衣河の東岸・小松柵跡の北西に舘(山口館)跡があります。現在は田畑になっておるようですが、周囲の土盛りが土塁かどうかはあやしい。舘跡は安倍頼時とその子・貞任の居館の跡とされています。安倍氏は頼時の祖父・忠頼のころから上衣川の安倍舘を本拠としたが、頼良の代にここに本拠を移したとされています。康平5年(1062)9月に貞任がここを撤退するまで、短期間ながらも「前九年の役」の舞台にもなりました。
舘跡から南へ500mほど行った先に衣河関跡があります。永正元年(1046)安倍頼良が本拠をこの地域に移した際に、関所もここに移されたようです。難関として知られる場所でしたが、前九年の役で源氏方についた清原武則の家来・久清が衣川に縄を渡して、それを頼りに大軍が一気になだれ込んだため安倍氏の撤退につながったという伝承があるようです。
+ 続きを読む