【日本100名城・犬山城】愛知が誇る国宝は「写真映え」では表現できないほどのイケメン城!

愛知県犬山市にある国宝、犬山城。カラフルでかわいい城下町グルメや、城の麓にある縁結びで知られる三光稲荷神社が話題を集め、近年、若者や女性たちからフォトジェニックスポットとして熱い視線を集めています。現存最古と言われる犬山城の天守や、ちょっとマニアックな注目ポイントなど、犬山城の見どころをドドーンとご紹介します!

2004年まで日本で唯一個人所有の城だった

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江戸時代、荻生徂徠(おぎゅうそらい)が中国重慶市奉節県にある白帝城の美しさに似ていると讃えたことから、「白帝城」の別名を持つ

愛知県の北部、岐阜県との県境に位置する国宝・犬山城。背後にある木曽川を天然の要害として利用した城で、台地の北端部に築かれました。築城者はあの織田信長の叔父・織田信康。天文6年(1537)に、木ノ下城より移りました。

現存する天守は、全国に12城あります。最も新しいものは嘉永5年(1852)に再建された伊予松山城(愛媛県)。一方で、最も古い天守として、ここ犬山城が候補のひとつとなっています。

実は、犬山城はつい最近まで、日本で唯一個人が所有していた珍しいお城です! 尾張徳川家の付家老・成瀬正成(なるせまさなり)が元和3年(1617)に拝領し、廃藩置県で犬山城が廃城になってからは愛知県が所有していた期間もありましたが、平成16年(2004)まで成瀬家が守り抜いてきた歴史があります。ちなみに、明治24年(1891)の濃尾地震による被害を修理することを条件に、成瀬氏に引き渡されたのです。

オリジナリティ+トラディショナル=犬山城

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オススメの訪問時期は春。桜の時期の犬山城は特別な美しさがある

犬山城の見どころといえば、現存天守! 三重四階地下二階、その高さは19m。天守の歴史において初期段階に発展した望楼型の建物です。豪華絢爛というよりは、ちょっぴり素朴でかわらしい見た目ですが、天守をよく観察するとこだわりのデザイン性がうかがえます。

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 一階下部の壁は下見板張り(水が入りにくいように木製板を壁に張る)ですが、ほかは耐久性に優れた白漆喰が塗られ優美さが増しています。また、一階・二階までは“柱を隠して”漆喰を塗る「大壁造り」なのに、最上階は“柱や梁を見せる”仕上げの「真壁造り」。お城のデザイン自体にルールはなく、このバランス感覚は築城者や設計者による好みであるからこそ面白いです!

また、最上階には廻縁・高欄や、廻縁の下に「唐破風」が設置されるなど飾りの要素も盛り込み、全体のバランスを取っている印象です! 特に犬山城が面白いのは、この飾り↓

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 廻縁は歩くことができるので目の前で華頭窓を確認してみましょう

コチラは、「華頭窓」(かとうまど)という窓です。そう! 犬山城の華頭窓は、窓なのに開閉できないどころか、木枠をつけただけの飾りなのです(犬山城の華頭窓は「盲花燈窓」という)! 華頭窓は、寺院や天守などの城郭建築に例が見られ、両手を合わせて拝んだような突出した部分が頂点にある装飾性の高い窓です。犬山城の華頭窓は、四面あるうちの正面と背面に2箇所ずつ設けられています。

ちなみに昭和36年(1961)に行われた解体修理では、三階・四階部分は元和6年(1620)に付設されていたことが判明しています。一階・二階部分の築かれた年代はわかりませんが、時期は別々なのですね!

広がる絶景!その景色に城がいっぱい!? 

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 犬山城から北北西方向を眺めると…
 
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岐阜城(岐阜県)を発見!肉眼ではわかりにくいが、望遠レンズで撮影するとしっかり映る

犬山城の周辺にも、鵜沼城、伊木山城といった城がありますが、肉眼で確認できる範囲に岐阜城や小牧山城も見えます! これだけ隣接する城との距離が近いと……ブルブルっと緊張感が伝わってきますね。

そんな犬山城が最もどよめいたは事件といえば、天正12年(1584)のこと。織田信雄の家臣・中川定成(なかがわさだなり)が犬山城主だった時に、織田家から羽柴家(のちの豊臣家)へと寝返った池田恒興(いけだつねおき)が犬山城を攻め落としました。実は、恒興は元犬山城主! 勝手知ったる城だったのです。落城後は羽柴秀吉も入城したそうですよ。

これをきっかけに、織田信雄・徳川連合軍vs羽柴軍の小牧長久手の戦いが開戦されました!

亀と桃!? 犬山城を守る魔除けの瓦

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亀の甲羅に桃が乗った不思議な瓦

犬山城のちょっとマニアックな部分も覗いてみましょう。廻縁を歩く時は、遠くの景色だけではなく、足元の瓦にも注目です。写真のような不思議な形をした瓦……実はこれ、亀の甲羅の上に桃を乗せたデザインの魔除けの瓦なのです!

「鶴は千年亀は万年」ということわざにある通り、長寿の亀はとても縁起のいい生き物。また、桃は、中国では病気や厄をよせつけない「魔除けの果実」と信じられていました。

この瓦は、犬山城のほかにも岡山城(岡山県)、宇和島城(愛媛県)、大坂城(大阪府)、和歌山城(和歌山県)などの城や、お寺でも見られます。注意して見ないと気がつかない、犬山城の見どころポイントです。

天守以外にも!「あっ」と驚く迫力の遺構

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 岩坂門跡。かつて、写真の左手に突き出した石垣の上には鉄砲櫓が建てられていた

犬山城は、天守のある本丸へ辿り着くまでの道のりも、立派な遺構が残っています。

写真は、樅の丸を通過し本丸の入口である鉄門まであと少しというところ! かつて、ココには岩坂門があり、石垣の上には鉄砲櫓が建てられ侵入する兵士を狙っていました。

石垣もお見事! 犬山城の石垣は、天守台にあるような自然石を積んだ「野面積み」をはじめ、石を割って面や角を加工した「打ち込みハギ」があります。
 
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約8mの堀幅を持つ空堀。木が伐採されて見やすくなった

本丸へと向かう大手道の途中に見られる空堀も見逃すべからず! 黒門跡から樅の丸・本丸に向かって西側を、堀がぐるっと取り巻いています。その堀幅約8m深さもあり、落ちたらとても痛そうですね……。石垣もいいですが、空堀の土木量の多さは感動ものです。

トップクラスの観光地!充実のカラフル城下町

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城下の本町通り。週末にはたくさんの観光客が訪れている

犬山城下町は、フォトジェニックな城下町として、近年注目されるようになりました! ここ15年間で犬山城を訪れる観光客数は3倍近く増え、2018年の来場者数は、過去最高の60万人を突破! 犬山城そのものの魅力はもちろんのこと、ハート型の絵馬で縁結び祈願ができる三光稲荷神社や、レトロでかわいいカフェやスイーツが楽しめる観光スポットとして、女性や若者たちが好む城下町に生まれ変わったことも大きな要因です。

台地の南へと展開する総構え遺構も面白く、ブラブラ歩く観光がとっても楽しい! はじめて行く方も、しばらく訪れていない方も、犬山城下町の賑わいに驚くこと間違いなしです。

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犬山で充実の城旅を……

織田家が築城し、小牧長久手の戦いの前哨戦では羽柴軍の城となり、徳川家が統べる頃には付家老の城となった犬山城。織田・豊臣・徳川という、三英傑と関連の深い城だったのですね!

城の周辺は宿泊施設も充実しているため、一泊してのまったり旅もオススメです。名鉄名古屋駅から電車で35分と、アクセスも抜群! 近くには岐阜城(岐阜県)、名古屋城(愛知県)、小牧山城(愛知県)、美濃金山城(岐阜県)と日本100名城、続日本100名城もありますよ。次の旅では、犬山城を拠点に観光プランを計画してみてはいかがでしょうか?


犬山城の基本情報
住所:愛知県犬山市犬山北古券65-2
電話番号:0568-61-1711(犬山城管理事務所)
開城時間:9:00〜17:00 (入城は16:30まで)
定休日:12/29〜31
アクセス:名鉄犬山線・名鉄小牧線「犬山駅」より徒歩20分。名鉄犬山線「犬山遊園駅」より徒歩20分


いなもとかおり
 執筆/いなもと かおり
 お城マニア&観光ライター
 30歳になる城マニア。國學院大學文学部史学科古代史専攻卒。19歳の時に、会津若松城に一目惚れしてから城の虜となる。訪城数は500ほど。国内旅行業務取扱管理者、日本城郭検定1級、温泉ソムリエ、夜景鑑賞士2級の資格をもつ。城めぐりの楽しみ方を伝えるべく、テレビやラジオにも出演中。

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