冲方丁の『天地明察』は、この神社を舞台に始まります。
原作を読んだときはあまり意識しなかったのですが、
映画を見たとき、作品の舞台になっていることに、
あらためて気づかされました。
天文方の渋川春海(安井算哲)と関孝和が出会うフィクションで、
作品中、この神社の算額が度々出てきます
(城勤めの場面では江戸城も出てきます)。
この神社には奉納された算額が3点展示されています。
大抵は長方形ですが、扇型の珍しい形のものが見られます。
状態の良い算額なので、書かれた問題や図も読めます。
そのうちの一点は、関流の門人が奉納したもので、
和算の問題としては、よく見る典型的な易し目のものです。
実物の算額は幾何学で、色彩もあり、興味深く感じます。
かつて和算は広く普及していたものの、明治になると廃れました。
今では知る機会も少ないため、
特定の人しか興味を持たないものになっています。
貞享暦の誕生、寺院や城郭建築にも欠かせない学術だと思います。
和算を知ることで、あらためて江戸時代の人の視点も分かります。
都内の神社や上野の博物館で、偶に算額を見ることができます。
ただ、城址で算額を見られるのはここだけだと思います。
渋川春海(安井算哲)の墓も少し離れますが、
品川の東海寺墓地にあります。
+ 続きを読む