大坂の陣の後に入封した戸田氏鉄が築いた城で、東は大物川、西は庄下川、南は海に囲まれ、三重の堀と四重四階の天守を擁し、中国街道をおさえる大坂城の西の守りとして機能しました。戸田氏鉄が大垣に移った後は、青山氏が4代、桜井松平氏が7代にわたって城主を務め明治を迎えています。明治の廃城令により建物は取り壊され、昭和までに堀もほとんどが埋め立てられてしまいましたが、平成31年3月に西三の丸跡に天守がRC外観復元により再建され、平成最後の築城と話題になりました。
阪神尼崎駅から何度も目にしていた尼崎城(の天守)にようやく行くことができました。天守の建つ尼崎城址公園には模擬石垣と土塀が設けられ、入口付近には戸田左門氏鉄公顕彰碑が建てられています。天守に入る前に周囲をぐるりと一周。一見したときは思ったより小さいと感じましたが、これは前週に姫路城の大天守を観ていたからで、決して小さくありません。一部改変はあるようですが外観復元の天守は存在感があり、抜けるような青空の下に聳える白壁はやはり写真映えしますね。
天守に入城するとエレベーターでまず最上階(5階)へ。5階はわがまち展望ゾーンとして眺望と可動式のタブレット端末に表示される江戸期の城下町の様子を見比べることができます。4階のギャラリーゾーンには尼崎出身の城郭画家・荻原一青の「名城手拭百城」が展示されています。実物は初めて見ますが見事ですね、これは。3階のなりきり体験ゾーンでは忍者や武士、お姫様の衣装を着て記念写真が撮れるようですが、一人で来ているおっさんには敷居が高いので次の階へ。2階の尼崎城ゾーンには尼崎城のVRシアターや、槍・刀・弓矢・火縄銃を手に取ってみたり、剣術や鉄砲体験のゲームなどコンテンツ盛りだくさんです。子どもと来ていればゲームもできそうですが、おっさんが一人で子どもに混じってゲームの列に並ぶのは敷居が(以下略)。1階の尼崎まちあるきゾーン(無料)には尼崎のまちの案内と特産品のショップがあります。RC造天守の内部はその城にまつわる資料館や博物館になっていることが多いように思いますが、もちろん尼崎城天守にも資料館的な要素はあるものの、エンタメ的要素がはるかに強く、子どもでも体験して楽しめる天守でした。
天守を出ると、模擬石垣と土塀が設けられた中央図書館の脇を南に抜けて開明橋へ。西側の外堀にあたる庄下川に架かる開明橋には欄干に尼崎城の縄張図がデザインされています。そして橋を渡らず桜井神社へ。桜井神社は、桜井松平氏だけでなく尼崎城の歴代城主を祭神とする神社で、社殿前には本丸御殿の棟瓦や桜井松平氏三代・松平忠告の俳句が刻まれた外堀の石杭などが見られます。
桜井神社に続いては、本来の天守があった本丸跡地の尼崎市立歴史博物館に向かいます(続く)。
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