(続き)
博物館からのシャトルバスを降りると、復原町並南側の券売所には行列ができていましたが、博物館との共通観覧券(210円分割引)を買ってあったので、列に並ぶことなく入場できました。
復原町並は発掘調査により発見された塀の石垣や建物礎石などをそのまま用いて往時の町並みを復原したもので、南北約200mの通り沿いに町家や武家屋敷が建ち並んでいます。また、訪れた日は「戦国城下町生活再現」が開催されていて、復原町並のあちこちで一乗谷に暮らす往時の姿の人々を見かけました。通り沿いの露店には野菜がならべられ、茶店が営業し、商家では越前焼の湯呑みや皿が売られています。店の人に尋ねてみると、往時の再現としてだけでなく実際に販売しているんだとか。復原町並、おもしろいなぁ。復原された町家に入ってみると、柱や梁にちょうなの痕が見られ、土間には井戸があり、紺屋の土間には染料が入った越前焼の大甕が半分埋められて並んでいます。裏庭に出ると井戸や排水溝、トイレにゴミ捨て場まで完備され一乗谷の生活水準の高さが窺えます。
町家群から通りをはさんだ北側には中級武家屋敷群、西側には上級武家屋敷群が広がっていますが、上級武家屋敷群の土塀と薬医門の向こう側は平面復原のみで建物は復原されていません。それでも建物礎石や井戸跡、排水溝と説明板やリーフレットを照らし合わせて見てみると、往時の姿を思い描くことができました。中級武家屋敷群には土塀と棟門のほか、主殿や蔵、納戸、トイレが復原されていて、主殿の台所では鯛がさばかれ、座敷では朝倉将棋(酔象の駒入り)が指されていました。
復原町並の通りは少しずつ角度を変えて見通しが利かないように造られており、南端は行き止まり、北端は矩折と呼ばれるクランク状になっていました。城下町ですもんね。そして、北側の休憩所にある復原町並のジオラマで上級武家屋敷群の様子を確認して復原町並をひとめぐり。
説明板やリーフレットなどと照らし合わせれば、平面復原でもある程度は往時の姿を思い描けるとはいえ、やはり復原された町並を見て、その中を歩き回って…という経験とは比べものになりませんし、その経験があれば、平面復原を見て思い描くイメージもより明瞭なものになるでしょうから、実に良い経験をさせてもらいました。その上に「戦国城下町生活再現」で住民の暮らしぶりまで感じられるとあっては、言うこと無しですね。…などと大いに満足して復原町並を後に朝倉館に向かいましたが、100名城スタンプを押し忘れたことに気付いたのは帰宅してからのことでした。やれやれ(続く)。
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