4月半ばの週末、3連休がとれたので山陰城めぐり旅に行ってきました。
自宅を出たのが5:30。品川発6:49ののぞみで岡山まで3時間爆睡し、岡山発10:05の伯備線特急やくも7号に乗り換え。備中高梁より先に行くのは初めてです。JRの乗継割引が廃止になったのは悲しかったけれど、車窓からずーっとぼーっと景色を眺める至福の時間を過ごし、12:44に松江駅到着。
意外とあっという間。この時間に着けば気の向くままに松江観光できそうです。
ということでまずは宍道湖畔の白潟公園へ行き、宍道湖大橋を渡って松江城に向かいました。
松平直政公像のある三の丸跡から水堀と石垣越しに見えた天守と櫓。想像していた以上の壮麗さでした。
堀尾吉晴像を拝み、城内へ。馬溜跡、井戸、水路、土塁、石垣、一つ一つ確認しながら大手門跡へ。大手門はしゃちほこ付きの大きな門だったそう。
米蔵や屋敷があったという二の丸下の段は広々とした市民の憩いの場。木々の間から天守がチラチラ覗いています。
現存天守をもつお城はつい天守に目がいってしまうのですが、いずれのお城も石垣の名城でもあります。松江城も荘厳な石垣が次から次に目に飛び込んできて目移りしてしまいます。
二の丸の復元三櫓、太鼓櫓・中櫓・南櫓はそれぞれ用途に応じた造りで、城下より仰ぎ見た美しさとはまたちがった城の一構成要素としての役割を知ることができました。
二の丸でひときわ目を惹く興雲閣。今から120年前に松江市によって建てられた洋館で迎賓館として使われたこともあるそうですが、ため息が出るほど素敵な建物で、ピンクのカーテンにリボンと花柄の絨毯、アールデコ調の装飾に薄い薄荷色の建具と、乙女心☺️がくすぐられまくりでした。バルコニーからの眺めも素晴らしかったです。
興雲閣のすぐお隣、御書院跡には松江神社。御祭神は松平直政公、徳川家康公、松平治郷公、堀尾吉晴公。国宝指定の決め手となった祈祷札が再発見されたのがこの松江神社で、こんなに近くで長い間大事にされていたのだなと感慨深いものがありました。
いよいよ一の門から本丸に入ります。ここに限らずですが、それまで見えていた天守が一旦視界から消えて、最後の門を潜った瞬間にドカーン!と現れるという現象、城の仕組みを体感するうえでも、純粋にサプライズとしても堪らない快感です。
国宝天守5個目のスタンプはもう目の前ですがもったいないので直行せずに多門跡、鉄砲櫓跡、武具櫓跡、祈祷櫓と見てまわりました。祈祷櫓跡はその上を歩くのを少し躊躇してしまいましたが。
天守入場券は3館共通入場券(松江城・小泉八雲記念館・武家屋敷)を購入しました。
松江城天守、見どころ多すぎです。
付櫓の狭間、石打棚。地階の井戸、塩蔵、祈祷札レプリカ、古材、旧鯱。上階には柱の包板や月山富田城の古材、太鼓櫓の太鼓、箱便所等々。それなりに時間をかけたつもりではいましたが広い天守内、構造を理解するのは難しく、知識不足もあり見どころをいくつも見落としてしまいました。そして……城カードリニューアル版の購入を忘れてしまいました😱もう、次からは忘れないように手にマジックで書いておこうかな💦
天守外観は写真などでは正面からのものを見ることが多かったので、ぐるっとまわっていろいろな顔を見られたのがうれしかったです。このあと乾櫓跡から北の門跡を通りましたが、こちらの石垣越しの天守もかっこよかったです。石垣自体もすごく強そうでした。
こちら側は人通りもなく、とても静かでした。末次城の痕跡が見つかったのもこのあたりでしょうか。
馬洗い池は2018年に80㎝のヘドロを浚って在来種のみのきれいな池に戻したのだそうです。目立たないところにありますが遺構のひとつとして大切に保存されていることに地元の方々のこの城を愛する思いを感じました。
ここから小泉八雲記念館へ向かうために北の丸の護国神社、城山稲荷神社を通り、搦手虎口から退出しました。記念館と小泉八雲旧居は隣り合っています。館内写真はありませんが、私の地元の赤間関(当時)が「耳なし芳一」のお話の舞台で、小泉八雲といえば怪談作家というイメージを長年もっていたのですが、館内を見学し八雲の生涯を辿ることによって人物像などを多面的に知ることができました。
続いて武家屋敷に行き、お堀越しの石垣と城山の姿を良き良き!と眺めながら北惣門跡と松江歴史館へ。歴史館は入館受付が16:30迄で入れませんでした。小泉八雲記念館(18:10迄受付)と武家屋敷(18:00迄受付)に先に行ったのが今思えば失敗でしたが……きっと“次回”があると思いますのでその時に。
北惣門橋は家老屋敷跡(現歴史館)と城内を結ぶ通路で、明治時代に石造りのアーチ橋に変わったものが、史跡にふさわしい江戸時代の姿にするために平成6年に木橋を復元したのだそうです。現在の木橋は、初代の老朽化のため昨年架け替えられたばかりでまだまだ出来たてまっさら。原則、車両通行禁止となったため、登城気分を悠々と味わえます。メンテナンスも大変そうだし、いずれまた架け替えに直面する時期が遠からず来るのだろうなと思うのですが、木橋復元はありがたいことですし応援したいです。
4時間歩きどおしの松江城観光でした。日没まで2時間近くあったので宍道湖の夕日スポットは諦めましたが、町なかにも「輪違い紋が刻まれた石」や「大手前通りに残る江戸時代の石積み」の説明板などがあり、楽しめました。石積みの説明には、石組み水路の見える部分は丁寧に仕上げられ、見えない部分は雑然と積まれていることを“見栄っ張り”と書かれ「見栄の文化」と称していました。しかし、明治初期に180円で落札された天守を買い戻した城愛が国の宝を守ったのですし、祈祷札の発見や取り付け位置の特定、また今回初めてほんの数時間歩いただけですが、松江の方々の、歴史をそのままの形で大切にしようとする気持ちや観光客に対する優しさが伝わってきて、全然見栄っ張りなんかではないと思いました。
<おわり>
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