江戸時代の後半にはすでに観光地化していたといいます。川中島古戦場(長野市)。遡ること16世紀中頃、領土拡大を目指した武田信玄と、その被害を訴えた豪族を助けに赴いた上杉謙信が何度か衝突した地としてあまりに有名ですね。
風林火山ブームというのは、徳川幕府が甲州軍学を教育現場で採用した頃にもあったようです。家康が武田の旧臣を多く召し抱えたことと無関係ではないでしょう。この頃編纂されたのが軍記「甲陽軍鑑」。幕臣をはじめ、広く庶民に読まれた物語で、そのクライマックスの信玄vs謙信の一騎打ちのシーンは浮世絵などで描かれ、講談でも派手に語られたといいます。わくわくの止まらなかった人々はその足で当地を訪れたのだと思います。今で言う「聖地巡礼」ですかね。
軍鑑の史料的価値については、これまで何度か触れたので割愛しますが、そこに描かれた両雄の一騎打ち(川中島第4次。八幡原の戦い。1561)の信憑性についても疑いが残っていますので、付け加えておきます。
というわけで、すっかり“巡礼者”の仲間入りを果たした小生。大会戦におけるひとつひとつの場面の真偽はともかく、決戦の地の空気感や距離感、高低差、そして海津城(現在は松代城。真田の本拠ですね)はしっかり味わってから帰ります。
*隣接する長野市立博物館内に「川中島の戦い」の常設展示あり。入館料一般300円。
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