美しい近世城郭だけを見て満足してたらもったいないーー。そんなことを感じさせてくれるのが鉢形城址(埼玉県寄居町。2017年7月)。荒川と深沢川に挟まれた河岸段丘に建つ連郭式の平山城で、その縄張の巧緻さは散策しながらため息が出るほど。
遺構景観の整備が素晴らしい。川に削られた断崖の最高所に本丸。そこから西に深い堀切を何重も行った上で複数の曲輪を造成、連結して空堀と土塁で仕切っています。関東の中世城でありながら、石垣も見られます。これは近隣の近世城郭でもあまりない現象だそうです。
山内上杉家の家宰を務めた長尾景春が1476年に築城しますが、太田道灌に敗れて秩父に敗走。その後、河越夜戦(1546)の勢いそのままに北条氏康が上杉勢を追討して奪取すると、四男・氏邦が整備拡張して小田原を支える北の要衝となります。秀吉東征(1590)では前田、上杉、真田らに包囲されながら1ヶ月持ちこたえ、堅固さが証明されたといいます。
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