三万の 鋲の整列 息潜め 城兵のごと 北面守る
(2024/08/06 訪問)
岡山から庭瀬城・撫川城・笠岡城と駒を進め、県境を越えて福山に到着しました。
福山城は新幹線で通るたびに目を凝らして見ていましたが、下車して足を運ぶのは7年ぶり。築城400年プロジェクトで天守(福山城博物館)北面の鉄板張りが復活してからは初めてです。
坂道をのぼりながら刻印石を愛でるその先に赤く空襲の焼け跡の残る石垣。奇しくもこの日は広島に原爆が投下された8月6日。福山空襲は8月8日だったそうですが、容赦のない真夏の日差しを浴びながら、歴史の真の語り部とは他でもない、長い年月を生き抜いてきたこの石たちなのだという思いを新たにしました。
伏見櫓を見上げ筋鉄門を潜り本丸に足を踏み入れると、湯殿・月見櫓・鏡櫓・鐘櫓がぐるりと見渡せます。近世城郭は城の時代の集大成ともいえるもので、目の前によみがえったこの光景をいつまでも記憶していたいと思いました。
そしてそれらに見守られるように静かに佇む八方よしの松。この松もまた幾多の危機を乗り越えて今ここにあるのだと知り、これから先ずっと平和の象徴としてこの場所に居続けてくれることを願いました。
木々が伐採(適正管理)され見晴らしのよくなった中に堂々と聳え立つ天守。7年前の印象とかなり異なります。さまざまな角度、方角から眺めながら、戦後20年、福山城を愛する市民の力でよみがえった天守のこのたびのリニューアルは往時の姿に近づけるものでしたが、向かうのは過去ではなく未来なのだとしみじみ思いました。幾人かいらしたお客さんがそれぞれの場所で足を止め、見上げておられます。きっとみなさん、お気に入りのポイントを見つけたのでしょう。
そしていよいよこの旅いちばんの目的である“鉄板”と対面します。
かっ…、かっこいい!
ぎりぎりまで近づいて、少し離れて、だいぶ離れて、また近づいて。
素材や工法は安全に配慮された現代式だとのことですが、遠目にはわからなかった細長い鉄板と規則正しく斜めに並んだ鋲の美しさに見入るばかりです。2,000枚の鉄板に3万個の鋲。それは“姫路城のスプリンクラー1,000個”以来の驚きの数字でした。
お腹いっぱいになるまで鉄板を眺めたあとは、愛してやまない旧天守の礎石。好きすぎて落ち着いて見ていられませんでした。
水野勝成像、阿部正弘像にご挨拶しつつ城内をまわり、福山をあとにしました。
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