姫路城の搦手周辺特別公開に行ってきました。2月にも西小天守の特別公開に行っていますが、搦手道も一度通ってみたいと思っていましたので、今回も行かないわけにはいきません。特別公開エリアに入って との四門から出ると再入城できないため、まず有料エリアをひとめぐりしてから ちの門へ。
ちの門脇の番所に設けられた受付で観覧料(200円!)を払い、リーフレットをもらって門をくぐると、との一門内の曲輪が広がっています。西は大天守・イの渡櫓・東小天守、南は折廻櫓、北は への門東方土塀の三方から集中砲火を受ける位置で、見回すと恐ろしいほどです。との一門の続櫓であるトの櫓は岩盤の上に建てられており、内部に入ると土間の床面は東側に傾斜していて、格子窓から直下の搦手道を狙い撃てるように東辺には一段高く床板が張られています。北側にはとの一門2階への入口があり、非公開ながら入口から内部を見渡すことができました。
との一門は城内で唯一、白漆喰で塗り籠められていない素木造の櫓門であり、門扉が上部を縦格子とした透かし門だったり、格子窓に突き上げ板戸を設けるなど他の櫓門と異なって古式な造りであることから、秀吉期に置塩城の大手門を移築したとも云われますが、確かにそう思わせるような雰囲気がありました。との一門と との二門との間は城内に現存する唯一の枡形虎口であり、西の との一門やトの櫓のみならず、北は ヘの渡櫓、南は井郭櫓からも狙い撃たれることになります。さらに、との二門は急傾斜の坂虎口になっていて突破するのは困難そうです。との二門東側の石段を上った先には長壁神社遺趾の石碑が立てられています(立入禁止のため遠望のみ)。姫路城築城のため姫山から城下に移されていた長壁神社を、池田輝政が城の鬼門にあたるこの地に戻したもので、現在は播磨国総社内と天守最上階に祀られるほか、立町にも分祀されています。
搦手道の急な坂道を下りつつ振り返ると、井郭櫓の奥に大天守が聳え立っています。井郭櫓から南にのびる土塀下の石垣には継ぎ足しの痕跡が見られました。との二門と との四門の間には との三門がありましたが、明治に払い下げられて八王子神社の神門として移築されたとも云われます。八王子神社の神門は外京口門からの移築の可能性が高いそうですが、いずれにせよ神門は取り壊されていて現存しません。との四門の北側には穴蔵と呼ばれる半地下式石造の焔硝蔵があり、蔵は遺っていませんが、搦手道から蔵跡の大きな窪地を見ることができました。そして、との四門から退城して特別公開エリアの探訪を終了。勢隠曲輪をぐるりとめぐり、三の丸を散策して姫路城を後にしました。
平成の大修理以降、閉鎖されたままの搦手口ですが、今回の特別公開で実際に歩いてみて、大天守までの距離が短い反面、高低差を活かした守りの強固さを実感でき、大変に見応えがありました。姫路城は何度来ても新たな発見があっていいなぁ…。
+ 続きを読む