どんなに速度を上げて侵攻してきても、このカーブでは減速を余儀なくされそうです。150年前はこれが車ではなく、人だったのでしょうか。城郭防衛のお手本ともいえるような見事な遺構。地方を歩くとたまにお目にかかれます。
福島県・白河小峰城下。国道294号(奥州街道)を北上し、馬町の交差点を左折。道が曲がって伸びるこの一帯は、敵が城内に侵入するのを遅らせるために屈曲させた小路で、かつて「十軒店」といわれた大鉤形です。市内中心部には今もこうした、意図的につくられた大小のカーブが日常の景色に溶け込んでいます。
一帯は白河口の戦い(1868)の舞台。戊辰戦争の勝敗を決めたとも言われる激戦地で、周辺には宿営地跡や戦死者を祀る寺院もあります。一時は奥羽越列藩同盟の砦となった白河。西軍(新政府軍)との間に起きた小競り合いや大攻撃は3ヶ月弱で10回に及んだといいます。ただ、結成後間もない同盟側の混成兵団は未熟で、戦法・士気・軍器のいずれでも劣っていたようです。東北から函館へと続く戦線の実相なのかもしれません。
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