2021/08/26
香川元太郎さんの新作『ワイド&パノラマ 鳥瞰・復元イラスト 戦国の城』がすごい!
復元城郭イラストの第一人者である香川元太郎さんの作品をまとめた画集『ワイド&パノラマ 鳥瞰・復元イラスト 戦国の城』(ワン・パブリッシング)が2021年8月26日に発売されました。2018年の『日本の城』に続いて第2弾となる今作の見どころを、収録されているいくつかの作品や香川元太郎さんと担当編集者さんからいただいたコメントとともにご紹介します!
香川元太郎さんの城郭復元イラストが大きなサイズで楽しめる! 待望の城郭イラスト集第2弾
城びとの「はじめてのお城ガイドマップ」シリーズや特集記事などでもおなじみの、お城の復元イラストの第一人者・香川元太郎さん。雑誌『歴史群像』に描き下ろされたイラストをはじめ、地方自治体の依頼で描かれた緻密な鳥瞰・復元イラストが楽しめる『ワイド&パノラマ 鳥瞰・復元イラスト 戦国の城』が8月に発売されました!
まず最初に目を引くのは、表紙のお城。こちらは、京都にある明智光秀が築城した周山城(しゅうざんじょう)。たくさんのお城のイラストの中からなぜ周山城が選ばれたのか気になったので、担当編集者さんに伺ってみると「表紙の城は、編集部とデザイナーさんにお任せいただきました。編集部でいくつか候補をあげ、タイトルとのバランスや帯に隠れる部分などを考慮し、表紙として一番しっくりくるものを、デザイナーさんと相談して選ばせていただきました。周山城のイラストには、地形と縄張、さらに高低差が一目でわかるという、鳥瞰イラストの魅力が凝縮されていると感じています」とのこと!
ズバリ、見どころは?
今回は、雑誌『歴史群像』用に描き下ろされた作品のほか、自治体所蔵で現地に行かないと見られない作品が掲載されている点が大きな見どころ。掲載作品数は迫力の105城! しかも2018年に発売された前作『ワイド&パノラマ 鳥瞰・復元イラスト 日本の城』と同様、多くの作品はA3サイズの折り込み形式なので細かい点まで堪能できます。
自治体の依頼で描かれた作品のなかには、研究者の方だけでなく地元の研究家の方々にもお話を伺い、遠景部分にもいろいろな見解が反映されているものもあるそう。遠景部分がよく見られるのもワイド&パノラマの醍醐味です。各お城のイラストには、監修者の方などによるお城の解説もあり、読み応えがあります。
今すぐ見たい!掲載作品をちらちらっとご紹介
どんな作品がどんな風に掲載されているのか、特別にいくつかご紹介します。
九戸城(岩手県二戸市)
名胡桃城(群馬県利根郡)
小田原城(神奈川県小田原市)
御坂城(山梨県南都留郡)
小鷹利城(岐阜県飛騨市)
大森城(岐阜県可児市)
下田城(静岡県下田市)
米子城(鳥取県米子市)
なんと緻密な遠景部分! こうして見ていくと、お城の遠景部分でどんなやり取りがあったのか、気になってきませんか? 城びと編集部はどうしても気になったので、香川さんに遠景部分の書き込みについてお話を伺いました。
傘松城や古川城など、飛騨市の城は、城を含めた地域の景観復元イラストになっているんです。解説を書いている大下さんが、地籍調査や古絵図研究などから詳細な復元地図を作成しており、それをベースに描いています。高原諏訪城などでは、さらに地元の山に詳しい方のご指導で、道を描きこんだりしました。
江戸時代の城は、資料が多いのが大変ですね。三河の吉田城は城下町も描いていますが、東海道の宿場でもあったので、浮世絵などの資料も豊富! 周辺の寺や神社などもひとつずつ、当時の絵と地図を見比べながら描いています。解説の中川さんが資料をピックアップし、バインダー3冊にまとめて下さって、何とか把握できました。
伊予の今治城も、多くの絵図を参照していますが、原画の完成後に、近辺の村絵図が新発見されたとの事で、城外の集落を描きなおしました。私は手描きなので、完成後の修正は、技術的にも苦労します!
バインダー3冊の資料! 完成後の新発見! 制作過程までもドラマチック!
眺めているだけでストーリーが浮かんでくるような作品は、このような裏打ちがあってこそなのですね。
特別にもう少しだけご紹介しましょう!
月山富田城(島根県安来市)
赤穴瀬戸山城(島根県飯石郡)
高知城(高知県高知市)
和歌山城(和歌山県和歌山市)
日出城(大分県速見郡)
担当編集者さんにも本作の魅力を伺いました。
ここでしか見ることのできない、在りし日の城の姿です。
『歴史群像』の連載「戦国の城」に監修者つきで描き下ろされてきた城のほか、自治体の依頼で描かれた貴重な城のイラストも多数掲載しています。
第一弾にも増して濃い内容になっています。せひ、自身の目で確かめてみてください。
見れば見るほど新しい発見がある作品の数々。今回は105城掲載なので、ご紹介したのはまだほんの一部です! これはもう手に入れて、じっくり見るしかないですね!
▼緻密なイラストがどんなふうにできあがるのか気になる方は、香川さんに描き方などを伺ったインタビュー記事(全3回)もぜひご一読ください!
マイ お城 Life | 香川元太郎さん[前編]迷路遊びが城好きの原点(https://shirobito.jp/article/210)
香川元太郎さんプロフィール
1959年、愛媛県松山市生まれのイラストレーター。手がける『迷路絵本』シリーズ(PHP研究所)は累計300万部を超える大ヒット作品。歴史考証イラストでも絶大な人気を誇り、主な著書に『47都道府県 よみがえる日本の城』『迷路絵本』シリーズ(ともに PHP研究所)、『歴群[図解]マスター 城』(学研プラス)、『日本の城 ―透視&断面イラスト』(世界文化社)など。雑誌『歴史群像』(学研プラス)では2000年以降、城の復元イラストを連載で発表し続けています。日本城郭史学会委員。
著者・編者 香川元太郎(イラスト)
発売日 2021年08月26日(木)
定価 3850円(税込)
ページ数 182ページ
折込掲載の城
【陸奥】九戸城、【出羽】しなの館(役内渓谷の城砦群)、【出羽】中山城、【出羽】舘山城、【出羽】米沢城、【陸奥】寺山館、【会津】久川城、【上野】根小屋城、三ッ寺遺跡、【上野】名胡桃城、【武蔵】虎ヶ岡城、【武蔵】大堀山城、【武蔵】松山城、【上総】坂田城、【下総】本佐倉城、【安房】江見根古屋城、【武蔵】小野路城、【武蔵】辛垣城、【武蔵】江戸城(太田道灌時代)、【武蔵】小机城、【相模】小田原城(惣構え)、【相模】大庭城、【甲斐】能見長塁、【甲斐】御坂城、【越後】加茂山城、【越後】栃尾城、【越中】増山城、【若狭】国吉城、【越前】大野城、【飛騨】傘松城、【飛騨】高原諏訪城、【飛騨】小島城、【飛騨】古川城、【飛騨】小鷹利城(向氏段階)、【飛騨】野口城、【飛騨】桜洞城、【飛騨】萩原諏訪城、【美濃】明知城と落合砦・仲深山砦、【美濃】加治田城、【美濃】金山城、【美濃】大森城、【美濃】今城、【美濃】大垣城、【伊豆】下田城、【伊豆】韮山城、【駿河】朝比奈城/殿山、【駿河】花倉城/葉梨城、【遠江】馬伏塚城、【遠江】諏訪原城/牧野城、【三河】吉田城、【近江】佐和山城、【近江】高取山城/男鬼入谷城、【丹波】周山城、【山城】山崎城、二条城(江戸前期)、【山城】田辺城、【摂津】芥川山城、大坂城惣構 真田丸、【河内】飯盛城、【丹波】篠山城、【播磨】明石城、【紀伊】和歌山城、【因幡】鳥取城(攻囲戦)、【伯耆】米子城、【出雲】赤穴瀬戸山城、【出雲】月山富田城(堀尾時代)、【石見】七尾城、【備後】青木城、【阿波】東山城、【阿波】徳島城、【讃岐】高松城、【伊予】今治城、【伊予】来島城、【土佐】高知城、【筑前】安楽平城、【肥前】原城、【豊後】日出城、【大隅】岩剣城、【琉球王国】中城グスク、泗川倭城、その他に天守・櫓なども掲載。(株式会社ワン・パブリッシングHPより)
執筆/城びと編集部 画像提供/株式会社ワン・パブリッシング