お城好き1万人が選ぶ「住みたいお城ランキング」第1位は?

全国各地に築かれた数々のお城は、日本の歴史を今に物語る貴重な史跡。天守に実際に住んだのは織田信長だけと言われ、多くのお殿様は御殿で暮らしていたそうですが、お城に住んでみたいと思ったことがある方も多いのではないでしょうか。そんなお城好きたち1万人が「住みたいお城」を選ぶアンケートが実施され、ランキングが決定しました! 栄えある第1位は?

「住みたいお城ランキング」とは?

今回のアンケートは、お城の知識を問う検定「日本城郭検定」を運営する日販セグモ株式会社が、検定の過去合格者約1万人を対象に実施したもの。日本100名城の中から「住環境」「設備」「見た目」の評価軸から総合的に見て、一番住みたいお城を答えてもらいその回答数を集計・ランキング化しました。
では、10位から順番に「住みたいお城ランキング」を見ていきましょう。

▼「日本城郭検定」って?という方はこちらの記事もチェック!
・第19回日本城郭検定 申込受付開始!~知の天守閣へ、いざ。~(https://shirobito.jp/article/493
・日本城郭検定がオンラインで無料!?城びと編集部員がオンライン入門級を受けてみた(https://shirobito.jp/article/1328

10位 松江城(島根県松江市)

<住環境部門12位/設備部門8位/見た目部門12位>
松江城

全国に12城しか残っていない現存天守の1つを誇る松江城が第10位。その美しい天守の姿を目にすると、「住んでみたら?」「天守から眺める景色は?」と想像が広がります。「天守からの宍道湖の眺めは絶景!」「コンパクトな天守、何より美しい城下町が大好き」など、お城を取り巻く絶好のロケーションが人気を後押ししました。

▼松江城に関する記事はこちら
・現存12天守に登閣しよう【松江城】重要文化財から国宝に(https://shirobito.jp/article/324
・萩原さちこの城さんぽ 〜日本100名城・続日本100名城編〜 第16回 63年ぶりの国宝! 松江城天守の独創的な構造とは(https://shirobito.jp/article/705

9位 二条城(京都府京都市)

<住環境部門7位/設備部門13位/見た目部門8位>
二条城

徳川幕府における京都の拠点となった二条城。絢爛豪華な装飾の数々と美しい庭園に対して「優雅・風流がある」「庭園もあるので四季折々を感じながら朝の散歩もいいでしょうね」など“見た目”への評価が高い一方、「本丸までの登城が楽だから」という“職住近接”な点でも選ばれました。職場(本丸)までの行きやすさは、結構大事なポイントですよね。

▼二条城に関する記事はこちら
・明治維新150周年企画「維新の舞台と城」 第1回 【二条城】徳川政権の始まりと終わりを見届ける(https://shirobito.jp/article/241

8位 名古屋城(愛知県名古屋市)

<住環境部門5位/設備部門5位/見た目部門7位>
名古屋城

徳川家康が自らの権威を誇示するべく天下普請で築いた名古屋城。天守閣を飾る金の鯱がトレードマークです。「ピッカピカの本丸御殿に住んでみたい。湯殿もある」など整備されて十分に住むことができる設備の良さに加え、「日本第3の都市であるため生活もしやすい」という大都市の立地の良さを挙げているコメントが多く集まりました。

■名古屋城に関する記事はこちら
・萩原さちこの城さんぽ 〜日本100名城・続日本100名城編〜 第13回 名古屋城 復元された本丸御殿の障壁画に酔う(https://shirobito.jp/article/595
・超入門! お城セミナー 第79回【鑑賞】天守に載っている「しゃちほこ」って何か意味があるの?(https://shirobito.jp/article/929

7位 熊本城(熊本県熊本市)

<住環境部門9位/設備部門2位/見た目部門6位>
熊本城

築城名人・加藤清正が築いた熊本城は、「攻めてくる難敵を阻んだ“武者返し”の石垣に守られている安心感がある」という声が物語るように、その守りの堅さから設備部門で2位と高評価。セキュリティが重要なのは今も昔も同じですね!

■熊本城に関する記事はこちら
連載:熊本城の「いま」https://shirobito.jp/article/rensai/16
・超入門! お城セミナー 第33回【武将】加藤清正はどんな城を造ったの?(https://shirobito.jp/article/495

6位 大阪城(大阪府大阪市)

<住環境部門7位/設備部門4位/見た目部門4位>
大阪城

現在の大阪城の天守は、豊臣秀吉が築いた初代、大坂の陣で勝利した徳川幕府が築き直した2代目を経て、昭和6年(1931)に再建された3代目にあたります。そのため「地上の3代目天守を眺めながら、地下に眠る豊臣大坂城に想いを馳せる」という歴史ロマンを評価する声が寄せられました。「大阪人の誇りであり、オアシス的なとこ」と大阪府民の心をわし掴みにしつつ、都心という利便性も相まって6位にランクイン。

▼大阪城に関する記事はこちら
・昭和お城ヒストリー 〜天守再建に懸けた情熱〜 第8回 【大阪城】豊臣と徳川が融合!?外国人観光客に人気のハイブリッド天守(https://shirobito.jp/article/377
・超入門! お城セミナー 第38回【歴史】大阪城が秀吉の城じゃないって本当?(https://shirobito.jp/article/532

5位 犬山城(愛知県犬山市)

<住環境部門3位/設備部門17位/見た目部門9位>
犬山城

背後が断崖絶壁の「後堅固(うしろけんご)」という守りの堅さで有名な国宝・犬山城は、戦国時代に信長・秀吉・家康が奪い合い、歴史の荒波を生き残った名城。街並みに溶け込むようなレトロで味わいのあるたたずまいの現存天守と、天守から見下ろす景色が魅力として挙げられ5位にランクインしました。犬山駅から犬山城までの城下町グルメも充実しており、そこも住みやすさのポイントが高い理由かもしれません。

▼犬山城に関する記事はこちら
・【日本100名城・犬山城】愛知が誇る国宝は「写真映え」では表現できないほどのイケメン城!(https://shirobito.jp/article/713
・前田慶次の自腹でお城めぐり【第2回】凸犬山城[前編][後編](https://shirobito.jp/article/966

4位 彦根城(滋賀県彦根市)

<住環境部門2位/設備部門3位/見た目部門3位>
彦根城
(画像提供:日販セグモ株式会社)

現存天守にして国宝にも指定されている彦根城は、男性よりも女性から高い支持を獲得し、各部門ともベスト3以内というアベレージな強さを発揮。天守や庭園の優美さや琵琶湖を望む穏やかな環境を備えつつ、戦に備えた防御設備も充実しているというギャップがハートをつかんだのかもしれません。彦根を代表する人気ご当地キャラ“ひこにゃん”の存在も高ポイント!

▼彦根城に関する記事はこちら
・現存12天守に登閣しよう【彦根城】城下町も残る井伊家の居城(https://shirobito.jp/article/304
・前田慶次の自腹でお城めぐり【第7回】凸彦根城[前編][中編][後編](https://shirobito.jp/article/1194

3位 松本城(長野県松本市)

<住環境部門4位/設備部門11位/見た目部門2位>
松本城
(画像提供:日販セグモ株式会社)

国宝にも認定される現存天守の松本城は、日本で唯一という黒漆塗りの五重天守が存在感抜群! さらに、雄大なアルプスの山々を望む立地の良さも松本城ならではの魅力で、「お城から眺められる北アルプスの絶景」「お堀の水面に映った天守などとにかく写真映えする」など、見た目や景観を称賛するコメントが多く寄せられました。

▼松本城に関する記事はこちら
・萩原さちこの城さんぽ 〜日本100名城・続日本100名城編〜 第2回 松本城 漆黒に艶めく天守の秘密(https://shirobito.jp/article/213
・現存12天守に登閣しよう【松本城】国宝天守をもつ唯一の平城(https://shirobito.jp/article/259

2位 江戸城(東京都千代田区)

<住環境部門1位/設備部門6位/見た目部門15位>
江戸城
(画像提供:日販セグモ株式会社)

3代目天守が明暦の大火(1657年)で焼失した後に天守が再建されないまま現在に至る江戸城ですが、「城を中心とした街づくりの完璧さ」という平和な江戸時代の権力の象徴として理想を追求した姿、そして城下町も含めた魅力で推されて堂々の総合2位に。また、「駅近、交通の便が一番いい」「都心に広大な土地」といった声が挙がる現代における資産価値も、住環境部門1位という高評価につながりました。

▼江戸城に関する記事はこちら
・江戸城のすべて(https://shirobito.jp/article/rensai/21

1位 姫路城(兵庫県姫路市)

<住環境部門6位/設備部門1位/見た目部門1位>
姫路城
(画像提供:日販セグモ株式会社)

設備部門・見た目部門いずれも1位という圧倒的な人気を集めた現存天守&国宝&世界文化遺産の姫路城。「日本人の誇りと思える、壮大さ、美しさ」「見た目、機能面どこをとっても素晴らしい」といったコメントが多い一方で、「繁華街からのアクセスの良さ」「トイレ設備が整っている」「たくさんの門、櫓、隠し部屋など、セキュリティも完璧」といった“現代に住む”という観点からも高評価を集めました。「部屋や建物が多く、長く住んでいても飽きなそう」「親戚、友達が遊びに来ても自慢できる」という、豪邸願望の高い人の夢もかなえる納得の第1位でした。

▼姫路城に関する記事はこちら
・現存12天守に登閣しよう 【姫路城】第1回 白くなった姫路城(https://shirobito.jp/article/171
・【兵庫県のお城】戦から平和へ!西国に睨みを利かせる徳川譜代の城!(https://shirobito.jp/article/564

なお今回のランキング結果について、お城ライターであり日本城郭協会の理事も務められている萩原さちこさんが次のようにコメントされています。

都市の中心にあり、利便性は抜群。しかも見栄えがよく籠城の備えが完璧となれば、
住まいとしてはいいですね。みなさんの意見、なるほどと楽しく拝見しました。
私自身は城に住みたいと思ったことはなく、
ただただ「平和な現代に生まれてよかった」と思うばかりです。
しかしあえて住みたい城を選ぶなら、二条城二の丸御殿でしょうか。
江戸幕府の威信をかけて天皇行幸のために築き上げた御殿で、
VIP な気分を味わってみたいと思います。
天守で宿泊となると松本城天守ですが、以前ロケで早朝に訪れたとき、
あまりに冷え込みが厳しく無理だなと思いました(笑)。
月見櫓での優雅な時間は過ごしてみたいです。

▼萩原さちこさんの城びとでの連載はこちらから!
・萩原さちこの城さんぽ 〜日本100名城・続日本100名城編〜(https://shirobito.jp/article/rensai/6
・江戸城のすべて(https://shirobito.jp/article/rensai/21

「住環境」「設備」「見た目」部門別ランキングにも注目

最後に、「住環境」「設備」「見た目」各部門のランキングをそれぞれ発表します。総合ランキングでは圏外だった名城の名前がいくつか見られますね。

住みたいお城ランキング、部門別

天守や追手門が重要文化財に認定されている高知城(高知県高知市)が「設備」部門では9位。全国有数の多雨地帯という気候を考え、石樋(いしどい)という珍しい排水設備が整えられている独自性などがお城好きに刺さったのかもしれません。

また、日本の歴史の中でも重要な名城でありながら総合ランキングから漏れた安土城(滋賀県近江八幡市)が、「見た目」部門5位にランクイン! 本能寺の変後に焼失し「幻の安土城」とまで呼ばれているところが、お城好きたちの想像力を掻き立て、票を集めたのかもしれませんね。

日本を代表する有名なお城からちょっとマニアックなお城まで、全国各地のお城を巡っている日本城郭検定合格者ならではの視点で選んだ「住みたいお城ランキング」、いかがでしたか? あなたの好きなお城や地元のお城はランキングに入っていたでしょうか。
お城には歴史や構造などさまざまな鑑賞ポイントがありますが、新たに“住む”という視点で見ると、またお城巡りも楽しくなるかもしれませんよ。

※記事参照
日販セグモ株式会社:「お城」の有識者1万人に聞いた!!お城好きが選ぶ「住みたいお城ランキング」

執筆:城びと編集部
写真(10位~5位):ニッポン城めぐり

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