江戸城36見附めぐりに精を出していた頃に訪れた「日比谷セントラルビル」。
虎ノ門に近いこの辺りはかつては外濠に面しており、昭和40年のビル工事の際に発掘された石垣石が屋外展示されています。
折敷に三文字(臼杵の稲葉氏)など、普請を割り当てられた九州の大名の刻印石も見られ、都会のビルの片隅に江戸城の痕跡が大切にされていることにとても驚き、感動しました。
そこでもっと驚いたのが、『世田谷の馬事公苑には昭和39年のオリンピック(馬術競技)開催の記念碑として石垣の原型が残されております。』という説明プレートの文字。
馬事公苑は自宅から徒歩圏です。区民祭りやホースショーに出かけたことはあるのですが石垣の存在はまったく知らなかったので、この一文は衝撃でした。灯台下暗し。
これは見に行かなければ!とすぐに出かけたのですが……、
馬事公苑は2020東京オリンピックでも馬術競技の会場となっていて、2017年から工事のため休園中でした。白いフェンスで周囲をガードされ、中の様子はまったくわかりません。為す術もなくとぼとぼと引き返すしかありませんでした。。。
コロナ禍のためオリンピックは1年延期、また終了後のリニューアル工事に約2年かかるということで、馬事公苑の休園は7年間も続きました。
すぐそこにあるはずの石垣が見られないというのはなかなかもどかしかったです。
……と言いつつすっかりその存在を忘れていたのですが、昨年秋ついにリニューアルオープンしたということで行ってきました。
江戸城の石があるのは武蔵野自然林の区域ですが、まずはすっかりきれいになった園内を散策することにしました。
すると「はらっぱ広場」の入り口に矢穴のある石発見!
矢穴石=江戸城の石とは限らないと思いつつも、場所が場所だけにもしかして?と気になります。
弦巻門近くの「彩のこみち」に行ってみると、今度はたくさんの石のオブジェがあるのが見えました。
この形、大きさ、色。何よりひとつひとつの石から醸し出されるオーラが……江戸城っぽい。
どきどきしながら近づいてみると、お馴染みの矢穴や刻印のオンパレード。折敷に三文字の刻印に、江戸城外濠の石だと確信しました。
でもなぜここにばらばらに置かれているの?
記念碑として「石垣の原型が残されている」はずなのに……。
まさか(;゚Д゚)
急いで武蔵野自然林に向かいます。(ちなみに苑内通路は“馬優先”です。)
石垣、ちゃんとありました!
ただ、このたびの公苑整備に際し、
<これまで触れることのできなかった石垣をより身近な存在とすべく一度解体して誰もが登れるオリンピックテラスとして再構築しました>(現地説明板)
とあり、以前のものより低くなったようで、スロープや階段、ベンチが設置されていました。
それでも江戸城の遺構をしっかりと感じることができましたし、並べて嵌め込まれた新旧2枚のプレートに、未来へ継承していくための再構築なのだということがわかってホッとしました。
「彩のこみち」に置かれていた矢穴石や刻印石は以前の石垣を解体したあとのものではないかと思います。「はらっぱ広場」の矢穴石もおそらくそうです。
となると、ほかにもあるのではないか?という気がしてきたので、また折を見て探検してきたいと思います。
江戸城の石垣→オリンピックの馬術会場と繋がる理由や、刻印の詳細、発掘場所等については写真⑨をご参照ください。
今に残る江戸城の痕跡。可能な限り拾いあげていけたらと思っています。
出会いと発見を求めて今日もまた、足の向くまま気の向くまま、そこらじゅうをてくてくと歩いてきます(‘◇’)ゞ
+ 続きを読む