お盆休みに立ち寄った静岡県藤枝市の田中城。
志太平野北部、瀬戸川などが流れる湿地帯の微高地に円郭式の縄張で築かれた城。
北側には東海道が走る要衝の地。
15世紀頃に今川氏の命で土豪の一色氏が屋敷を拡張した徳一色城が始まりとされ、1570年には武田氏が攻略し、馬場信春が改修して田中城に改名。
長篠の戦いで武田の勢力が弱まると、徳川が攻撃を繰り返し1582年についに開城。
17世紀初めに酒井忠利が四之丸を増設し、正門を平島口から大手口に変更。江戸前期は城主が度々変わったが、江戸中期からは本多正信の弟正重系の本多氏が務めたとのこと。
現在、本丸には小学校が建ち城域の大部分は宅地化・農地化されているが、その区画には円形城郭の痕跡が見られ、所々に堀や土塁が点在。
また下屋敷(別荘)跡に本丸櫓や厩などが移築され史跡公園化されている。
実際に訪れると、やはり遺構は少なく、6つを擁したシンボルの丸馬出も新宿二之門前の三日月堀が半分残るだけという点が少々残念。
一方、三之丸に稜堡のような突出部が存在したことを知れたのは収穫で、質素ながら二重櫓が現存する点も貴重なこと。
また旭傳院の山門は予想外に小さく、城内にあった屋敷の門と考えられている模様。
丸馬出が1か所だけでも完全復元できると更に城跡らしくなりそうに感じた、私の城郭巡りの210城目でした。
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