【九州・沖縄編】豊かな自然環境と古代から近世まで時代も多彩な御城印

近年、登城の記念となる「御城印」が注目を集めています。多数の書籍が刊行されたり、テレビなどでも取り上げられたりすることもしばしば。どのような特徴の「御城印」が、どこで購入できるのかなど、一城ずつ城びと編集部が丁寧にご紹介! 今回は【九州・沖縄編】。古代山城や南九州特有のシラスを利用した城、沖縄のグスク文化など、独特の城が残る九州・沖縄には、どのような御城印があるのでしょうか…!?




御城印って? 九州・沖縄地方ではどこのお城が出しているの? その特徴は?


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九州・沖縄地方の御城印の一部

「御城印」とは、 半紙(和紙)に城名やゆかりある城主の家紋や花押などの印を押したもの。お寺や神社でいただける御朱印を参考にして作られ始めて、今では多くのお城で登城の記念として頒布されています。「御城印」以外にも、「登閣記念印章」「登城記念御朱印」「城郭符」「御城朱印」など、呼び方は城によってさまざまです(本記事では「御城印」で統一します)。
細かな説明はこちらのページでは割愛しますので、詳しくは、お城のご朱印!?登城記念に「御城印」を集めてみませんか? の記事をご覧ください!

広大で多様な自然環境に加え、古代から近世まで様々な時代にちなんだ御城印がそろう九州。つい先日、令和2年9月20日には、ついに沖縄初の御城印も登場しました! どんなお城のどんな御城印があるのか、見ていきましょう! ※掲載内容は、令和2年(2020)10月16日更新の情報です。掲載以外でも御城印を領布しているお城をご存知でしたら、編集部までご連絡ください。城郭名は、100名城、続100名城に続き、北から南、もしくは東から西の順に掲載。掲載の許可を得られなかったお城の御城印はご紹介しておりませんので、ご了承ください)

福岡城/小倉城(※プレミアム版追記)

<佐賀県>

佐賀城/名護屋城/唐津城

<長崎県>

島原城/金田城

<大分県>

臼杵城/中津城

<鹿児島県>

清色城/串木野城

【沖縄地方の御城印】


【九州地方の御城印】

<福岡県>

■名軍師・黒田官兵衛が手掛けた巨大城郭「福岡城

福岡城 


令和元年(2019)10月から約1か月間開催の福岡城の秋祭り「福岡城下町サムライフェア~秋の陣~」にて、イベント参加者や物販購入者に無料で1000部限定配布。
藩主・黒田家の家紋「藤巴紋」にちなんで藤の花をイメージした藤色の背景に、福岡城を築城した初代藩主である黒田長政がかぶっていた黒漆塗桃形大水牛脇立兜(くろうるしぬりももなりだいすいぎゅうかぶと)を配置。
花押は、長政の書状からとった直筆のものです。

福岡城(福岡県福岡市) 
領布場所:福岡城跡周辺エリア(南丸多聞櫓、福岡城むかし探訪館、鴻臚館跡展示館、三の丸スクエア)
価格:イベント参加者等に無料配布。イベント終了後から福岡城内で有料販売予定。

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■細川忠興が築城した「唐造り」の名城「小倉城」  

小倉城,御城印

天守閣入城者限定の「登城記念」版(左)と、小倉城に来城した記念の「来城記念」版(右)の2種類あります。昭和34年(1959)に再建された際に天守閣入り口に揮毫された字を御城印の「小倉城」に採用しています。家紋は細川・小笠原両家の家紋を基に新たにデザインされたもの。奉書舞鶴(特殊紙)を使用。

小倉城(福岡県北九州市) 
領布場所:小倉城天守閣(登城記念)、小倉城しろテラス(来城記念)
価格:各300円(税込)

令和2年(2020年)9月16日から10月22日まで小倉城で開催される『かずら筆の書家・下枝董村 展』にあわせて、令和2年(2020)9月16日より、かずら筆で城郭名を書いた御城印が1000枚の数量限定で頒布されました。かずら筆とは、かずらというつるを叩き、ほぐして作った筆のこと。小倉藩士で、10代小倉藩主の書道師範も務めた下枝董村(しもえだとうそん)が愛用したそうです。御城印の揮毫は、かずら筆の第一人者である書家・棚田看山氏。
ご担当の方より「高級台紙に半紙に書いたように印刷した文字を手作業で貼り合わせた、手の込んだ作品となっております。是非、額に入れて飾っていただきたい御城印となっております」とのメッセージをいただきました。文字の躍動感を味わうため、あえて城郭名以外をすべて省いた、他にはない御城印です。

小倉城,御城印,かずら筆

以前頒布されて人気を博したプレミアム版が再登場です! 書家であり芸術家でもある杉田廣貴(こうき)氏の上品かつ芯の強い文字が金色に輝く特別な一枚。

小倉城,プレミアム版,御城印

頒布場所:小倉城しろテラス
価格:かずら筆版・・・700円(税込)、プレミアム版・・・500円(税込)
※通信販売サイト(https://shop.kitakyushu-dmo.jp/)でも頒布中。


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<佐賀県>

■『葉隠』で有名な鍋島氏の城「佐賀城」  

佐賀城

佐賀藩祖・鍋島直茂が大友軍を打ち破った今山の合戦以降、戦勝吉例の家紋として使用した「杏葉(ぎょうよう)」を中央に大きく配置。
右下に揮毫者である佐賀県出身の書家・江島史織氏の名前が入っています。

佐賀城(佐賀県佐賀市) 
領布場所:佐賀城本丸歴史館内ミュージアムショップ 
価格:300円(税込)

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■秀吉の朝鮮出兵のために築かれた総石垣造りの大城郭「名護屋城

名護屋城,御城印


名護屋城跡出土の「五七桐文飾瓦」(ごしちきりもんかざりがわら)の拓本をデザイン。「五七桐紋」は、秀吉が豊臣を名乗るようになってから後陽成天皇から与えられた家紋。

名護屋城(佐賀県唐津市) 
領布場所:佐賀県立名護屋城博物館の受付
価格:300円(税込)

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■海に浮かぶかのような姿が美しい海城「唐津城

唐津城、御城印、ご朱印

唐津城の歴代藩主(6代)の家紋をあしらった御城印。右上から初代・寺沢氏の「陣幕」、2代・大久保氏の「大久保藤」、3代・松平氏の「蔦」、左上にいき4代・土井氏の「水車」、5代・水野氏の「沢瀉(おもだか)」、6代・小笠原氏の「三階菱」。「唐津城」の文字は唐津城の二の丸にある早稲田佐賀高校の書道部による揮毫。平成30年(2018)12月から領布開始。

唐津城(佐賀県唐津市)
領布場所:唐津城天守閣1階 入場券売り場
価格:200円(税込)

はがきサイズの和紙に印刷。日付を記入し、「唐津城天守閣の印」を押印して渡される。収益の半分程度が熊本城の復興支援に寄付されるそう。

唐津城、御城印、ご朱印


<長崎県>

■安土桃山様式の壮麗な天守閣が映える「島原城」  

島原城,御城印

奈良五城から転封した松倉文豊後守重政が寛永元年(1624)頃に完成させたと言われている島原城。令和6年(2024)に築城400年を迎えるにあたり、御城印の頒布を開始。通常版(上)と「島原城築城400年記念御城印」(下)の2種類があり、どちらも文字は福岡在住の書道家・井上龍一郎氏のもので、用紙は長崎市平和公園に手向けられた千羽鶴を使用した再生紙。松倉氏の「九曜」、高力氏の「四方木瓜(しほうもっこう)」、松平氏の「重ね扇」、戸田氏の「六つ星」と歴代城主の家紋も配置。通常版は家紋と島原城天守閣が印刷されています。

島原城,特別御城印

記念御城印は令和2年(2020)4月6日「城の日」から令和6年(2024)までの5年間、毎年「城の日」を初日として400枚ずつ限定で頒布。観賞用の専用台紙つきで、専用台紙の内側には毎年異なる島原城内の古地図があしらわれます。ちなみに令和2年(2020)版は、「嶋原之城図」国立国会図書館所蔵。家紋は購入者が直接押印。記念御城印の売上の一部は公益財団法人長崎平和推進協会の平和関連事業へ寄付されます。

島原城(長崎県島原市) 
領布場所:島原城天守閣券売所
価格:通常版 300円(税込)、島原城築城400年記念御城印及び通常版セット 1,500円(税込)
※島原城入館券購入者1名につき1枚販売。

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■NHKの第4弾「最強の城」に選ばれた絶景の古代山城「金田城

金田城,御城印,最強の城

浅茅湾の南岸に突き出た標高275mの山城・金田城。
中央には、石積み越しに見える海の景観や谷の風景のスタンプが配置されていますが、
よく見ると山の斜面の石塁などがスタンプの円い線になっています。

ちなみに、この金田城の御城印は、城びとがデザイン・制作を担当させていただきました!

金田城(長崎県対馬市)
領布場所:観光情報館 ふれあい処つしま
価格:300 円(税込)
※購入者は観光案内所備え付けの「登城記念」印を押して持ち帰ることができます。

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<熊本県>

■復興城主増加中!築城の名手・加藤清正が手掛けた名城「熊本城」  

熊本城

令和元年(2019)10月から始まった特別公開第1弾、天守閣の大天守外観復旧を記念して作成。
配置されている家紋は、熊本城を築城した加藤家家紋の「蛇の目」と、加藤家の後に熊本藩を治めた細川家家紋「九曜」。
左下には加藤清正の座右の銘「履道応乾」も押印されています。

熊本城(熊本県熊本市) 
領布場所:熊本城本丸お休み処、熊本城二の丸お休み処
価格:300円(税込。収益の一部は「熊本城災害復旧支援金」に寄付)

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<大分県>

■稲葉氏が15代にわたって居城とし、臼杵藩を治めた臼杵城」  

臼杵城,御城印


臼杵城,御城印

臼杵城の前身である「丹生島(にうじま)城」を築いた大友氏の家紋「抱き杏葉」版(上左)と、江戸時代に城主をつとめた稲葉氏の家紋「隅切り折敷に三文字」版(上右)、さらには両家の家紋版(下)の3種類。「臼杵城跡」の文字は大分県を代表する書家で、臼杵市在住の大塚静峰氏によるもの。「城」の文字が中国古代の書体で表現されているのは、臼杵城の御城印だけです!

臼杵城(大分県臼杵市) 
領布場所:臼杵市観光交流プラザ
価格:大友氏家紋版・稲葉氏家紋版 各300円(税込)、大友・稲葉両家版 500円(税込)

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■黒田官兵衛が築いた日本三大海城の一つ「中津城」  

中津城,御城印,登場記念符

中津城,御城印,登場記念符

「登城記念符」と呼称。通常版(上)と限定版(下)があり、通常版は、150年あまり城主として中津城に居住した奥平家の家紋「奥平団扇」と、中津城のシルエットがデザインされています。「登城記念符」の文字は印刷ではなく手書き。
限定版には、築城主である黒田官兵衛の名言に黒田家家紋「藤巴」と中津城のシルエットが配されており、月30枚の限定販売です。

中津城(大分県中津市) 
領布場所:中津城天守
価格:通常版300円(税込)・限定版800円(税込)
※限定版は月30枚の限定販売

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<鹿児島県>

■シラス台地を利用して築かれた「清色城

御城印、清色城

独特の書体が味わい深い御城印。中央の家紋は、城主を務めた入来院(いりきいん)氏の「丸に十字」(「菊花」との説もあり)。売り上げの一部はお城の保存活動資金に充てられます。

清色城鹿児島県薩摩川内市)
領布場所:入来麓観光案内所
価格:300円(税込)

■「島津の退き口」で武勇伝を全国に轟かせた島津豊久が生まれた城「串木野城」  

串木野城

串木野城址の通称「亀ヶ城」から、亀の甲羅に島津氏の家紋「丸に十の字」を組み合わせたデザイン。
令和元年(2019)6月に、串木野城址を含む麓地区は「日本遺産」に認定されました。

串木野城(鹿児島県いちき串木野市) 
領布場所:いちき串木野市総合観光案内所
販売価格:300円(税込)


【沖縄地方の御城印】

<沖縄県>

■琉球石灰岩が描く優美なカーブと固い守りを持つ世界遺産の城「中城(なかぐすく)城」  

中城城跡,御城印

世界遺産「琉球王国のグスク及び関連遺産群」の一つで、自然の岩石や地形を利用して造られた左右対称の城壁や、野面積、布積、相方積とさまざまな技法で築かれた石垣を見ることができる中城城。固さとは裏腹に、琉球石灰岩が描くカーブは優美そのもの。

沖縄初の御城印は、通常版(左)と、世界遺産登録20周年記念版(右)の2種類。2種類ともに琉球和紙が使われており、通常版はみつまた紙、記念版は芭蕉紙です。芭蕉紙は明治時代にいったん技術の継承が途絶えてしまいましたが、復興され、現在に至ります。御城印の用紙は復興させた勝公彦氏の流れを汲む安慶名(あげな)清氏による手すき。筆耕者は、「世界遺産登録20周年を村民みんなでお祝いしよう!」という意図から中城村で公募されました。
記念版は初回生産200部限定(手作りのため増産予定未定)で、なんと、中城城の入城券つき!

中城城(沖縄県中頭郡中城村) 
領布場所:中城城跡、中城村観光協会
価格:記念版800円(税込。中城城入城券つき)、通常版500円(税込)

中城城ではオリジナル御城印帳も販売中! くわしくは「続々増加中!お城や城下町で買える御城印帳大特集!」をご覧ください。

▼中城城に関する記事はこちら

いかがでしたか? 登城の記念に、はたまたちょっとしたお土産にも最適!な御城印、ぜひコレクションしてみてはいかがでしょうか。

もちろん、ほかのエリアにも各お城のシンボルや城下のこだわりなどが活かされた御城印が多数!
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執筆・写真/かみゆ (「歴史(はエンタテインメント!」をモットーに、ポップな媒体から専門書まで編集制作を手がける歴史コンテンツメーカー。)&城びと編集部
協力:若狭国吉城歴史資料館館長 大野康弘さん

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