「現代人は忙しい」--。動画や録画したテレビドラマの2倍速再生は当たり前。お遍路だって車や自転車で巡っちゃう。しかしそんな“時短カルチャー”は今に始まったことではなさそうです。江戸時代にも似たような知恵の使い方はされていたようで、その極め付きのような歴史・文化遺産が会津にあります。
旧正宗寺三匝堂。通称「さざえ堂」。飯盛山中腹にある、世界で唯一の木造の二重らせん構造のスロープを持つ六角三層のお堂、、、と構造については説明し尽くされているのでこの辺にしておいて、肝心の用途。
思い切り簡単に言うと、三十三観音参りのためのデパート。通常、巡礼というのは時間も金もかかります。これをワンストップで可能にし、庶民にとってより身近なものにするための建物。具体的には、スロープの内側に西国礼所の三十三観音像が祀られているため、螺旋を昇り降りして堂内を一巡すれば観音霊場を巡礼したと同じ霊験が得られるようになっています。
けしからん、というお叱りはあったかもしれません。ただ、今も各地に残る「観音講」と呼ばれる信仰上の集まりは、どちらかというと親睦会の色合いの強いもの。例えば、農家に嫁いだ若い女性にとっては同世代の人たちと出歩ける数少ない機会だったやに聞きます。そりゃ楽しいでしょうね。要は、また働くためのリフレッシュで、そのきっかけを作ってくれたのがちょっとした信仰だったのかもしれません。俗にまみれた聖。一番長続きするパターンだと思うわけです。
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