深大寺の南に位置する深大寺城は、扇谷上杉家(おうぎがやつうえすぎけ)の当主・上杉朝定(うえすぎともさだ)公が難波田弾正(なんばだだんじょう 善銀?)に命じて深大寺の古要害に築城した城跡です。
後北条氏の侵攻により失った江戸城奪還の為に築城されたようですが、北条氏綱が深大寺城を攻めずに直接朝定公の河越城を攻めた為、深大寺城城主・難波田弾正は深大寺城を放棄し、主家を救援する為に撤退したとされています。
河越城は落城し、深大寺城も後北条氏のものとなりますが、前線から離れた城になったからなのか、後北条氏が深大寺城を活用することはなく、そのおかげで扇谷上杉家の築城技術を確認することができる貴重な城址となっています。
主郭北から西にかけての堀と二郭南面から西面の土塁は平成の公園整備で復元されたもので、土塁は三郭にテニスコートが造成された関係で若干内側に復元されているそうです。
周囲との比高は10m程とそれ程高くありませんが、南に野川、北と東は湿地(現在の水生植物園が名残かと)に囲まれており、攻めにくい城だったと想像できます。野川の南には大河の多摩川が流れ、北上して来る後北条氏を迎え撃つには絶好の場所だったと思いますが、北条氏綱の方が一枚上手だったようです。
お城に興味がない方でも、水生植物園と併せて散策すれば、気が休まるいい所だと思います。近くの深大寺は東京観光の名所で、そばもおいしいですし。
城びとさんで紹介されていた漫画「東京城址女子高生」の第3話で深大寺城が舞台となっていましたが、現代の女子高生目線で見た深大寺城の描き方、とても面白かったです。あまり書くとネタばれになるので、印象に残ったセリフだけ紹介しておきます。「まぁでも 北条に相手にされなかったのは今となってはよかったよな。そのおかげで扇谷上杉家が築いたものがほとんど手つかずで残っている とても貴重な遺構だ」 セリフだけだと良さが伝わらなさそうですが、漫画だとこのセリフの背景に主郭から土橋越しに二郭を見た風景が描かれていて、中世城郭の好きな方にはぐっとくるものがあるかと・・・
作者さん2巻も楽しみにしてます ( *• ̀ω•́ )b
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