ふるさと納税でお城を応援!寄附金が復元整備に使われるお城って?

ふるさと納税の寄附金の使い道として、お城の復元整備事業を選べる団体があります。自分の好きなお城を応援できて、芳名板で名前が掲示されるなどの特典も嬉しいふるさと納税を取材しました。


天守の修繕や発掘調査など、さまざまな事業に活用

地元や応援したい地域に寄付ができるふるさと納税。納税者は所得税や住民税の還付・控除が受けられ、そのお返しとして特産の食材や伝統工芸品などの返礼品をもらうことができるものだが、実はお城に関するふるさと納税があることをご存知だろうか? 寄附金の使い道としてお城の復元整備事業を選ぶことができたり、返礼品にお城グッズが用意されていたりと、城好きの心をくすぐる内容がたくさんあるのだ。

たとえば、現存12天守を持つ城の一つ、丸亀城。香川県丸亀市のふるさと納税「ふるさと丸亀応援寄附金」には全部で10種類のメニューが用意されているが、その中でも「丸亀城を守り後世に残す事業」は1番目に掲げられ、大切な資金源となっている。

丸亀城、天守、ふるさと納税
地域のシンボル・丸亀城天守の修繕にも、ふるさと納税は使われている

平成29年度のふるさと丸亀応援寄附金に寄せられた寄附の額は、延べ8,165件、約1億300万円。そのうち丸亀城の事業に対する寄附は1387件、約1,790万円だった。これは「子どもたちの教育に関する事業」に次いで2番目に多く、この順位は例年変わらないという。丸亀市広聴広報課の藤本さんは、次のように話す。

「丸亀城は地域のシンボルでもあり、復元整備事業は注目度が高いです。中には毎年寄附してくださっている方もいます」

寄附金の使い道は防犯設備の整備や天守の修繕など、年度によって異なるが、平成30年度からはこれまでに積み立てた寄附金を使い、三の丸にある坤櫓(ひつじさるやぐら)の石垣の復元整備事業に着手する。石垣を一度すべて解体し、発掘調査のうえ再び積み直すという大規模なものだ。もしこの発掘調査で新しい発見があれば、それはふるさと納税者のおかげともいえる。歴史的な瞬間に協力できるのも、ふるさと納税の醍醐味だろう。

丸亀城、城主証、資料館
カードサイズの丸亀城城主証。人気のニッカリ青江は丸亀城内資料館で不定期に展示中だ

また、丸亀城の復元整備に1万円以上を寄附すると、返礼品として「丸亀城主証」がもらえる。この城主証を提示すると丸亀城天守、中津万象園、猪熊弦一郎現代美術館の入場が1年間無料になる特典で、最近はこの城主証を目当てに納税している人もいるのだとか。

「江戸時代、丸亀藩を治めた京極家に伝わるニッカリ青江という刀剣があります。この刀がオンラインゲーム『刀剣乱舞』で注目を集めたことから、純粋に城主になりたくて寄附をしてくださる方もいるようですよ」(藤本さん)

被災した熊本城では2年で34億円が集まる

2016年の熊本地震で大きな被害を受けた熊本県熊本市でも、地域のふるさと納税「熊本市ふるさと応援寄附金」の寄附金の1つとして「熊本城の復元・復旧」を掲げている。1円から寄附できる「熊本城災害復旧支援金」と、1口1万円からで特典が用意されている「復興城主」制度の2種類があり、2018年4月17日までに集まった金額は、2つあわせて約34億8,000万円。この寄附金は旧細川刑部邸の応急対策工事、被災した城域の安全対策など、様々な復旧事業に使われている。現在は天守の復旧に優先的に取り組んでおり、今後も飯田丸五階櫓、石垣などの復旧事業に使われる予定だ。

熊本城、被害、被災、寄附
熊本城の被害額は600億円を超えるとされる。被災から2年、その5%が寄附で集まった

熊本城が堂々たる姿を取り戻す力に役立てるのは、城ファンとしては名誉だろう。復興城主制度では「城主証」、熊本市が管轄する観光施設に無料で入場できる「城主手形」などの特典も受けられる。

熊本城総合事務所によれば「復興城主制度は1万円以上という高額な寄附設定ですが、これまでに8万件を超える申し込みをいただいている」という。復旧には20年近くかかるといわれている熊本城を、ぜひ応援してみてはいかがだろうか。

熊本城、城主証熊本城、城主手形、芳名版
  城主証(左)と城主手形。復興城主制度では、これらに加えてデジタル芳名版にも名前が登録される

高い目標を掲げ、達成を目指す城も

この他にも、名古屋城天守の木造復元を目標に掲げる愛知県名古屋市の「金シャチ募金」、上田城の調査・復元を行う長野県上田市の「夢に向かって! 上田城復元プロジェクト」、豊臣期石垣の整備事業のための資金とする大阪府大阪市の「太閤なにわの夢基金」、会津若松城の整備に活用する福島県会津若松市の「城下町會津まちづくり寄附金」など、多数の地域がふるさと納税をお城の整備に役立てている。

福岡城でも、お城の復元整備にふるさと納税を活用している。福岡県福岡市の「福岡みんなの城基金」と銘打たれたもので、福岡市経済観光文化局文化財活用部史跡整備活用課の坂本さんによれば「25のメニューがある中で、福岡城への寄附は毎年トップ3に入る注目度の高いもの」とのこと。

「福岡みんなの城基金」ではこの基金を活用し、平成35年度の潮見櫓の復元を目指している。平成29年度は165件の約1,050万円、平成26年度からの総額では926件の約4,160万円となった。市ではイベントなどを通じてこれまで以上に積極的にPRをし、ふるさと納税の存在を周知させていくという。

「『福岡みんなの城基金』は毎年寄附をしてくださるリピーターの方も多く、寄附額に応じた芳名板の氏名掲示もある。復元のため、これまで以上に多くの方に存在を知っていただきたいと思っています」(坂本さん)

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福岡城の将来イメージ図。福岡城では2028年までの整備計画を策定しており、ふるさと納税の寄附を活用して復元整備事業を進めている

福岡城、芳名版。ふるさと納税
福岡城の芳名板。金額に応じて大きさが異なり、1万円で通常のもの、50万円以上で大きなプレミアム芳名板が掲示される。

「城ラマ」ももらえる!返礼品にお城グッズ

また、寄附金の使い道をお城に指定しているわけではないが、返礼品としてお城グッズがもらえる地域もある。岩手県盛岡市では、4,000円の寄附で盛岡城御三階櫓のペーパークラフトを返礼品に選ぶことができる。城模型を返礼品としている地域は他にもあり、長野県諏訪市では1万円以上の寄附で日本三大湖城の一つに数えられる諏訪高島城のプラスチックキットが、そして静岡県掛川市では4万円以上の寄附でお城ジオラマ復元堂による高天神城の城ラマを選べる。

お城で販売されているグッズを返礼品にもらえる自治体もある。長野県長野市では2万円以上の寄附で壱口城主証、特別入城券、特製オリジナルグッズセット、福井県大野市では1万円以上で北陸の天空の城・越前大野城のグッズ5種セット、福井県福井市では4,000円で福井城のオリジナル記念品8点セットが選べる。お城グッズをまとめて手に入れるチャンスだ。

変わり種としては、島根県松江市の松江城デザインのネーム入りハンコ。2万円の寄附で、松江城が描かれた横に自分の名前が入ったハンコを作ってもらうことができる。また、松江市では使い道として史跡整備を選択することも可能だ。

地域を応援することで、好きなお城にさらに愛着が持てるようになるふるさと納税。まだしたことがないという人も、この機会に考えてみてはいかがだろうか。

執筆/かみゆ
「歴史はエンタテインメント!」をモットーに、ポップな媒体から専門書まで編集制作を手がける歴史コンテンツメーカー。

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