(続き)
明智光秀の首は粟田口に晒された後に蹴上付近に首塚を築いて埋められたと伝わり、江戸中期に首塚の石塔婆が白川橋近くの現在の位置に移されて、明智光秀首塚(京都市東山区)として守り継がれています。また、京都府亀岡市の谷性寺にも光秀の首塚が祀られています。谷性寺本尊の不動明王を深く崇敬していた光秀が、自らの首を谷性寺に埋めるよう溝尾茂朝に託したんだとか。京都府宮津市の盛林寺にも光秀の首塚があります。こちらは細川忠興に嫁いでいた玉のもとに届けられた首を葬ったもののようです。生誕地が6か所もある光秀ともなれば首塚の3か所くらいは当たり前ですよね……って、キングギドラじゃないんだから(笑)
首塚は3か所(もっとあるかも?)ですが、供養塔や位牌や光秀像はあちこちに祀られています。生誕地のうち、岐阜県可児市の天龍寺には日本一大きな光秀の位牌(と木像)が安置され、岐阜県恵那市の龍護寺には光秀の御霊廟(おはか)が、岐阜県山県市の中洞白山神社の奥には光秀の墓と伝わる桔梗塚があります。越前には朝倉氏に仕えていた頃に住んでいた東大味地区に「あけっつぁま」と呼ばれる墨塗りの光秀木像を祀った明智神社(福井市)があり、光秀の領地では、坂本城下の西教寺(滋賀県大津市)には光秀と一族の墓や光秀と熙子の位牌が、周山城下の慈眼寺釈迦󠄀堂(京都市右京区)には「くろみつ大雄尊」と呼ばれる墨塗りの光秀座像が、福知山城下の御霊神社(京都府福知山市)には福知山の町を開き水害を治めた光秀が祭神として祀られています。御霊神社には「明智家法」など、光秀のものとされる書状も三通伝えられているようです。また、光秀が討たれた明智薮を寺領とする本経寺(京都市伏見区)の境内にも光秀の供養塔が建てられています。
さて、大河ドラマ「麒麟がくる」では光秀の最期は描かず、どこかで生きているんじゃないか、との希望を抱かせるようなラストでしたが(ネタバレすみません)、源義経がジンギスカンになったように、真田幸村が豊臣秀頼を護って薩摩に落ち延びたように、光秀にも生存説はいくつかあり、最も有名なものは南光坊天海として徳川家康に仕えたという説でしょうが、生誕地のひとつ、岐阜県山県市の中洞地区にも生存説が伝わっていて、曰く、山崎の戦いの後に討たれたのは影武者で、光秀本人は故郷の中洞に落ち延びて暮らした後、家康の求めに応じて関ケ原の戦いに向かう途中、増水した川に流されて亡くなったとのこと。上記の桔梗塚は「溺死した光秀」の墓なんですね。
…ということで、6か所の生誕地に始まり、美濃や越前での動静も不詳、本能寺の変の動機は日本史最大の謎ともいわれ、首塚は3か所あり生存説もいくつかあるという光秀の謎に満ちた生涯をたどってきましたが、没後440年を経た今なおあれこれ取り沙汰されるのは、そうしたくなるだけの魅力ある人物だということなんでしょうね。この5年あまりの間にも坂本城三の丸の石垣が発見されたように、これからも光秀の謎を解く手掛かりとなる発見があることを期待して、私の麒麟がくる紀行をひと区切りとしたいと思います。長らくお付き合いいただきありがとうございました。
 
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