前田慶次の自腹でお城めぐり 【第18回】凸長浜城 前編~秀吉初めての城~

お城に関する豊富な知識を持つ「名古屋おもてなし武将隊」の一員・前田慶次様が、全国のお城を実際にめぐりながら歴史・特徴・魅力を解説。今回は、天下人となった豊臣秀吉の出世城として知られる長浜城(滋賀県長浜市)の前編。犬山城をモデルにして復元された優美な復興天守や、お城の歴史を知る上で重要なスポットを余すところなく紹介します。

皆の衆、我こそは名古屋おもてなし武将隊天下御免ノ傾奇者前田慶次である。

此度(こたび)城びとと同盟を結び、此の前田慶次が連載を持つ事と相成った。
先ずは、名乗りを上げよう。

前田慶次

 前田慶次齢四八十歳。戦国の世では天下御免ノ傾奇者として名を馳せ申した。現世に蘇りは名古屋おもてなし武将隊の一角として、名古屋城を拠点に名古屋を世界一の観光都市にせんが為、日々戦働きに勤しむ。

演武といったパフォーマンスなるものを披露し、電波放送戦(テレビやラジオ)は常戦番組(レギュラー)を持ち、全国各地に遠征を繰り広げる。
結成十三年目を迎え、全国の武将隊の先駆けとして日ノ本を代表とする武将隊である。
して、儂前田慶次は現世に蘇り歴史の語り部として多くの戦に出陣して参った。

伝統芸能を伝える舞台出陣、歴史学者との対談、寺子屋(学校)での歴史授業。
名古屋城検定名誉顧問に叙任され、検定過去最高得点を叩き出す。
日本城郭検定にも挑戦し合格。
日ノ本が誇る歴史文化をより多くの者に伝えるべく、此度から城びとでの連載を始める次第。

題して
 
前田慶次の自腹でお城めぐり、犬山城

【前田慶次の自腹でお城めぐり】

他の連載と何が違うのか!?

・現世に生きる戦国武将自らが感じたことを紹介!
・傾奇者による城郭魅力度数値化!
・城巡りの手引書(案内)となる!
・地域の特色を織り交ぜ、観光が楽しくなる!
・イケメン(前田慶次)が見れる!
・要点を抑えた紹介!
・兎に角分かりやすい!

全国の城に直接己が足で出向き、城の見方、歴史を伝え、
其の城の傾き所(見所)や天守閣、男前田度(イケメン)を前田慶次の独断で評価する。
歴史初心者から玄人まで楽しめる、国宝連載となっておる。

ただ城を巡るのではなく! 儂の金子(金)で城に登城する。つまり限られた金子で巡る
旅の道中劇にも注目してもらいたい!!
また巡り方については、王道の道順を歩む故に参考にすると良い。。

長浜城 城郭の魅力度を数値化

長浜城
 
羽柴秀吉の転機となった出世城!

長浜城

【基本情報】

城郭構造:平城
主な築城者:羽柴秀吉
築城年:天正2年1574
廃城:慶長20年(1615)
指定文化財:長浜城跡(市指定史跡)

【歴史】

■バサラ大名が築城
「長浜」は元々「今浜」と呼ばれ、バサラ大名こと京極道誉(どうよ)が室町時代初期に築城。
因みに京極家の祖は鎌倉幕府創世記を支えた佐々木家である。(『鎌倉殿の13人』でも源頼朝挙兵時から登場した人物)
 
■羽柴秀吉時代
姉川の合戦(1570年)で活躍し、浅井家が滅亡した後にこの地を拝領したのが羽柴秀吉!
小谷城に入城し今浜に城を築城開始!(完成1577年)
今浜から長浜に地名を改め、1574年頃に拠点を長浜に移し天正10年(1582)まで居城とした!
長浜の地名に変更したのは主君である織田信長から字を取っている!

■山内一豊時代
天正11年(1583)賤ケ岳の戦いでは羽柴秀吉は長浜城を拠点としており勝利を収めている!
以降(1585年~)は家臣である山内一豊(高知城築城で有名)が城主を務めた!

■江戸時代廃城
江戸時代に突入すると徳川家康の異母兄弟である内藤信光が入城。
内藤信光の子が摂津高槻に移ると長浜城は廃城となった。

■最近の出来事
昭和37年(1962)長浜城は市指定文化財に指定される!

長浜城

長浜城、名古屋駅

【名古屋の車寄 名古屋駅から出陣】

さぁ此度も気張ってお城巡りへ参るぞー!と気を滾らせて名古屋の車寄(玄関口)名古屋駅から出陣である!
この連載は我が自腹で巡って参るということで残金は「3万7182円」である。

慶次「無駄遣いを出来るだけせぬように本日も城巡り楽しんでゆくぞ!
長浜城は豊臣秀吉様の出世城と言っても過言ではない!
秀吉様初の築城された城であり大名の仲間入りをされたきっかけでもある!
また、地名変更もされており、元は「今浜」という名前を信長様の一字から頂戴し
「長浜」と改めたりして城以外の点も見所沢山!
何故秀吉様が長浜の地に城を築城して出世できたのかお城巡りで発見致そう!」

長浜城、名古屋駅

JR名古屋駅から出陣!
長浜までは乗り換えを要する! 名古屋駅―米原駅―長浜駅となる!

長浜城、米原駅

長浜城、長浜駅

鉄籠(電車)に揺られること約1時間30分で着陣!

長浜城、長浜駅

【長浜駅は交通の要所!秀吉様の教え?】

長浜駅に着陣し駅から長浜城の天守が見える!

慶次「何と立地が良い事か。
様々な城へ参ったが駅からこんなにも大手(正面)が見えるのは長浜城くらいでは??
長浜駅は此の周辺である「金沢駅、福井駅、米原駅」に次いで乗車利用者数が多いと聞く。
つまり交通の要所である!
嘗(かつ)て秀吉様がこの地に城を築城しようと考えた理由も交通の要所となるとお考えであったと聞いた。
当時は水運が強かった故に琵琶湖近くが良かったのじゃ!」

長浜城、長浜駅

長浜城、長浜駅

駅構内は秀吉様への尊敬の念が感じられる造り!
当時の長浜城を再現した障壁画が出迎える! 

長浜城、長浜駅

駅の目の前には秀吉様の家臣である「石田三成」のマスコットキャラクターなる「三成くん」が出迎える!
嘗て秀吉様と三成が出会ったのも長浜である! 三成の生まれは長浜なんじゃ!

長浜城、石碑

【西口の目の前は】

長浜駅西口から天守へ向かう。駅から出て目の前に「長浜城内堀通り」の石碑を発見!
目の前は街道(道路)になっておる故に埋め立てた事が分かる!

長浜城、周辺地図

その目の前には長浜駅周辺地図も立て看板で御座る!

慶次「先ずは地理を知る事じゃ!
嘗ての城攻めにおいても地理を知らずに攻めるととんでもないことになり申す…。
地理を知る事は城郭においては「縄張り」を知る事。実に大事なことぞ!
地図を見れば一目瞭然であるが、長浜城の背中は琵琶湖になっており搦手(裏)から攻めるのは難儀である!
大手に守備を集中させれば良い! 即ち、寺社は東側に多く配されておるわな!」

ムムッ!? 美味そうな飯がどえりゃーある!!!

慶次「成程。飯屋で誘惑させて城へ行かせない戦法か。やるな長浜城!!」
※道草せずに皆は参ろう!

長浜城、御馬屋跡

【御馬屋跡】

これまた内堀の目の前には「長浜城御馬屋跡」の石碑が御座る!
御馬屋跡という事は、要は馬小屋のようなものじゃ!
馬屋と申すと儂も参った「彦根城」に現存したものが御座って有名じゃな!

長浜城、縄張

【縄張】

石碑には嘗ての長浜城の姿を復元した絵図面が御座る!
駅周辺(西側)は水堀で攻め口が狭いのが分かる!
守備力に目が行きがちであるが、経済人織田家臣団らしい水運業に力を入れる城郭で面白い!

古絵図などを基にした長浜城の復元によると
2重の外堀と内堀に囲まれた水城となっており、南北約1.2km、東西約0.7kmの大きさであった。
廃城が早かった故に資料が少ないのが惜しい…。

長浜城、天守

天守へ向かって街道を行軍! 視界に天守が見える故に迷うことはない!

長浜城、瓢箪

【映え地!】

秀吉様と申せば瓢箪(馬印)である!
其れと共に写すことができる映えスポットなるものが造られておる!
映え田慶次見参!!

長浜城、紅葉

近づいて参ったが、紅葉の時期なれば真っ赤に染まり美しき景観であろう。

長浜城、紅葉

長浜城、紅葉
  
儂と紅葉じゃとこんな具合じゃ!! 良きものであろう。

して、天守へ。

長浜城、天守

【天守】

現世の石畳と石段を登ればこれじゃ!! どうじゃ? 良かろうぞ?
では、ここでお馴染みの企画!
儂前田慶次による独断と偏見で決める天守男前田度(イケメン)

長浜城

80点!!

長浜城天守は現世で再建された復興天守である。
独立式望楼型天守で3重5階の鉄筋コンクリート造である。
再建は1983年と約40年の歴史と考えると非常に状態も良いかなと。
年齢不詳の見た目は現世のイケメンの証の一つ。
また、犬山城天守を見本とし、華頭窓といった装飾性の高い窓が備わっており美的優美性を感じさせる。
最上階には廻縁も御座り、殿様の気持ちになれるおもてなしができるのは内面もイケメンぞ!
中世と近世の良いとこ取りの見た目は高得点である80点ぞ!

では早速中へ入城して参ろう!
 
長浜城、天守、御城印

受付の1階にて入場券と御城印を手にできるぞ!

慶次「儂の御城印帳も2冊目で城びとの石垣御城印帳である! 皆も集めてちょーよ!」

長浜城、天守

1階は歴史グッズがたんまりと用意してあり、御城印以外にも様々な品を手にする事ができる!
やはり石田三成か秀吉様の品が多い印象!

さて長浜城内は1階と5階のみ撮影可能。2、3、4階は主に歴史物の展示となっておる!
2階「企画展」は時期によって展示されるものが変わる故に、事前に電子板(ホームページ)を確認して見に行くと良いぞ!
3階「秀吉と長浜」と掲げて秀吉様と長浜城の歴史について資料と展示物で学ぶ事ができる! 貴重な本蔵の書状が見られるぞ!
4階は茶室となっておる!

長浜城、天守

して。5階は最上階で展望台である!
格(ごう)天井の豪華な造りである。当時ではちと考えられぬ豪華さであるな。

長浜城、天守

天気が良ければ、展望台から各地の城が見られるやも!?

長浜城、天守

琵琶湖の景観が一望できる!

長浜城、天守

此処で突然の前田慶次問答!!!
儂が指を指している先には何があるであろうか?
正解は…

賤ケ岳の戦い(1583年)跡地である!

慶次「マンションなる長屋と思ったであろう? その先にあるんじゃ! ワッハハハハハハ」

長浜城、天守

この先は「比叡山」である!
戦国の世においても信長様による比叡山延暦寺焼き討ち事件で有名であるが、
長浜から見えるという事はその牽制も兼ねておったやもしれんな!

長浜城、天守

先程紹介した華頭窓である。
して、天守を降りて本丸を始め長浜城周辺を見るぞ!!

長浜城、石垣根石

長浜城、石垣根石

天守が御座る本丸には長浜城石垣根石が御座る!

当時石垣技術は最先端で石積み程のものが多かった中で、
近江国は穴太衆と呼ばれし築城に長けた集団が御座った。
織田家は重宝し築城技術も高かった!
根石しか残っておらんが、歴史を伝える上で大事な根石である。
(根石は石垣の土台となる一番下に積む石)

天守裏側へ参り散策!!

長浜城、天守

長浜城、天守

【長浜城天守閣跡と秀吉様の像】

裏側にあったのは、天守閣跡と秀吉様の像である!
現在再建されている天守は、全く異なる場所に築城しており、元々あったのはこちら!
つまり、より琵琶湖側に天守があったということじゃ!!

長浜城、構造
 
【長浜城の構造】
天守台の大きさは東西12間、南北10間であったと江戸時代の資料に残る!
特別巨大というわけでもない。
天正2年(1574)に築城し同5年(1577)に完成したと言われておる故に約3年と考えれば早いし、
各地から古材を使って早急に築城されたのが分かる!

といった所で長浜城の美味い飯や秀吉様の政策を知れる城下町については次回の記事でお届け致す!

次回の記事も楽しみにしてちょ!

以上
名古屋おもてなし武将隊
天下御免ノ傾奇者 名古屋城検定名誉顧問 城びと連載人
前田慶次郎利益

凸伝令

その他の連載もお楽しみください!
▶「【第1回】凸名古屋城」前編(https://shirobito.jp/article/944)・後編(https://shirobito.jp/article/946
▶「【第2回】凸犬山城」前編(https://shirobito.jp/article/966)・後編(https://shirobito.jp/article/982
▶「【第3回】凸岐阜城」前編(https://shirobito.jp/article/996)・中編(https://shirobito.jp/article/997)・後編(https://shirobito.jp/article/1009
▶「【第4回】凸小牧山城」前編(https://shirobito.jp/article/1040)・中編(https://shirobito.jp/article/1054)・後編(https://shirobito.jp/article/1059
▶「【第5回】凸大高城と鷲津砦と丸根砦【桶狭間の要】」(https://shirobito.jp/article/1095
▶「【第6回】凸墨俣城」前編(https://shirobito.jp/article/1132)・後編(https://shirobito.jp/article/1170
▶「【第7回】凸彦根城」前編(https://shirobito.jp/article/1194)・中編(https://shirobito.jp/article/1214)・後編(https://shirobito.jp/article/1275
▶「【第8回】凸清洲城」前編(https://shirobito.jp/article/1286)・後編(https://shirobito.jp/article/1301
▶「【第9回】凸岩崎城」前編(https://shirobito.jp/article/1312)・後編(https://shirobito.jp/article/1335
▶「【第10回】凸大垣城 前編(https://shirobito.jp/article//1335)・中編(https://shirobito.jp/article//1349)・後編(https://shirobito.jp/article//1359
▶「【第11回】凸岡崎城」前編(https://shirobito.jp/article/1385)・後編(https://shirobito.jp/article/1404
▶「【第12回】凸津城」前編(https://shirobito.jp/article/1438)・後編(https://shirobito.jp/article/1445
▶「【第13回】凸浜松城」前編(https://shirobito.jp/article/1459)・後編(https://shirobito.jp/article/1488
▶「【第14回】凸松坂城」前編(https://shirobito.jp/article/1530)・中編(https://shirobito.jp/article/1542)・後編(https://shirobito.jp/article/1585
▶「【第15回】凸伊賀上野城」前編(https://shirobito.jp/article/1597)・中編(https://shirobito.jp/article/1617)・後編(https://shirobito.jp/article/1626
▶「【第16回】凸西尾城」前編(https://shirobito.jp/article/1636)・中編(https://shirobito.jp/article/1663)・後編(https://shirobito.jp/article/1666
▶「【第17回】凸吉田城」前編(https://shirobito.jp/article/1675)・後編(https://shirobito.jp/article/1700


執筆・写真/前田慶次(名古屋おもてなし武将隊)

関連書籍・商品など