国地方の松江城と備中松山城の御城印もお見逃しなく!どんなお城のどんな御城印があるのか、見ていきましょう! ※掲載内容は、令和6年(2024)1月9日現在の情報です。掲載以外でも御城印を領布しているお城をご存知でしたら、編集部までご連絡ください。(城郭名は、100名城、続100名城に続き、北から南、もしくは東から西の順に掲載。掲載の許可を得られなかったお城の御城印はご紹介しておりませんので、ご了承ください)
鳥取城/米子城/太閤ヶ平陣
<島根県>
松江城/月山富田城/浜田城(歴代藩主版追記)/赤穴瀬戸山城/賀田城
<岡山県>
津山城/岡山城/備中松山城/備中高松城/高越城(高越山城)/猿掛城
<広島県>
福山城/郡山城/広島城/小倉山城/日山城/神辺城
丸亀城/引田城
<愛媛県>
今治城/湯築城/松山城/大洲城/宇和島城
<高知県>
高知城
改元を記念して作成された御城印。
江戸時代に鳥取城主だった鳥取池田家の代表的な家紋「丸に揚羽蝶」と「角輪紋」を配置。
特に「丸に揚羽蝶」は、鳥取池田家で最も使用された家紋。
「角輪」は、鳥取池田家が推奨した文武両道の精神を表しているといわれており、鳥取藩を構成する因幡(鳥取県東部)と伯耆(鳥取県中西部)を意味しています。
文字は鳥取市青谷町在住の書家、柴山抱海(しばやまほうかい)氏の揮毫。
揚羽蝶の羽ばたきに似せた鳥が飛翔する図案で、篆書体をアレンジしたもの。
押印されている鳥取城の印は鳥取市河原町中井窯製の陶印で、柴山氏の文字を書家の有田抱光(ありたほうこう)氏が篆刻。
用紙には、鳥取市青谷町の因州和紙を使用。
鳥取城(鳥取県鳥取市)
領布場所:仁風閣と、鳥取市歴史博物館(やまびこ館)※ 2館が休館日の場合は、鳥取市文化財団事務局(12/29~1/3除く)
価格:300円(税込)
▼鳥取城に関する記事はこちら
■登り石垣や竪堀などの発見で注目の「米子城」
米子市在住の書家・森田 尾山(もりた びざん)さんの揮毫。歴代城主の家紋をデザインしており、上から吉川氏「三つ引き両」、中村氏「立沢瀉」、加藤氏「蛇の目」。
■「鳥取城の渇え殺し」のとき秀吉が築いた陣城「太閤ヶ平陣 (たいこうがなるじん)」
天正9年(1581)の羽柴秀吉による鳥取城攻めの際に、秀吉が陣を置いた場所といわれている太閤ヶ平陣(たいこうがなるじん)。
「太閤ヶ平」の文字を挟んで、織田家「織田木瓜」・羽柴家「五三桐」と、毛利家「一文字に三つ星」・吉川家「三つ引き両」の家紋が対峙する配置となっています。
鳥取城の御城印と同様に、地元の書家である柴山抱海(しばやまほうかい)氏が揮毫、有田抱光氏が印制作と監修を担当。鳥取市青谷町の因州和紙使用。
太閤ヶ平陣(鳥取県鳥取市)
領布場所:仁風閣と、鳥取市歴史博物館(やまびこ館)。2館が休館日の場合は、鳥取市文化財団事務局(12/29~1/3除く)
価格:300円(税込)
<島根県>
■重要文化財から国宝へ「松江城」
松江産の和紙で作られた御城印。築城した堀尾家の「分銅」紋を中央に、京極家の「平四つ目結(ひらよつめゆい)」(左下)、松平家の「丸に三葵」(左上)と歴代藩主の家紋があしらわれています。
松江城(島根県松江市)
領布場所:ぶらっと松江観光案内所
価格:350円(税込)
松江城に思いを馳せた一つ一つメッセージが異なる御城印も販売されています(500円)。どんなメッセージかは買ってからのお楽しみだとか。
▶令和5年(2023)4月29日(土)~5月5日(金)のゴールデンウィーク期間限定で、朱色の民芸紙を使用した特別バージョンを頒布! 武勇に秀でた精鋭部隊の証である赤備えからヒントを得たもので、銀色の分銅紋と金文字をしたためています。1枚1000円(ぶらっと松江観光案内所にて販売。210枚限定)。
▶令和 4 年(2022)7月8日(金)~7月31日(日)の期間限定で、松江城天守国宝指定 7周年記念版が発売されました。ゴールデンウィーク中に先行販売した「松江城」版と同じですが、日付は国宝指定された「7月8日」です。 ぶらっと松江観光案内所にて、1,000円(税込)。
▶松江城主が抱えていたといわれる松江忍者。その忍者にまつわる「忍者印」が発売されました。令和4年(2022)5月20日にカラコロ広場(松江市)に設置された「武者がしゃべる自動販売機」限定です! 忍者に由来する九字印を用いたキーワードを中央に、ゆかりの武将名を右肩に配置。松江の特産品であるカラーの出雲民芸紙を含む9種類13パターンで、中にはレアものも! さらに自動販売機にあるQRコードを読み込むと、文字に託された忍者からの金言が表示されます。価格は600円(税込)/枚。
▶令和4年(2022)4月29日~5月5日「黒地に金文字」の特別版が登場!「松江城」と松江城の別名である「千鳥城」の2種類で、2022年7月の国宝指定7周年を記念し、先行販売されます。ぶらっと松江観光案内所にて、各1,000円(税込)。販売枚数は、4月29日(金)~4月30日(土)が各種20枚、5月1日(日)~5月5日(木)が各種40枚。1人各種2枚ま購入可。
▼令和3年(2021)7月21日から、「国宝松江城しまねっこ御城印」が発売されました! 島根県の観光キャラクター・しまねっことのコラボ御城印で、しまねっこが槍を持ち、甲冑をまとっています。しまねっこの新デザインは、なんと11年ぶりだとか! 松江城の御城印といえばこの方、島根在住の書家・こーたさんが一枚一枚心を込めて手書きしています。販売場所:ぶらっと松江観光案内所 価格:500円(税込)
▼国宝に再指定されてから5年目を記念して、令和2年(2020)7月12日、御城印の書下ろしイベントが開催されました。
7月12日の100名限定の限定御城印がこちら! 松江市在住で松江観光大使でもある路上詩人・こーたさんの書下ろしのほかに、まつえ時代案内人の堀尾吉晴、忠氏の2武将どちらかの花押入。
▲松江城オリジナルポケット式御城印帳も絶賛発売中! 詳しくは「続々増加中!お城や城下町で買える御城印帳大特集!」をご覧ください。
▼松江城に関する記事はこちら
■山陰の覇者・尼子氏の居城「月山富田城」
三日月に山中鹿介が祈り佇む、情緒ある御城印。伝統的な広瀬和紙を使っているのもポイント。
月山富田城(島根県安来市)
領布場所:安来市立歴史資料館
価格:300円(税込)
▼月山富田城に関する記事はこちら
■長州藩への抑えとして築かれた山陰側の要の城「浜田城」
元和5年(1619)に三重から浜田に転封した古田重治が築いた浜田城。長州藩への抑えの要として元和期でも築城が許されました。
御城印は、歴代藩主家紋入り版(左)と、石見神楽蛇胴(じゃどう)紙版(右)の2種類。2種類とも約1300年の歴史を持つ浜田市の伝統的工芸品で、ユネスコ無形文化遺産にも登録されている石州和紙が使われており、書は北前船寄港地として栄えた浜田藩最大の貿易港である外ノ浦の廻船問屋の末裔・楫ヶ瀬(かじがせ) 孝氏によるもの。
歴代藩主の家紋は右上が古田家の「丸に三つ引き両」、左上が松平周防守家の「蔦」、右下が本多家の「立葵」、そして左下が松平右近将監(うこんしょうげん)家の「三つ葉葵」。
石見神楽蛇胴紙版の台紙は、日本遺産「石見神楽」の人気演目である『大蛇』で実際に使用された石見神楽蛇胴紙を再利用したもの。そのため一枚一枚色や柄が異なり、まさに世界に一つしかない御城印といえます。
浜田城(島根県浜田市)
領布場所:濱田護國神社社務所、浜田市観光協会特産品販売所・市民サロン
価格:各400円(税込)
▼令和5年11月21日(火)から、「浜田城歴代藩主印」が販売開始されます。販売場所は、浜田城山公園 駐車場に設置された「しゃべる自動販売機」! 初代藩主・古田重治など、浜田城の歴史に関連する人物イラスト描かれた自動販売機で、藩主印を購入すると、古田重治がおもてなしの言葉をしゃべります。
藩主印は、全18代の中から選ばれた5人の藩主のほか、浜田藩の財政を救った偉人、会津屋八右衛門を加えた、全6種類で各330 円(税込)。人名部分は浜田市の書道家・坂本文江さんによる書です。藩主印はランダムで出てきますので、ガチャガチャの緊張感も楽しめる!?
▼浜田城に関する記事はこちら
■雲南随一の堅城で、尼子十旗の一つ「赤穴(あかな)瀬戸山城」
後の赤穴(あかな)氏である佐波氏が築城したといわれている赤穴瀬戸山城。赤穴氏が尼子氏の傘下となった後、赤穴瀬戸山城は、尼子氏の本城である月山富田城を防衛する尼子十旗の一つに数えられます。出雲・石見・備後国の境界に位置し、何度も戦場となるも攻撃を退けたため、雲南随一の堅城とうたわれました。関ヶ原の戦いの後、出雲に入封した堀尾氏により、後の堀尾家家老・松田左近が城主となり、赤穴瀬戸山城を近世城郭化し、城下町を整備しました。
御城印は、赤穴氏の家紋「並び矢」がモチーフになっています。第27代赤穴家当主による揮毫。
赤穴瀬戸山城(島根県飯石郡)
領布場所:道の駅 赤来高原
価格:300円(税込)
▼赤穴瀬戸山城に関する記事はこちら
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■尼子無二の忠臣の城「賀田(かだ)城」
島根県飯石郡飯南町下来島にある通称「松本山」に築かれた中世の山城・賀田(かだ)城。築城時期や築城主などの詳細は不明ですが、『赤穴家系図』から南北朝時代にはすでに存在、後に赤穴氏が入り、赤穴氏の本城である赤穴瀬戸山城の支城的な役割を果たしたことが分かります。永禄3年(1560)の毛利氏の侵攻に徹底抗戦し、烏田権兵衛勝定・森田左衛門勝経の軍が立てこもりました。
御城印の柱にある「尼子無二の忠臣」は、『雲陽軍實記』からとられたもの。上部の家紋は、烏田氏の「丸に隅立て四つ目」。右下にあるのは、明治45年頃(当時12歳)の第25代烏田家当主・定利さんが家宝の長槍を構えている姿のイラストです。長槍は烏田権兵衛のもので、今も烏田家に受け継がれています。
賀田城(島根県飯石郡飯南町)
領布場所:加田の湯
価格:300円(税込)
制作:一般社団法人 飯南町観光協会
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<岡山県>
■堅固で壮大な平山城「津山城」
「鶴の丸」の家紋とともに城主であった松平家の「三つ葉葵」が入ったデザイン(左)と、
築城主であった森家の「鶴の丸」の家紋が大きく入ったデザイン(右)、2種類の御城印があります。
津山城(岡山県津山市)
領布場所:津山城(鶴山公園)内 備中櫓
価格:各300円(税込)
▼津山城に関する記事はこちら
全国的にも珍しい不辺等五角形の天守台をもつ「岡山城」
中央に配置されているのは、築城の後ろ盾となった豊臣秀吉から使用を許された豊臣家の家紋「五七桐(ごひちぎり)」。
四隅には岡山城ゆかりの城主の家紋が配列されています。
右上は築城時の城主である宇喜多秀家の家紋「剣片喰(けんかたばみ)」、左上は宇喜多家の旗印「兒」の文字、左下の「左三巴(ひだりみつどもえ)」は2代目城主である小早川秀秋の家紋、右下は3代目以降の池田家の家紋「立ち揚羽(たちあげは)」。
和紙風の淡黄紙に三色刷。
岡山城(岡山県岡山市)
領布場所:岡山城天守閣1階 おみやげ処
価格:300円(税込)
▼岡山城に関する記事はこちら
■日本三大山城の一つで、雲海に浮かぶ城としても有名「備中松山城」
日本三大山城の一角を占め、山城で唯一、現存天守を擁する備中松山城。雲海に浮かぶ幻想的な姿も人気の理由です。
天守のシルエットがデザインされた御城印は、天守の上に太陽のように輝く最後の城主・板倉家の家紋「九曜巴」と城郭名の書の勢いもあいまって大迫力! 山城の力強さと堅牢さが感じられます。売上の一部は、備中松山城の維持・保存修理のために高梁市へ寄付されます。
備中松山城(岡山県高梁市)
領布場所:備中松山城 券売所
価格:300円(税込)
「高梁」の地名が使われるようになって150年を記念して、令和元年(2019)に作成された限定版がこちら。中央の城郭名は「高梁城」となっています。備中松山藩最後の藩主であり、高梁藩藩主の板倉氏の家紋「九曜巴」と、幕末に備中松山藩を守った山田方谷(ほうこく)の家紋「吉の字」を配置。令和元年(2019)11月2日~12月28日の間、備中松山城と高梁市山田方谷記念館の両方の来場者にのみ無料配布されました。限定10,000枚。
▼備中松山城に関する記事はこちら
お城の現場より〜発掘・復元最前線 第15回 【備中松山城】総石垣造りの池の正体を探る
お城を空から見てみると。第2回 備中松山城
■城主・清水宗治が見事な最期を遂げた「備中高松城」
豊臣秀吉による「日本三大水攻め」の最初の舞台となった備中高松城は、毛利氏と織田氏が中国地方の覇権を争った際の毛利側の最後の砦でした。時の城主・清水宗治は忠義に厚く、徹底抗戦の構えで城を固く守るも、秀吉の軍師・黒田官兵衛の策による水攻めを受けて孤立。備中高松城の城兵を救うため、毛利側は領土の譲渡と城兵の安全を条件に講和を申し入れますが、秀吉は拒否し交渉は決裂します。しかしそんな膠着状態は本能寺の変が起こったことで急変。一刻も早く明智光秀を討ちに取って返したい秀吉は、宗治の切腹を条件に、城兵の安堵と領土の譲歩を申し入れます。宗治は躊躇なく受け入れ、身だしなみを整え、城を囲む水上を船で進み、船上でひとさし舞ってから切腹を果たしました。その見事な最期に、急いでいた秀吉もとどまり見届けたと言われています。今でも、地元の誇りとして宗治の精神を受け継ぎ、さらに後世に伝えていくべく、毎年「宗治祭」が開催されています。
御城印には、幕末から明治時代の地元の画家・三好雲仙が幕末に描いた宗治の肖像画と、武士の矜持を高らかに謳った宗治の辞世の句が描かれています。左上にあるのは清水氏の家紋「左三つ巴」。左下の「宗治蓮」は、本丸と二の丸の間にかつてあった蓮池を復元後に自然に生えてきた蓮です。 まるで宗治の遺志を表しているかのようですね!
備中高松城(愛知県備中高松市)
領布場所:高松城址公園資料館
価格:300円(税込)
▼備中高松城に関する記事はこちら
■北条早雲生誕のお城と伝わる「高越城(高越山城)」
旧山陽道と小田川を一望できる水陸交通の要衝地である標高約170mの高越城に築かれた高越城(高越山城)。築城等の詳細は不明ですが、宇都宮貞綱が元寇襲来に備えて九州に向かう際、山陽道の抑えとして築いたと伝わります。さらに、小田原北条氏の初代・伊勢新九郎盛時/宗瑞(北条早雲)が生まれ育ったお城とも言われており、周辺には盛時ゆかりの遺跡が多くあります。
遺構としては、平場や井戸、堀切などが良好に残っています。
御城印は、備中伊勢氏の家紋「正三角形の三つ鱗」や早雲の肖像画、早雲青年期に使われていたと思われる花押をデザイン。さらに高越城および周辺の地形が分かるように地図がモチーフとなっています。
高越城(高越山城)(岡山県井原市)
領布場所:井原市観光案内所(井原駅構内)、井原市文化財センター「古代まほろば館」、井原市地場産業振興センター2階(井原市観光協会事務局)
頒布元:井原市観光協会
価格:300円(税込)
※令和5年(2023)3月11日発売。
■備中兵乱の舞台にもなった「猿掛城」
広島県東北部から岡山県西部を流れる小田川と旧山陽道を眼下におく猿掛山に築かれた猿掛城。天正2年(1574)に起こった三村氏と毛利氏・宇喜多氏の争いである備中兵乱の舞台にもなりました。
御城印にデザインされた家紋は、右が鎌倉時代から戦国時代まで猿掛城を本城とした庄氏の「軍配団扇紋」、庄氏に養子を送って実質的に支配下に組み込んだ三村氏の家紋「丸に三つ柏」が中央、左が三村氏に替わって猿掛城に入った毛利氏の家紋「一文字に三つ星」。
また、源平合戦の際に庄家長(しょういえなが)が平清盛の5男・重衡を捕らえたと伝わることから「平家物語絵巻」、さらに要衝地に築かれたことがわかる城山の山容と地図がモチーフになっています。
猿掛城(岡山県倉敷市/岡山県小田郡矢掛町)
領布場所:やかげビジターセンター問屋
頒布元:一般財団法人 矢掛町観光交流推進機構
価格:300円(税込)
■徳川幕府の西国経営の拠点だった「福山城」
城主をつとめた水野家家紋「丸に抱き沢瀉(おもだか)」と阿部家家紋「丸に違い虫喰い鷹ノ羽」があしらわれ、左下には福山城博物館のオリジナルスタンプも押印。
リニューアル及び耐震工事のため、令和2年(2020)8月1日~令和4年(2022)8月初旬まで長期休館中の福山城博物館(天守閣)。この「令和の大普請」を記念した御城印および武将印が販売されました。
領布場所:福山城博物館管理事務所
価格:各200円(税込)
■毛利元就が整備拡大した居城「郡山城」
毛利元就が本拠地郡山城を据えて生涯住み続けたことから、御城印には「安芸国吉田荘」と記載。毛利氏の家紋「一文字三ツ星」の形状は、毛利家から承認を受けたものを忠実に再現しています。毛利氏全盛期のころの所領であることと、販売初日が改元初日であったので、元号「令和」が万葉集出典であることにちなみ、万葉集にゆかりのある柿本人麻呂が伝えたといわれる石州和紙を台紙に採用。
郡山城(広島県安芸高田市)
領布場所:安芸高田市歴史民俗博物館
価格:300円(税込)
▼郡山城に関する記事はこちら
■お堀に映る姿まで美しいフォトジェニックな城「広島城」
郡山から広島に移った毛利輝元が、京都の聚楽第を模して築いたと言われている広島城。別名である「鯉城」は、地元の球団・広島東洋カープの名前の由来になっています。
御城印は、「広島城」版(左)と「鯉城」版(右)の2種類。広島城が令和2年(2020)度から「全国城郭管理者協議会」の会長館を務める事になったことを記念して作成されました。「広島城」版は、歴代城主の家紋がモチーフ。上から、毛利輝元の「一文字三ツ星」、福島正則の「沢瀉(おもだか)」、浅野氏の「違鷹羽(ちがいたかのは)」。
「鯉城」版は、広島東洋カープの球団マークを背景中央に配置、球団のマスコットキャラクター・カープ坊やも、毛利輝元の兜をかぶって登場!
広島城(広島県広島市)
領布場所:広島城天守閣 第1層 ミュージアムショップ
価格:各300円(税込)
※令和2年(2020)9月1日頒布開始
▼広島城に関する記事はこちら
■1世紀以上吉川氏の居城となった「小倉山城」
15世紀前半、石見国に本拠を置いていた吉川経見(つねはる)が築城して以来、日野山城に移るまで約170年にわたり吉川氏の本城とされた山城・小倉山城。吉川氏の家紋である「丸に三つ引き両」をあしらった御城印は、手すき和紙「石州 勝地半紙」を使用。吉川氏が尼子氏との合戦で勝利し、勝どきをあげたことが「勝地」という地名の由来となっている説があるそうです。なんと1枚1枚、木版画の手刷りで製作されています!
小倉山城(広島県山県郡)
領布場所:道の駅舞ロードIC千代田観光案内所(北広島町観光協会)、戦国の庭歴史館
価格:300円(税込)
▼小倉山城に関する記事はこちら
■毛利を支えた吉川氏の本拠城「日山城(日野山城)」
天文14年(1545)頃に吉川興経(おきつね)が小倉山城(広島県山県郡)から移り、吉川広家が天正19年(1591)に月山富田城(島根県安来市)へ移るまで吉川氏の本城として使用された日山城。吉川元春が大改修し、さらに広家の時代に再改修され、最終的に本丸、二の丸、三の丸、中城など計28の郭を配する大規模な山城となりました。
御城印は石州勝地半紙(せきしゅうかちじばんし)を使用し、木版画で一枚づつ手刷り制作したもの。吉川氏の家紋「丸に三引き両」や、元春の長男・元長が父の死を悼んで詠んだ和歌に登場する「撫子の花」、さらに元春が部下を踊り子に変装させて羽衣石城(鳥取県東伯郡)を奇襲攻略したエピソードにちなんだ「蔵迫日の山踊り」があしらわれています。
日山城(日野山城)(広島県山県郡)
領布場所:道の駅舞ロードIC千代田内観光案内所(北広島町観光協会)、戦国の庭歴史館、北広島町図書館本館
価格:300円(税込)
■杉原盛重の拠点だった「神辺(かんなべ)城」
建武2年(1335)に朝山次郎左衛門景連(かげつら)が築き、備後国守護所が置かれた神辺城。戦国時代に城主を務めた山名(杉原)理興(ただおき・まさおき)は、大内方から尼子方へと寝返ったことから毛利元就らに城を包囲され、尼子氏の元へ逃亡。理興は大内義隆の死を機に元就へ詫びを入れ、再び城へ戻りました。理興の死後に家老の杉原盛重が城主を務めて毛利氏の勢力拡大に貢献し、盛重が亡くなってからは毛利氏直轄の城となりました。
御城印は、天正19年(1591)に城主を務めた元就の八男「毛利元康版」と「杉原盛重版」の2種類。毛利元康版には毛利氏家紋の「一文字三星紋」、杉原盛重版には杉原氏家紋の「剣巴紋」がデザインされています。
神辺城(広島県福山市)
頒布場所:world wide 371 kannabe
価格:2種類1セット600円(税込)※セット販売のみ
【四国地方の御城印】
<香川県>
■天守が高石垣の上にそびえる「丸亀城」
斑入りの紙の御城印は、裏に史跡丸亀城についての解説付き(日本語、英語、台湾語の3種。※ハングル希望の方は伝えると、別紙でハングルの解説文の用意あり)
◆人気墨絵師・御歌頭(おかず)さんが表紙をデザインしたオリジナル御城印帳も販売されました! 詳しくは「続々増加中!お城や城下町で買える御城印帳大特集!」をご覧ください。
■阿波と讃岐の国境守備の重要な山城「引田(ひけた)城」
引田城は三方が海に面した断崖に築かれました。築城者は不明ながら、阿波との国境にあったことから攻防戦により城主が何度か替わっています。天正11年(1583)には、豊臣秀吉の最古参家臣である仙谷秀久が入り、土佐から讃岐へ侵攻してきた長宗我部軍と戦いました。最後の城主・生駒親正が入城し、土造りだった城を総石垣の城へと改築、阿波・讃岐の国境守備の重要な拠点となります。
御城印は、秀吉の家紋「五七の桐」(中央)、生駒親正の「生駒車」(左上)、仙谷秀久の「永楽銭」(右上)を配置。右下の写真は、引田城の見どころの一つである北二の丸にある野面積の高石垣。題字は、長野県在住の書家・川村龍洲氏によるもの。手すきの和紙を使用。
引田城(香川県東かがわ市)
領布場所:讃州井筒屋敷、カフェ・ド・カンパーニュ、三谷製糖羽根さぬき本舗、かめびし屋
価格:400円(税込)
※令和3年(2021)5月1日発売。10月に開催延期となった「第1回引田城戦国お城まつり」でも販売予定。
▼同日よりオリジナル御城印帳も頒布予定! 詳しくは「続々増加中!お城や城下町で買える御城印帳大特集!」をご覧ください。
▼引田城に関する記事はこちら
<愛媛県>
■今でも満潮時に海水が流れ込む!藤堂高虎による海城「今治城」
「伊豫 今治城」の文字は、 国立国会図書館デジタルコレクション「〔日本古城絵図〕 南海道之部(2).295 伊予今治城」 の表記を基に作成。
今治城を築城した藤堂高虎の家紋「藤堂蔦」と、歴代主要城主である松平久松氏の家紋「星梅鉢(ほしうめばち)」があしらわれています。
今治城(愛媛県今治市)
領布場所:今治城天守1 階 観覧券売場
価格:300 円(税込)
▼今治城に関する記事はこちら
■伊予国守護・河野氏の居城「湯築(ゆづき)城」
中世、伊予国の守護であった河野氏が、約250年間、居城とした湯築(ゆづき)城。二重の堀に囲まれており、ほぼ完全な縄張が残っています。
御城印は家紋入り(左)と家紋なし(右)の2種類で、現在頒布されているのは令和3年度バージョンのデザイン。
家紋は河野氏の「折敷(おしき)に正三文字」。右下に配置されているのは、城内で出土した「猫の足跡がついたかわらけ」です。かわらけとは、素焼きの土器のこと。用紙として阿波和紙を使用。
湯築城(愛媛県松山市)
領布場所:湯築城資料館(開館時のみ対応)
価格: 各300円(税込)
▼湯築城に関する記事はこちら
■連立式天守の平山城「松山城」
歴代城主(加藤家・蒲生家・松平家・久松家)の家紋をあしらったデザイン。平成30年(2018)10月から領布開始。
松山城(愛媛県松山市)
領布場所:松山城天守きっぷ売り場
価格:300円(税込)
もともとは港を意味する「津」をとって大津とされていた土地に、鎌倉時代末期、伊予国守護宇都宮豊房が地蔵ヶ岳城を築いたのが大洲城の始まりと言われています。小早川隆景や戸田勝隆などの名だたる大名を経て、築城の名人と称される藤堂高虎が近世城郭に改造、その後、脇坂安治が近世的封建制度を整え、版籍奉還まで加藤家が城主として治めました。
御城印はサイズ違いの2種類。中央には、江戸時代に使われていた大洲藩加藤家の印を基につくったものを配置。用紙は、江戸時代から大洲藩の産業として発展した伝統ある大洲和紙を使用。1枚1枚手書きです!
大洲城(愛媛県大洲市)
領布場所:大洲城グッズ販売コーナー
価格:各500円(税込)
■寛文11年に完成した現存する貴重な天守がある「宇和島城」
宇和島伊達家の定紋「竹ニ雀」紋があしらわれた御城印。
“宇和島笹”とも呼ばれる宇和島伊達家のオリジナルのもので、 文字を家紋に被せず家紋を重んじたデザインです。
宇和島城(愛媛県宇和島市)
領布場所:天守(1階受付)
価格:300円(税込)
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いかがでしたか? 登城の記念に、はたまたちょっとしたお土産にも最適!な御城印、ぜひコレクションしてみてはいかがでしょうか。
もちろん、ほかのエリアにも各お城のシンボルや城下のこだわりなどが活かされた御城印が多数!
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執筆・写真/かみゆ (「歴史(はエンタテインメント!」をモットーに、ポップな媒体から専門書まで編集制作を手がける歴史コンテンツメーカー)&城びと編集部
協力:若狭国吉城歴史資料館館長 大野康弘さん