鼻毛は伸ばし放題で、江戸城中で立ち小便--。
加賀藩3代目・前田利常の奇行にまつわる逸話をよく聞きます。もちろん全てを鵜呑みにできませんが、自ら“バカ殿”を演じることで幕府による減封・国替えの攻撃をかわしたという見方は一定の支持を得ているようです。
外様雄藩としてのプライドと自主規制のせめぎ合いは城造りにもよく表れている気がします。金沢城天守は17世紀初めに、そして代用の御三階櫓は18世紀中頃にそれぞれ焼失。その後再建されなかったのは幕府の警戒心を忖度したためだと指摘する向きがあります。
とはいえ、そこは百万石の大城郭。白を基調にした美しい意匠とは裏腹に、実質的な防衛ラインである門や櫓が放つ威圧感は尋常じゃありません。
中でも現存する石川門は搦手とは思えない重厚さ。また草木が生え放題の本丸南側、粗割石の高石垣は金沢の街並みとはどこか相容れない戦国臭さがあります。250年以上続いた徳川治世で溜まりに溜まったアンビバレントな感情が溢れ出ているように見えるのは私だけでしょうか。
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