犬居城は徳川家康配下から武田信玄についた天野氏の城です。徳川から見れば裏切り者になるわけですが、地理的にも政治的にもやむを得ないのかもしれません。辺境の豪族はいつも大変です。
山城としては小規模ですが、なかなか技巧的な縄張りを備えています。現在の登城道がそのまま古来からの登城道を踏襲しているようで、東に大きくカーブする部分で本丸直下の急激な崖を目にすることになります。とても直登できるとも思えず、これでは直接、主要部を攻撃することはできないでしょう。城址の東端に出丸があって北に虎口がついているのですが、東側から大きく回り込んで、突き当たった先で道が90度南に曲がって虎口への土橋を登っていきます。木々が生い茂っていてわかりにくいのですが、おそらくここに到着するまでの間にずっと横矢がかかっていて、生きてたどり着けるものは少ないと思います。天然の崖が南側の敵を防いでくれるので、東側の防御を特に固めているようです。そこから先は細長い曲輪を通って、展望台のある狭い曲輪に到達します。この周辺が主要部になると思いますが、展望台は櫓台だったのではないでしょうか?
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