2024/03/05
全国縦断!桜を愛でる花見の城 桜を愛でる花見の城 2024 第5回|【関東・甲信越編】まもなく見頃!どの桜の名城にする?
春の訪れを告げる桜の花。お城で楽しめる桜まつりやお花見スポットをご紹介。今回は関東・甲信越編。天下第一と称される高遠城など桜の名所として名高い城が登場。※2024年3月6日 2024年版に一部更新 ※イベントについては中止・変更となる場合がございますので、各自治体・観光協会・お城のホームページなどを確認の上、お出かけいただきますよう、お願いいたします。
全国の美しい桜を楽しめる城を訪ねゆく「全国縦断!桜を愛でる花見の城」。第5回は武田信玄や上杉謙信などを生んだ甲信越地方と、徳川幕府のお膝元である関東地方の桜の名城をご紹介。甲信越地方には「日本三大桜名所」の一つにして天下第一と称えられる高遠城(長野県)や国宝天守を有する松本城(長野県)、関東地方には北条五代の繁栄を支えた小田原城(神奈川県)や将軍の城・江戸城(現在の皇居/東京都)など日本屈指のお花見スポットが集っています。今年のお花見はどこへ行こうか迷ってしまいますね。
▼お花見ができる【桜の名城MAP】詳しくはこちら
[高田城(新潟県上越市)]日本屈指の夜桜を楽しむ観桜会
高田城(新潟県)は、徳川家康の六男・忠輝公の居城として築かれた城。その後は譜代大名などが城主となり明治時代を迎えました。しかし、明治3年(1870)に火災で建物の一部を喪失、さらに廃城令により残りの建物も取り壊され、陸軍第13師団の司令部が置かれました。この陸軍第13師団の入城を記念して植えられたのが2,200本の桜。その後も桜の数は増え、現在は高田城址の周辺も含めて約4,000本の桜が春になると咲き乱れます。これだけでも圧巻ですが、夜になると約3,000個のボンボリが桜を幻想的に照らし出すのです。
高田城の城跡に立地する高田公園は、2020年4月1日から「高田城址公園」に名称を変更し、同公園で毎年4月に開催されてきた「高田城百万人観桜会」も「高田城址公園観桜会」に改称。期間中はぼんぼりが点灯され、ライトアップされた高田城三重櫓と共に桜を眺めることができます。
高田城の夜桜は日本三大夜桜の一つに数えられている(上越観光コンベンション協会提供)
[桜の見頃]4月上旬〜4月中旬
[イベント]高田城址公園観桜会
開催日:2024年3月29日~4月14日
会場名: 高田城址公園
アクセス:えちごトキめき鉄道・妙高はねうまライン高田駅から徒歩約15分
[高遠城(長野県伊那市)]旧藩士たちが復活させた「天下第一の桜」の城
高遠城(長野県)は武田信玄が諏訪支配の拠点として活用し、後に信玄の跡を継ぎ武田家の当主となる勝頼が若い頃に城主を務めた城です。織田信長の甲州攻めに抗った高遠城は織田軍によって壊滅的なダメージを受けますが、江戸時代に近世城郭に改修され高遠藩の藩庁となります。
江戸時代の高遠城には桜の馬場と呼ばれる桜の名所がありました。明治時代に城が廃城となり荒れ本題になってしまったことを悲しんだ高遠旧藩士たちは馬場から城の中心部へ桜を移植し、高遠城跡はかつての活気を取り戻します。園内に咲く約1,500本もの桜を存分に楽しめるのが「高遠城址公園さくら祭り」。ライトアップやプロジェクターによる投影で夜桜を彩り、さらに江戸時代から受け継がれるお囃子「高遠ばやし」が園内を巡行し、ムードをいっそう盛り上げます。近隣の美術館や歴史博物館で開催される特別展も必見です。
ソメイヨシノよりも小ぶりで赤みの強いタカトオコヒガンザクラは、高遠城でしか見ることができない貴重なもの
[桜の見頃]4月上旬〜4月中旬
[イベント]高遠城址公園さくら祭り
開催日:2024年3月下旬〜4月上旬(開花宣言翌日から散り終わりまで。ライトアップは開花期間中の約10日間 ※開花状況に応じて)
会場名:高遠城址公園
アクセス:JR伊那市駅からバス「高遠」駅下車、徒歩約15分。
[小諸城(長野県小諸市)]江戸時代の栄華を語る幾百本の老桜
武田信玄の軍師・山本勘助が縄張を考えたといわれている小諸城(長野県)。武田氏滅亡後は豊臣支配下の仙石秀久が城主となり近世城郭へ改築しました。明治維新後に廃城となりますが、現在も大手門などの建物が残っています。
城址公園・懐古園として整備された城跡は桜の名所として知られ、ソメイヨシノの他、小諸八重紅枝垂など多様な桜を楽しむことができます。これらの桜が見頃を迎える4月上旬から下旬にかけて行われるのが、「小諸城址懐古園桜まつり」。小諸センゴク甲冑隊がおもてなしをしてくれる野点や夜桜人力車など小諸ならではのイベントを楽しむことができます。
懐古園の桜並木。小諸八重紅桜枝垂は4月中旬から咲き始めるため、小諸城では4月末頃まで桜を楽しめる
[桜の見頃]4月上旬〜4月中旬
[イベント]小諸城址懐古園桜まつり
開催日:2024年4月1日〜4月25日
会場名:小諸城址懐古園
アクセス:JR・しなの鉄道小諸駅から徒歩約3分
[上田城(長野県上田市)]難攻不落の堅城で楽しむ桜まつり
天下人・徳川家康が最も恐れた武将・真田昌幸。彼によって信濃国に築かれたのが、上田城(長野県)です。徳川軍の大軍を2度撃退したことから、「落ちない城」として受験生に人気な城でもあります。明治の廃城後に桜や梅が植えられており、戦前から桜の名所として知られていました。今年で21回を迎える「上田城千本桜まつり」では、上田地域のご当地グルメや特産品、さらに日本夜景遺産に認定されている幻想的な千本桜ライトアップを楽しめます。
尼ヶ淵側から見た南櫓。城内では、ソメイヨシノのみならず、ロトウザクラ、ウコンザクラなど様々な種類の桜が楽しめる
[桜の見頃]4月上旬〜4月中旬
[イベント]第20回上田城千本桜まつり
開催日:2024年3月30日〜4月7日
会場名:上田城跡公園
アクセス:JR上田駅から徒歩約12分
[小田原城(神奈川県小田原市)]北条五代の栄光を偲ぶ桜まつり
北条氏の関東支配の拠点であり、あの武田信玄や上杉謙信が攻め落とせなかった堅城、小田原城(神奈川県)。現在は小田原城址公園として整備され、国内外から多くの人が訪れる観光スポットとなっています。天守閣や堀を背景に、約300本のソメイヨシノが咲き誇り、夜にはぼんぼりも点灯され幻想的な雰囲気に。
春爛漫の小田原市内で行われるのが、「小田原桜まつり」。城内では全国各地のおでんが集結する「おでんサミット」などのグルメイベントや、子どもたちが桜の下を練り歩く「稚児行列」が行われます。
小田原城の再建天守と桜。天守からは桜色に染まった城下町を一望できる
[桜の見頃]3月下旬~4月上旬
[イベント]小田原桜まつり
開催日:2024年3月23日~4月7日
会場名:小田原城址公園他
アクセス:JR小田原駅から徒歩約10分
[江戸城(東京都千代田区)]千代田のお城で粋にお花見!
徳川家康が改修し、徳川将軍家代々の居城となった江戸城(東京都)。江戸幕府の政庁として機能し、城下町は俗に八百八町と呼ばれる世界有数の都市へ成長しました。幕府が倒れると江戸城は新政府に明け渡され、現在は天皇陛下の住まいである皇居となっています。例年、桜が見頃を迎えるのに合わせ、3月下旬~4月上旬に皇居・乾通りを一般公開しています。
皇居東御苑や千鳥ヶ淵、外濠公園など、皇居周辺は桜の名所としても知られており、皇居のある千代田区では、毎年3月下旬~4月上旬に「千代田のさくらまつり」が開催されています。
千鳥ヶ淵にはボートからのお花見を楽しむカップルや家族連れが集まっている
[桜の見頃]3月下旬~4月上旬
[イベント]千代田のさくらまつり
開催日:2024年3月22日~4月2日
会場名:千鳥ヶ淵縁道ほか
アクセス:JR中央線東京駅から徒歩5分
(さくらまつり会場の中心地)東京メトロ東西線九段下駅から徒歩約5分
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[岩槻城(埼玉県さいたま市)]菖蒲池の八ツ橋から春の風情を楽しむ
岩槻城(埼玉県)は、太田道灌が築いたとされる城。築城の際に竹を束ねて沼に埋め、盛土をしたという逸話から「竹たばの城」などの別名もあります。公園として整備された城内には約600本の桜があり、春には多くの花見客で賑わいます。開花時期に行われる桜まつりでは、提灯による桜のライトアップなどを行います。
城址公園のシンボルである菖蒲池周辺は、園内一の桜スポット。池にかかる赤い八ツ橋と桜のコラボレーションが特に見事
〈関東・甲信越の桜の名城 その他15城〉
武田氏館(山梨県甲府市)
「風林火山」の旗で有名な武田信玄が居館としていた武田氏館(別名:躑躅ヶ崎館)は、大正時代に信玄を祀る武田神社となりました。春になると参道から境内までが桜で彩られ、かつての武田家の栄華を偲ぶことができます。
[桜の見頃]3月下旬〜4月上旬
[アクセス]JR甲府駅からバスで「武田神社」下車、徒歩すぐ。
甲府城は武田氏滅亡後に甲斐支配のために築かれた城。明治時代に廃城となりましたが、現在は舞鶴城公園として整備され市民の憩いの場となっています。公園内は桜と富士山を同時に楽しめる贅沢なお花見スポットです。
[桜の見頃]3月下旬〜4月上旬
[アクセス]JR甲府駅から徒歩約5分
新発田城(新潟県新発田市)
新発田藩6万石の居城で、本丸表門の二の丸隅櫓が現存しています。城跡は公園として整備されており、春には「新発田城址公園桜まつり」が開催されます。
御三階櫓と桜。新発田城では水堀沿いに美しい桜が咲く
[桜の見頃]4月上旬〜4月中旬
[イベント]新発田城址公園桜まつり(2024年3月27日〜4月14日)
[アクセス]JR新発田駅から徒歩約25分
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松本城(長野県松本市)
安土桃山時代末期から江戸時代初期にかけて建てられた天守が残る松本城。松本城公園や周辺のお堀にある、約320本のソメイヨシノ、コヒガンザクラ、シダレザクラなどを雪の残る北アルプスの山々とともに楽しむことができます。桜の見頃期間は本丸庭園が夜間開放されます。夜間解放中には雅楽の舞台やお茶席が設けられ、夜のお花見をしっとりと味わうことができます(2021年は本丸庭園の桜のライトアップと無料開放のみ)。
日本アルプスと桜を背景にそそり立つ天守は、松本城でしか見ることができない光景だ
[桜の見頃]4月上旬〜4月中旬
[イベント]第23回 国宝松本城夜桜会(2024年4月上旬~中旬。松本城管理事務所の開花宣言より3日後~8日間)
第16回 国宝松本城桜並木 光の回廊(2024年4月上旬~中旬。国宝松本城夜桜会と同期間)
裏千家淡交会 春季茶会(未定)
[アクセス]JR松本駅から徒歩15分
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高島城(長野県諏訪市)
諏訪藩の居城として築かれ、「諏訪の浮城」と呼ばれた水城。城内にはソメイヨシノの他シダレザクラやヤエザクラなど約90本が植えられており、花見客の目を楽しませてくれます。桜と同時期に花をつけるサンシュとの美の競演も見どころです。
[桜の見頃]4月上旬 ~ 4月中旬
[アクセス]JR上諏訪駅から徒歩約10分
松代城(長野県長野市)
真田幸村の兄・信幸が繁栄の礎を築いた松代城。4月中旬に行われる「松代春まつり」では写生大会やあんずまつりなど風光明媚な松代の春を堪能できます。
[桜の見頃]4月上旬 ~ 4月中旬
[イベント]松代春まつり(2024年4月13日・14日)
[アクセス]JR長野駅からバス約「松代駅」下車、徒歩約5分
犬甘城(長野県松本市)
松本市の郊外に位置する城山公園は、かつて犬甘城(いぬかいじょう)という山城でした。この城は、国宝松本城から約1.5kmという距離にあるため、園内にある展望台からは松本城を望むことが可能。1つの城にいながら2城の桜が楽しめるお得な城なのです。
[桜の見頃]4月上旬〜4月中旬
[アクセス]JR松本駅からバス「開松」下車、徒歩約5分
龍岡城(長野県佐久市)
龍岡城は幕末に築かれた城で、西洋の軍学を取り入れた稜堡式城郭です。星形のお堀沿いには桜が植えられており、春になると可愛らしいピンク色の星が現れます。桜が散る時期になると水堀に花筏が浮かぶのも、風情ある光景です。
[桜の見頃]4月中旬〜4月下旬
[アクセス]JR臼田駅から徒歩約20分
飯山城(長野県飯山市)
飯山城は、上杉謙信が信濃攻略の足がかりとして築いた城で、越後と信濃の国境付近にあったことから、明治に廃城になるまで何度も城主が変わっています。本丸から二の丸にかけて石垣や土塁が残っており、公園となっている二の丸跡は桜の名所として有名です。
[桜の見頃]4月中旬〜4月下旬
[イベント]飯山城址桜まつり(2024年4月1日〜4月29日)
[アクセス]JR北飯山駅から徒歩約5分
津久井城(神奈川県相模原市)
戦国時代、対武田の最前線として北条氏が重要視していた津久井城。城のふもとにある津久井湖は現在桜の名所として知られており、毎年「津久井湖さくらまつり」が開催されます。
[桜の見頃]3月下旬 ~ 4月上旬
[イベント]津久井湖さくらまつり(2024年3月30日)
[アクセス]京王線橋本駅からバスで「津久井湖観光センター前」下車、徒歩約5分
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千葉城(別名:亥鼻城)は鎌倉幕府の御家人・千葉氏が居城として用いていた城で、1967年に天守を模した郷土資料館が建てられました。城周辺は千葉市民が集うお花見スポットで、「千葉城さくら祭り」が毎年開催されています。
[桜の見頃]3月下旬~4月上旬
[イベント]千葉城さくら祭り(2024年3月23日~3月31日)
[アクセス]JR本千葉駅から徒歩約10分
佐倉城(千葉県佐倉市)
激動の幕末に老中首座として活躍した堀田正睦を輩出した佐倉藩。その藩庁が佐倉城です。現在は空堀などの遺構しか残っていませんが、城内には50種類以上、約1,100本の桜が植えられており、人々の目を楽しませてくれます。
[桜の見頃]3月下旬~4月上旬
[イベント]さくらまつり(2024年3月28日~4月2日)
[アクセス]京成電鉄本線京成佐倉駅から徒歩約20分
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小山城(栃木県小山市)
鎌倉時代以来、下野国守護を務めていた小山氏が拠点としていた城。小山には昭和時代に生まれた新種の桜「思川桜」が咲く、知る人ぞ知る桜の名所です。市内を流れる思川には、この桜を含む1,700本の桜が並木道をつくっています。
[桜の見頃]3月下旬~4月上旬
[イベント]おやま二千本桜まつり(2024年3月17日~4月14日)
[アクセス]JR小山駅から徒歩約8分
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大田原城(栃木県大田原市)
大田原城は、16世紀半ばに大田原資清(おおたわらすけきよ)によって築かれた城で、廃藩置県が行われるまで約300年間にわたって大田原氏が居城としていました。城跡は昭和時代に龍城公園として整備され、桜やつつじが植えられています。桜の見頃時期に行われる「大田原市さくら祭り」は、夜桜ライトアップのほか家族で楽しめるイベントが盛りだくさんです。
[桜の見頃]3月下旬~4月上旬
[イベント]大田原市さくら祭り(2024年3月23日~4月21日)
[アクセス]JR西那須野駅からバス「公園前」下車、徒歩すぐ
高崎城(群馬県高崎市)
徳川家康の関東入部の際に、井伊直政が築いた近世城郭。城内の堀や土塁はほぼ完全に残っており、一部の櫓や門も現存しています。城内には桜が約300本植えられており、お堀の水面に浮かぶ花筏が春の風情を感じさせてくれます。
[桜の見頃]3月下旬~4月上旬
[イベント]たかさき春まつり(2024年4月7日)
[アクセス]JR高崎駅から徒歩約10分
沼田城(群馬県沼田市)
長年、真田氏と北条氏の間で領有を争われ、小田原攻めの一因ともなった城。公園として整備された城跡には桜が咲き誇り、毎年地元商工会が主催する「沼田公園桜まつり」が桜の盛りに花を添えます。
復元された鐘櫓と桜。ちなみに櫓は復元だが、鐘は江戸時代初期に藩主・真田信吉がつくらせたものである
[桜の見頃]4月上旬 ~ 4月中旬
[イベント]沼田公園桜まつり(2024年4月1日~4月14日)
[アクセス]JR沼田駅からバスで「沼田局前」下車、徒歩約5分
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結城城(茨城県結城市)
鎌倉時代から続く名家・結城氏の居城にしてミステリアスな埋蔵金伝説を持つ結城城。現在、城跡歴史公園となっている城跡には約150本の桜が植えられており、毎年恒例のさくらまつりには市内外からお花見客が集まります。
[桜の見頃]3月下旬~4月上旬
[イベント]結城さくらめぐり(2024年3月23日~4月7日)
[アクセス]東北道佐野藤岡ICから約50分
イベント詳細はこちら
※イベントの日程や内容は、変更となる場合がありますので、事前にご確認の上、お出かけください。
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執筆・写真/かみゆ歴史編集部(小関裕香子)
「歴史はエンタテインメント!」をモットーに、ポップな媒体から専門書まで編集制作を手がける歴史コンテンツメーカー。手がける主なジャンルは日本史、世界史、美術史、宗教・神話、観光ガイドなど歴史全般。最近の編集制作物に『天皇〈125代〉の歴史』『マンガ面白いほどよくわかる!新選組』(西東社)、『さかのぼり現代史』『日本の信仰がわかる神社と神々』(朝日新聞出版)、『ニュースがわかる 図解東アジアの歴史』(SBビジュアル新書)、『ゼロからわかるケルト神話とアーサー王伝説』(イースト・プレス)など。