前田慶次の自腹でお城めぐり 【第16回】凸西尾城 前編~想像して歩けば巨大城郭~

お城に関する豊富な知識を持つ「名古屋おもてなし武将隊」の一員・前田慶次様が、全国のお城を実際にめぐりながら歴史・特徴・魅力を解説。今回は、徳川家の家臣が城主を務めた三河地方の要・西尾城(愛知県西尾市)の前編。周辺の町なかに残っている見逃しがちな城跡の数々を、城の歴史や当時の様子を解説しながら細かいポイントまでご紹介します

皆の衆、我こそは名古屋おもてなし武将隊天下御免ノ傾奇者前田慶次である。

此度(こたび)城びとと同盟を結び、此の前田慶次が連載を持つ事と相成った。
先ずは、名乗りを上げよう。

前田慶次

 前田慶次齢四八十歳。戦国の世では天下御免ノ傾奇者として名を馳せ申した。現世に蘇りは名古屋おもてなし武将隊の一角として、名古屋城を拠点に名古屋を世界一の観光都市にせんが為、日々戦働きに勤しむ。

演武といったパフォーマンスなるものを披露し、電波放送戦(テレビやラジオ)は常戦番組(レギュラー)を持ち、全国各地に遠征を繰り広げる。
結成十三年目を迎え、全国の武将隊の先駆けとして日ノ本を代表とする武将隊である。
して、儂前田慶次は現世に蘇り歴史の語り部として多くの戦に出陣して参った。

伝統芸能を伝える舞台出陣、歴史学者との対談、寺子屋(学校)での歴史授業。
名古屋城検定名誉顧問に叙任され、検定過去最高得点を叩き出す。
日本城郭検定にも挑戦し合格。
日ノ本が誇る歴史文化をより多くの者に伝えるべく、此度から城びとでの連載を始める次第。

題して
 
前田慶次の自腹でお城めぐり、犬山城

【前田慶次の自腹でお城めぐり】

他の連載と何が違うのか!?

・現世に生きる戦国武将自らが感じたことを紹介!
・傾奇者による城郭魅力度数値化!
・城巡りの手引書(案内)となる!
・地域の特色を織り交ぜ、観光が楽しくなる!
・イケメン(前田慶次)が見れる!
・要点を抑えた紹介!
・兎に角分かりやすい!

全国の城に直接己が足で出向き、城の見方、歴史を伝え、
其の城の傾き所(見所)や天守閣、男前田度(イケメン)を前田慶次の独断で評価する。
歴史初心者から玄人まで楽しめる、国宝連載となっておる。

ただ城を巡るのではなく! 儂の金子(金)で城に登城する。つまり限られた金子で巡る
旅の道中劇にも注目してもらいたい!!
また巡り方については、王道の道順を歩む故に参考にすると良い。。

西尾城 城郭の魅力度を数値化

西尾城
 
歴史は古く承久の乱より続く三河の要!

西尾城

【基本情報】

城郭構造:平山城
主な築城者:足利義氏 
築城年:?(鎌倉期には存在した)一説にはもっと古い?
廃城:明治11年(1878)
指定文化財:西尾城跡 西尾市史跡

【歴史】

足利(吉良)時代
1221年、承久の乱での武功で足利義氏が三河守護に任命されたことに始まる。
※1176年に花山院(かさんのいん)忠邦が築城したとの話もある。
 
■酒井家が改修
吉良家の勢力が弱まり、今川家の牧野家に明け渡され後に、徳川家臣酒井家が入城。1585年、城主酒井重忠の時代に東之丸と鉄砲函が修増築。
 
■田中吉政が入城
1590年、豊臣秀吉家臣、田中吉政が入城し三之丸を構築! 田中吉政は同じくして岡崎城城主も兼任しておりこの地の都市開発を進めた!
 
■江戸時代で総構え
1638年、西尾城城主、太田資宗が城下町を囲む「総構え」を考え、15年後完成!
 
■明治時代廃城
1878年、西尾城廃城!
 
■最近の出来事
2020年、二之丸丑寅(うしとら)櫓、土塀が復元される!

西尾城

西尾城、前田慶次

【名鉄名古屋駅】

此度の城びとで巡って参るのは最近復元され話題にもなった西尾城!
三河地方の要で徳川家臣が江戸時代城主を務めて参った格式ある城である!

また、西尾という地はお茶の名産地として全国に名を馳せておる。
食も楽しめそうだで!

名古屋の玄関口名古屋駅は名鉄から出陣して参る!
そして、我が残金は44602円!
質素倹約に努めながら此度も城巡りと観光を楽しんで参るぞ!

西尾城、前田慶次

鉄籠は電車で810円とな。
道中は約半刻は1時間らしい!
鉄籠に揺られ尾張三河の景観を楽しもうではないか!

西尾城、前田慶次

【西尾駅】

西尾駅着陣!!
景観を楽しんでおったらばあっと言う間であったぞ!

周りを見渡し案内看板を探す。
此れ物見の鉄則也!

西尾城、案内看板
 
案内看板は駅目の前に御座る!

西尾城、案内看板

【西尾という町は京都?】

案内看板と共に特産品を伝える看板が並ぶ。
皆に「西尾」という町について教えよう。

先ず、こんな異名が御座る「三河の小京都・西尾」とな。
戦国時代以降、都である京都と関係があり京文化を育み、
その結果名産であるお茶文化が花開き庶民にも飲まれる程一般化した。
京都所司代を勤めた板倉家の菩提寺「長圓寺」もあり、その裏付けが残っておる!

西尾は歴史の名所、伝統の文化や祭りも受け継がれており夏に参るのも良さそうじゃ!
また、お茶だけでなく「イチゴ・えびせん・海苔・バラ・カーネーション」も名産であると。

此度儂は西尾城を巡るが、時が許せば小京都西尾全体を巡るのも面白そうだで!
では地図を見て北西に西尾城があるみたいだで行軍して参る!

西尾城、案内看板

【街歩きコース】

先に申した通り、西尾は小京都もあり見所が沢山御座る。
駅近に斯様な便利な街歩きコースを記した看板がある! 此れは誠に良きものじゃ!

慶次「儂も名古屋の街歩きツアーをやっておるが、西尾もやってみたいのう」

西尾城、街歩き

 町中に西尾城(歴史公園)の道しるべもあり迷うことはなかろう!

西尾城、抹茶ラボ西尾伝想茶屋店

【抹茶ラボ西尾伝想茶屋店】

行軍を進めていき、間もなく西尾城に着陣というその道中に店を構えるのが此方!
抹茶ラボ 西尾伝想茶屋店は西尾で採れた抹茶のみ使用し、
100年以上続く老舗和菓子屋と甘味を開発するなど、この地の名店に候。
早速舌鼓したい所であるが、此処で西尾の学芸員の者達と集結致す!

西尾城

【抹茶ラボの通りは門だった?】

学芸員の学者達と合流し早速古地図と研究成果の史料を頂戴する!
驚いた! 抹茶ラボの目の前が嘗(かつ)て「二之丸新門」跡であると。
更に本町通でもあって西尾の中心となる場所であったと分かったぞ!

西尾城

合点がいった!!
目の前の通りであるが、平山城らしくちぃと勾配になっておる。
此れが嘗ての中心的な通りであった。

西尾城、二之丸新門跡

西尾城、二之丸新門跡

西尾城、二之丸新門跡

西尾城、二之丸新門跡

【二之丸新門跡】

看板に注目してもらおう。手前が高麗門で奥が櫓門で枡形門造りとなっておる!
故に江戸時代以降の門であることが分かる!

今となってはこの看板の絵図のような景観は感じられぬのが惜しいが
守りの堅さは想像がつくであろう?
土塀も屈折させて高麗門前で足止めさせる気なのが伝わる構造であるな!

続いて歩みを進めて参ると

西尾城、東之丸

西尾城、東之丸

西尾城、東之丸

【西尾小学校も城跡】

学芸員が案内してくれたのが、まさかの寺子屋は小学校!

慶次「ん? まさか寺子屋の中に城跡が?」

何と、西尾小学校の敷地が東之丸であり
二重の櫓を東南隅と東北隅に配しておったそうじゃ。

更に! 三之丸から東之丸への虎口である此の門であるが、嘗ては太鼓門櫓であったと!
つまり、敵の侵入や西尾全体に伝令する場所は此処であったと!
現在は太鼓の代わりに校内放送が響き渡っておった! ワッハハハハハハ
また、侍屋敷もあり上級武士が住んでおったそうじゃ!

何とも武芸堪能は文武両道になれそうな学校であるな!
最近の発掘調査で米蔵も出てきたようで、
まだまだ何か発見がありそうな西尾小学校である。
校内は無論、入れんが看板はある故に見ていくが良い!

この辺りは改修を重ねており、元々は追手門らしく正面に値した。
変えたのは恐らく、三之丸修改築を行った江戸期の城主太田でなかろうか。
追手門は田中吉政の時代であろう。
城というのは戦があるか無いかで構造も変わって参る。

西尾城、歴史公園

西尾城、歴史公園

西尾小学校周りは道幅が狭く屈折しており、嘗ての城郭の名残を感じる良き道であった!

そこを抜けると目の前に歴史公園が待っておる!
櫓や門も見え、街の中に突然城郭が現れた故に
嘗ての「石垣山城」※の北条側の気持ちが今になって良く分かった。

※1590年の関東征伐、秀吉様の天下統一戦で最も大規模な小田原城を包囲し、
北条の戦意を削ぐ為、一夜にして城を築いたように見せた!
木を伐採したら城が顔を出し北条勢は羽柴軍の圧倒的力の差に降伏することになる!

して、我等は二之丸の目の前までやってきたと。

西尾城、鍮石門

西尾城、歴史公園

西尾城、鍮石門

 目の前に聳え立つ門が「鍮石門(ちゅうじゃくもん)」と申し城郭の中で最も重要な門。
故に鍮石は真鍮を扉に飾っておったとも言われておる。

此れ、実に凄いことで御座るぞ!!
真鍮は江戸城ぐらいでしか聞かぬ高級かつ格式高い素材であった!
其れが西尾城にあるとは。
1996年に再建され古くは「中柵門」と呼ばれ、二之丸御殿に至る表門であった!
見栄えが良いからじゃろう。

いざ西尾城二之丸へ!
と言ったところで此度の記事は此処まで!
次回の記事も楽しみにしてちょ!

以上
名古屋おもてなし武将隊
天下御免ノ傾奇者 名古屋城検定名誉顧問 城びと連載人
前田慶次郎利益

凸伝令

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執筆・写真/前田慶次(名古屋おもてなし武将隊)

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