お城にゆかりの御城印・御朱印・武将印・御城印帳 お城と一緒に参拝を! お城の中にある寺社と御朱印特集

近年、若い女性を中心に神社や寺院の御朱印がブームとなっています。実はお城には、神社やお寺がよく建立されており、中には御朱印をいただける神社・お寺があるのをご存知でしたか?今回の特集ではお城の中にある寺社と、そこでいただける御朱印を紹介します。中には、報徳二宮神社の「小田原城内鎮座」、篠山神社の「久留米城本丸址鎮座」などのように、どこの城跡に建っているのかがわかる御朱印も。城めぐりと一緒に、御朱印めぐりもしてみましょう!(※2019年3月6日初回公開)



寺社の境内となっている城跡、あるいは城内に寺社がある、という城は珍しくはありません。こうした「城の中にある寺社」をスルーする事なかれ。城の中にあるからこその歴史や御朱印があるんです。

城跡にはなぜ寺社が建っている?

城跡には寺社が建っている場合が多くあります。これはなぜでしょうか。
さまざまな理由がありますが、
廃城後、区画整備などで土地のある、あるいは都市の中心部である城跡に新設・移設された(弘前城の青森縣護国神社など)
築城と同時に、城や国の守護のため城内に祀られた(福山城の三蔵稲荷神社など)
以上の2パターンに主に分けられます。

今回取り上げるなかでは、各都道府県(あるいは旧国)の戦没者を祀る護国神社が①の理由から多め。護国神社は、明治維新による戊辰戦争から第二次世界大戦までに、国のために貢献し亡くなった各地域の人々を祀っている神社です。

御朱印は参拝の証、御城印と混同しないように!

以前「お城のご朱印!?登城記念に「御城印」を集めてみませんか?」でご紹介した、お城が発行している「御城印」は、お城の記念スタンプのようなものでした。今回取り上げるものは、「○○城跡鎮座」のように、どこのお城に建っているのかを示すような墨書きや印が書かれていることもありますが、どれも寺社が頒布している「御朱印」です。

御朱印は神様や仏様の分身とされています。もともとお寺ではじまったもので、お経を納めた証としていただけるため「納経印」といわれていました。それが神社にも広まり、今のような参拝の証としていただく形になりました。

そのため、御朱印をいただく際は集めてまわるだけでなく、本殿あるいは本堂を参拝し、手を合わせてみてください。また、意味合いの異なる御城印とは御朱印帳を分けた方がよいでしょう。

犬山城、三光稲荷神社、御朱印帳
犬山城(愛知県)内にある三光稲荷神社では、天守の描かれた御朱印帳を頒布(1冊1000円)


(注)今回の記事では「御城印」は取り上げていません。御城印の情報については「お城のご朱印!?登城記念に「御城印」を集めてみませんか?」をご覧ください。また、掲載の許可を得られなかった寺社は紹介していません。


■[弘前城/青森縣護國神社]明治天皇御製の和歌が書かれている

弘前城、青森縣護國神社
青森縣護國神社は、12代弘前藩主・津軽承昭(つぐあきら)が箱館戦争による戦没者慰霊のために創建。のちに弘前城がある現在の弘前公園に移築されました。御朱印には、神社名とともに明治天皇が作られた和歌の墨書きが書かれています。

青森縣護國神社(青森県弘前市)
御朱印授与時間・・・9:00〜16:00、ただし12:00以降は書き置き。事前に一報すれば午後でも墨書き対応可
料金・・・御朱印300円

■[久保田城/彌高神社]学業成就や合格祈願のご利益が篤い

久保田城、彌高神社
現在千秋公園として整備されている久保田城跡に建つ彌高神社。秋田の国学者・平田篤胤を祀るため創建されました。神社名の墨書きと印が入ったシンプルな御朱印をいただけます。

彌高神社(秋田県秋田市)
御朱印授与時間・・・9:00〜17:00
料金・・・御朱印300円


■[唐沢山城/唐澤山神社]月代わりでさまざま御朱印を頒布

唐澤山神社、唐沢山城
唐沢山城を築城した藤原秀郷の子孫によって創建した唐澤山神社は、城の本丸跡に鎮座。御朱印は月代わりでデザインが変わり、複数種類あります。

唐澤山神社(栃木県佐野市)
御朱印授与時間・・・9:00〜17:00
料金・・・御朱印500〜800円


■[金山城/新田神社]本丸跡に鎮座する新田義貞を祀る神社

金山城、新田神社
鎌倉幕府を倒した新田義貞を祀る新田神社は、義貞の子孫と地元有志によって、明治時代に本丸跡に建てられました。御朱印は書き置きで、麓の春日神社でもいただくことができます。

新田神社(群馬県太田市)
御朱印授与時間・・・書き置きのため特になし。ただし数に限りがあるため、日中がおすすめ
料金・・・御朱印300円


■[上田城/眞田神社]六文銭と真田幸村にちなんだ文字が押される

上田城、眞田神社
上田城の本丸跡に鎮座する眞田神社は、歴代城主である真田氏、仙石氏、松平氏を祀ります。御朱印の右上に押される六文銭の印には「勇」「智」「仁」の3種類があります。

眞田神社(長野県上田市)
御朱印授与時間・・・8:00〜17:00、冬期は9:00〜16:00(季節によって変動あり)
料金・・・通常御朱印300円

■[小田原城/報徳二宮神社]小田原城内で二宮金次郎を祀る

小田原城、報徳二宮神社
報徳二宮神社は、小田原出身で農村復興に力を尽くした二宮金次郎こと二宮尊徳を祀る神社。小田原城の小峯曲輪に位置しています。拝殿の礎石には、天保の大飢饉の際に尊徳が開いた米蔵の礎石が用いられているそう。御朱印には「小田原城内鎮座」と書かれています。

報徳二宮神社(神奈川県小田原市)
御朱印授与時間・・・9:00〜16:00
料金・・・御朱印300円


■[八幡山城/瑞龍寺]菊のご紋が押される日蓮宗唯一の門跡寺院

八幡山城、瑞龍寺
八幡山城の本丸跡に建つ瑞龍寺は、豊臣秀次の母・瑞龍院日秀尼(瑞龍寺殿日秀尼公)が秀次の菩提を弔うため、京都の村雲に創建されたのち、現在地へ移りました。門跡とは皇族が住職となる寺院のこと。瑞龍寺ではあわせて八幡山城の御城印もいただけます。

瑞龍寺(滋賀県近江八幡市)
御朱印授与時間・・・9:00〜16:00
料金・・・境内自由(寺院拝観料500円)、御朱印300円

■[犬山城/三光稲荷神社]城めぐりと一緒に縁結び祈願!

犬山城、三光稲荷神社
犬山城の歴代藩主・成瀬家を祀る三光稲荷神社は、縁結びの神社として有名で、ピンクのハートの絵馬が人気。「尾張国犬山丸之内」の印がある御朱印と、犬山城が描かれた御朱印帳は、城好きならぜひ手に入れたいところ。

三光稲荷神社(愛知県犬山市)
御朱印授与時間・・・8:30〜16:30
料金・・・御朱印300円



■[高取城/壷阪寺]高取城主、本多氏とゆかりのあるお寺

高取城、壷阪寺
城下から望む姿から、別名「芙蓉城(ふようじょう)」と呼ばれた高取城。御朱印の真ん中には尾張本多氏家紋で壷阪寺の寺紋である「立ち葵(たちあおい)」が描かれています。


壷阪寺(奈良県高市郡)
御朱印授与時間・・・8:30〜17:00
料金・・・御朱印300円

高取城に関する記事はこちら

■[和歌山城/和歌山縣護國神社]和歌山城内から県の英霊たちが見守る

和歌山城、和歌山縣護國神社
戊辰戦争以降、和歌山県出身の戦没者を慰霊するため招魂祭が行われており、昭和に入ってから和歌山市より敷地の譲渡を受け、現在地に創建されました。御朱印には「和歌山城内鎮座」と書かれています。

和歌山縣護國神社(和歌山県和歌山市)
御朱印授与時間・・・9:00〜15:00
料金・・・御朱印300円

和歌山城に関する記事はこちら

■[大阪城/豊國神社]天下人・豊臣秀吉を祀る出世神社

大阪城、豊國神社
大阪城を築いた豊臣秀吉、豊臣秀頼、豊臣秀長を祀る豊國神社。秀吉にあやかって、出世開運のご利益があるのだとか。大阪城の二の丸に位置し、御朱印にも「大阪城」と書かれています。

豊國神社(大阪府大阪市)
御朱印授与時間・・・9:00〜17:00
料金・・・御朱印300円

■[千早城/千早神社]城を守った“大楠公”を祀る

千早城、千早神社
千早神社は、楠木正成による戦いで有名な千早城の本丸跡に建ち、正成を祀っています。御朱印にも大きく「大楠公(=楠木正成)」と墨書きがあり、千早城趾の印があります。

千早神社(大阪府南河内郡千早赤阪村)
御朱印授与時間・・・毎週土曜日の9:00〜14:00(ただし宮司に用事ができた場合は欠勤)。それ以外は、書き置きを山麓の「金剛山麓まつまさ」(9:00〜17:00、金曜定休)に置いている。
料金・・・御朱印300円

■[姫路城/兵庫縣姫路護國神社]世界遺産の隣にある護国神社

姫路城、兵庫縣姫路護國神社
姫路城大手門の東側にて、兵庫県西南部(播州・但馬地区)出身者の護国の御霊を祀る神社。第二次世界大戦後に社名の改称を余儀なくされたときは、「白鷺宮」という社号でした。御朱印には「姫路城大手門東」の印が入っています。

兵庫縣姫路護國神社(兵庫県姫路市)
御朱印授与時間・・・9:00~17:00
料金・・・御朱印300円

■[赤穂城/赤穂大石神社]忠臣蔵のふるさとで大願成就

赤穂城、赤穂大石神社
赤穂大石神社は、忠臣蔵討ち入りを果たした、大石内蔵助以下四十七義士や浅野長矩(内匠頭)をはじめ3代の城主などが祀られています。大石内蔵助らが主君の仇を討ったことから大願成就のご利益で有名です。

赤穂大石神社(兵庫県赤穂市)
御朱印授与時間・・・8:30〜16:45
料金・・・御朱印300円

■[広島城/広島護國神社]御朱印の中を鯉が優雅に泳ぐ

広島城、広島護國神社
戊辰戦争から第二次世界大戦で投下された原子爆弾で亡くなった人々を祀る神社。原子爆弾で社殿も焼失し、再建のさいに広島城内へ移設されました。御朱印にある「鯉城跡鎮座」の鯉城は、広島城の別名です。

広島護國神社(広島県広島市)
御朱印授与時間・・・9:00〜17:00
料金・・・御朱印300円

■[福山城/三蔵稲荷神社]築城とともに祀られた城の守護神

福山城、三蔵稲荷神社
1619年、水野勝成が福山城を築城したさいに、備後国の守護神として祀られたのが三蔵稲荷神社の起源です。御朱印にも福山城にあることを示す墨書きや印があります。

三蔵稲荷神社(広島県福山市)
御朱印授与時間・・・8:00〜17:00
料金・・・御朱印300円

■[松江城/松江護国神社]北之丸で出雲・隠岐出身の戦没者を祀る

松江城、松江護国神社
現存天守がある松江城の搦手側、北之丸にある護国神社です。堂々と「大義」と書かれた御朱印が特徴的。城内にはほかに松江神社、城山稲荷神社もあります。

松江護国神社(島根県松江市)
御朱印授与時間・・・9:00〜9:45、10:50〜11:45、13:30〜17:00。すべて書き置き。ただし靖國神社・護国神社指定の朱印帳は専用の書式で対応。
料金・・・御朱印300円

■[久留米城/篠山神社]鈴虫祭で有名な、歴代城主を祀る神社

久留米城、篠山神社
歴代の藩主・有馬氏5代を祀る篠山神社は、久留米城の本丸に建っており、御朱印にも「久留米城本丸址鎮座」の文字が。毎年8月に行われる鈴虫祭では、名月と城跡と鈴虫のコラボレーションが楽しめます。

篠山神社(福岡県久留米市)
御朱印授与時間・・・10:00〜16:00
料金・・・通常御朱印300円

■[中津城/中津大神宮]城跡に建つ豊前の国のお伊勢様

中津城、中津大神宮
伊勢神宮の分霊を祀って中津城跡に創建されたのが、中津大神宮のはじまり。御朱印には祭神・天照大御神と本丸鎮座を示す印が押されています。中津大神宮以外に、城井神社、中津神社も城跡に鎮座しています。

中津大神宮(大分県中津市)
御朱印授与時間・・・9:00〜17:00
料金・・・御朱印300円

■[熊本城/加藤神社]熊本城の大天守や宇土櫓を見ながら参拝

熊本城、加藤神社
熊本城を築き、熊本の発展に貢献した加藤清正を祀ります。宇土櫓のある平左衛門丸の北側にあり、2019年2月現在、宇土櫓や大天守を一番間近で見られる場所になります。御朱印には「熊本城内鎮座」の墨書きが。

加藤神社(熊本県熊本市)
御朱印授与時間・・・8:00〜17:00
料金・・・御朱印300円

※御朱印の授与時間は変更になる場合がございます。また、お祭りなどにより授与できない期間もございますのでご注意ください。

熊本城に関する記事はこちら

執筆・写真/かみゆ歴史編集部 
「歴史はエンタテインメント!」をモットーに、ポップな媒体から専門書まで編集制作を手がける歴史コンテンツメーカー。

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