【2024年版】ふるさと納税で城の整備や復興を応援!お城がある自治体の体験型返礼品で思い出を作ろう

全国の自治体から自分の意思で応援したいところを選び、寄附という形でエールを贈る「ふるさと納税」。その中には、お城の整備や復興を目的とした寄附があります。また、近年のふるさと納税は、「モノ」ではなく「コト=体験」を提供する返礼品にも注目が集まっています。そこで今回は、お城にまつわるふるさと納税とお城らしい返礼品、さらにユニークな体験ができる返礼品プランをご紹介します。

■ふるさと納税とは?

ふるさと納税とは、自分が生まれ育った故郷、お世話になった地域など、自分が選んだ地域の自治体を、寄附(ふるさと納税)を通して応援する制度。各自治体がホームページ等で公開している寄付金への理念や使い道を検討し、応援したい納税先を選んで手続きを行います。

通常の自治体への寄附と違うのは、寄附金(ふるさと納税)のうち2,000円を超える部分について原則として全額が控除の対象になること(一定の上限あり)。例えば1万円のふるさと納税を行った場合、2,000円を超える8,000円が所得税と住民税から控除されるのです(ちなみに、控除を受けるには原則としてふるさと納税を行った翌年に確定申告が必要なので、忘れずに!)

ふるさと納税のもう一つの魅力は、寄附への感謝として自治体から贈られる返礼品。地域の名産品や観光資源を活かした品が多種多彩に用意されていて、自分が欲しい返礼品で納税先を選ぶ人も。詳しくは、総務省のふるさと納税ポータルサイトをチェック!

■ふるさと納税を活用した城への寄附

2021年春に天守閣が完全復旧し内部公開もスタートした熊本城(熊本県)や、2019年に火災で焼損した正殿等を復旧中の首里城(沖縄県)を筆頭に、城の復旧や保存・整備を目的とした、「ふるさと納税」による寄附が注目されています。

福山城天守
1622年の築城時の姿を再現する福山城天守(福山城博物館)リニューアル工事が2022年8月に完了

日本100名城の福山城(広島県福山市)では、2022年に迎える築城400年に合わせて、西国鎮衛として城郭史上価値ある福山城の魅力を現在によみがえらせ、後世に価値を伝える事業として、「福山城築城400年記念基金」を発足。城びとでもおなじみの小和田哲男先生(静岡大学名誉教授)や春風亭昇太さんも応援サポーターとして名を連ねた基金には多額の寄附が集まり、福山城の価値や魅力向上に役立つ事業の財源にあてられました。

山中城障子堀
クラウドファンディング特典で山中城障子堀に入ったという「城びと」読者の声が寄せられている

また、三島市では山中城(静岡県三島市)の維持管理にあてることを目的に、2018年からクラウドファンディング『日本が誇る貴重な文化財「山中城跡」を後世へつなげたい。』を実施。毎年、目標金額を上回る寄附金が集まり、山中城の保存・整備かかる費用を身近に考えるきっかけとなっています。

城の復旧を直接目指したふるさと納税がない場合は、城を有する市町村に、ふるさと納税を活用して寄附をするという形もあります。例えば日本100名城・続日本100名城の城がある市町村では、山形県鶴岡市(鶴ヶ岡城)、石川県七尾市(七尾城)、岐阜県恵那市(岩村城)、福岡県久留米市(久留米城)、熊本県人吉市(人吉城)・八代市(八代城)、大分県玖珠町(角牟礼城)、長崎県対馬市(金田城)・五島市(福江城)などが挙げられます。

■“お城らしい返礼品”がもらえるふるさと納税

城の整備・復興を目的としたふるさと納税の中には、城由来の返礼品を贈っている自治体も多くあります。その一例をご紹介します。

熊本市ふるさと応援寄附金(熊本県熊本市)

熊本城の復元・復旧にあてられる「熊本市ふるさと応援寄附金」では、1口1万円から受け付けている「復興城主」制度を通じて寄附すると、「城主証」と「城主手形」(熊本市が管轄する観光施設に無料で入場できる)などの特典が受けられます。
熊本城、城主証熊本城、城主手形、芳名版
熊本城城主証(左)と城主手形。復興城主制度では、これらに加えてデジタル芳名板(大天守4階および復興城主受付横に設置)にも名前が登録される

玖島城石垣の石NFT(長崎県大村市)<PR>

長崎県大村市の大村市ふるさとづくり寄附では、返礼品として「玖島城石垣の石NFT」がもらえます。NFT(Non-Fungible Token。非代替性トークン)とは唯一無二な資産的価値が付与されているもので、「玖島城石垣の石NFT」は玖島城石垣の一つ一つをNFTとして所有することができます。

玖島城石垣の石NFT
玖島城の石垣を一切傷つけることなく、未来に資産として受け継がれていくのがすばらしい

福岡城整備基金(福岡県福岡市)

福岡県福岡市が採用している「福岡城整備基金」は、主に福岡城跡の歴史的建造物(櫓・門等)の復元整備に係る経費に活用するものです。藩主の出入りや公式行事に用いられた上之橋御門(かみのはしごもん)や、三の丸北西隅に立っていた潮見櫓の復元を目指しています。1万円以上寄附した希望者を城内の三の丸スクエアに芳名板を掲示しています。

福岡城、芳名版。ふるさと納税
福岡城の芳名板。金額に応じて大きさが異なり、1万円で通常のもの、10万円以上で大きなプレミアム芳名板が掲示される

また、寄附金の使い道をお城に指定しているわけではないものの、返礼品としてお城グッズがもらえる地域もあります。

長野県諏訪市では1万円以上の寄附で日本三大湖城の一つに数えられる諏訪高島城のプラスチックキットを、福井県大野市では2万円以上で北陸の天空の城・越前大野城のジオラマを選ぶことができます。オリジナルのお城グッズを返礼品として用意しているのが富山県砺波市で、1万3000円以上の寄附への返礼品として「増山城登城記念手形・増山城戦国米」をセットで贈呈しています。

富山県砺波市、ふるさと納税、増山城登城記念手形
越中三大山城の一つに数えられる増山城の登城記念手形。材料のマスヤマスギは流通量が少なく、とても希少なのだとか!

他にも今人気の御城印を贈呈している自治体もあり、ユニークな制度として兵庫県姫路市が2023年11月から始めたのが「累積ポイント型返礼品」。寄附金額に応じた姫路市独自のポイント「石(こく)」が寄附者に付与され、貯まった「石」のランクに応じて次の称号やオリジナルの御城印などを贈呈するというもの。各称号(ランク)到達時に姫路市オリジナル御城印とエッチングプレートがもらえるほか、「銀冠城守」到達時には御城印用アクリルケース、「金冠城守」到達時には専用の収納桐箱が贈呈されます。

■今注目の「体験型」返礼品とは?

近年は、消費行動として「モノ消費」(商品やサービスを所有すること)よりも「コト消費」(商品やサービスを購入することで得られる体験)に価値が見出されています。その影響はふるさと納税の返礼品にも及んでいて、地域の魅力をダイレクトに感じられるイベントやツアーに参加できる「体験型」返礼品が注目を集めているのです。

お城がある全国の自治体でも、こうした体験型返礼品を取り入れているところがあります。具体的に見ていきましょう!

天下普請の篠山城大書院を貸し切り!1泊2日の「御成体験」(兵庫県丹波篠山市)

篠山城大書院貸切で殿様御成体験
慶長14年(1609)の篠山城築城とほぼ同時期に建てられたという大書院を貸し切り! 通常は立ち入れない上段の間で殿様のように座ることもできる

徳川家康の命によって西国諸大名が築き、日本100名城にも選ばれている篠山城。政務の場所として中核の役割を果たしていた大書院が平成12年(2000)に復元され、かつての姿を取り戻しました。兵庫県丹波篠山市ではなんとその大書院を貸し切り状態にして“殿様気分”を味わえる返礼品プランがあるのです。その名も「篠山城大書院貸切で殿様御成体験/殿様御膳!フルアテンドで城下町を満喫するラグジュアリーステイ」。

この返礼品プランは大人2名1組で参加できる、1日1組限定の1泊2日ツアー。江戸時代に藩主が大名をもてなした記録を基に作った「饗応料理」を大書院で味わったり、天守台に設けられた野外バーラウンジで夜空を眺めながらカクテルを楽しんだり、お城好きにとって最上級のおもてなしが待っています(宿泊は篠山城下町ホテルNIPPONIAのスイートルームで)。さらに2日目には丹波焼の陶芸体験なども用意され、丹波篠山だから味わえる贅沢な2日間といえます。

篠山城大書院貸切で殿様御成体験
城下町の趣深い古民家を利用した篠山城下町ホテルNIPPONIAで宿泊。リビング、ベッドルームなど3部屋以上に分かれ広々とした造りのスイートルームを利用できる

<ふるさと納税情報>
●プラン名
【1日1組限定】篠山城大書院貸切で殿様御成体験/殿様御膳!フルアテンドで城下町を満喫するラグジュアリーステイ [篠山城下町ホテル NIPPONIA スイートルーム ペア宿泊券]
●寄附金額
161万5000円
●受付
ふるさとチョイス
ふるなび

国宝松江城と城下町をお殿様・お姫様として堪能!「一日城主体験ツアー」(島根県松江市)

ふるさと納税、松江城一日城主体験ツアー

全国で12しかない現存天守を誇り、国宝にも指定されている松江城。この名城と城下町を城主として堪能できる一日体験ツアーが、島根県松江市の体験型返礼品として用意されています。

ふるさと納税、松江城一日城主体験ツアー
一日城主体験ツアーは甲冑着付けからスタート。身も心も城主になって松江城に到着すると、松江城おもてなし武者(写真右)がお出迎え!

まずは甲冑または時代衣裳に着替えたら、松江城専属のおもてなし武者がお出迎え。まさにお殿様・お姫様ですね! 「まつえ若武者隊」の案内で“我が城”を見て回って国宝天守に登り、お城を囲む堀を周遊する「堀川遊覧船」に貸し切りで乗船したり、松江城主が好んだという「松江城主御膳」を味わったり、特別な体験の目白押し! 朝から夕方まで城主気分をたっぷり満喫できる贅沢な一日を過ごせます。

ふるさと納税、松江城一日城主体験ツアー
左:昼食後に1隻貸し切りの堀川遊覧船で堀川めぐりを満喫 右上:昼食は大橋館で「松江城主御膳」を提供。スズキの奉書焼きなど島根の郷土料理を味わえる 右下:松江城すぐそばにある松江歴史館内の茶屋でお抹茶体験も

<ふるさと納税情報>
●プラン名
国宝松江城 甲冑姿で気分はお殿様!一日城主体験ツアーペア券(写真撮影付)
●寄附金額
100万円
●受付
ふるさとチョイス

復元された木造天守に城主として宿泊!「大洲城キャッスルステイ」(愛媛県大洲市)

大洲城、キャッスルステイ
天守と重要文化財の櫓2つを含めた空間をまるごと客室として過ごすことができる

文禄4年(1595)に藤堂高虎が近世城郭へと整備した大洲城。明治時代に天守が老朽化し解体されましたが、2004年に江戸時代の模型を基に木造で復元。この四重四階の天守と重要文化財の櫓を貸し切って宿泊できる「大洲城キャッスルステイ」が2020年7月からスタートし、“城泊”の先駆けとして話題を集めました。

大洲城、加藤貞泰
約30人のスタッフが加藤貞泰の入城シーンを演じ、宿泊客をお出迎え

愛媛県大洲市ではふるさと納税の返礼品として「大洲城キャッスルステイ」を用意。入城時に甲冑を着て、「1617年の大洲藩初代藩主加藤貞泰の入城シーンの再現」に参加すれば、たちまち戦国・江戸時代にタイムトリップ! その後も加藤貞泰が食した料理を再現した夕食、天守での宿泊、重要文化財・臥龍山荘での朝食など、城主のように贅沢な体験の数々が待っています。さらに特別に「印籠(大洲城入館永年チケット)」もプレゼント!

<ふるさと納税情報>
●プラン名
【1日1組限定】日本初!城に泊まる 木造天守閣 宿泊券/祝砲・殿様御膳・入城体験付き[宿泊券 ペア宿泊券 宿泊 ペア 2名 城主 体験 大洲市 愛媛 愛媛県]
●寄附金額
460万円
●受付
ふるさとチョイス
ふるなび

平戸の歴史と文化を五感で体感!「平戸城CASTLE STAY懐柔櫓」(長崎県平戸市)

平戸城CASTLE STAY懐柔櫓
写真左:平戸城の天守(右)と見奏櫓 写真右:宿泊場所となる懐柔櫓

平戸瀬戸に突き出た丘陵上にある平戸城は、天守から港湾を見下ろす眺めが素晴らしく、日本100名城にも選ばれています。そして2021年4月から、懐柔櫓を宿泊施設化した「平戸城CASTLE STAY懐柔櫓」がオープン! 日本100名城初の常設城泊施設として注目を集めています。

平戸城CASTLE STAY懐柔櫓
懐柔櫓はラグジュアリーな内装に改修。九州出身の画家・小松孝英氏が描きおろした蝶の壁画(右)などをデザイン

この平戸城キャッスルステイを利用したスペシャルな返礼品プランが、長崎県平戸市で用意されています。懐柔櫓は1階にリビングダイニング・和室コーナー・ウッドデッキ・浴室、2階にベッドルームを備え、内装は伝統とモダンを融合させた情緒豊かな雰囲気。夕食は平戸の新鮮な食材を使った創作フレンチのフルコースで、夜間の天守閣貸切、平戸神楽の鑑賞、千里ヶ浜での乗馬体験、茶室「間雲亭」での鎮信流茶道などの体験型オプションも充実。一日城主として平戸の歴史に思いを馳せながら、極上のひと時を過ごすことができます。
※2024年度は素泊まりプランのみ。お食事は含まれておりません

平戸城CASTLE STAY懐柔櫓
専属シェフが手がけた創作フレンチディナーでおもてなし

平戸城CASTLE STAY懐柔櫓
真っ青な青空に白い砂浜が輝く千里ヶ浜での乗馬体験(左)や、平戸藩松浦家に伝わる鎮信流の茶道体験(右)などのオプションも楽しめる

<ふるさと納税情報>
●プラン名
【城に泊まる夢の体験】平戸城CASTLE STAY懐柔櫓ペア 特別プラン
●寄附金額
132万円
●受付

四国を代表する石垣の名城を貸し切り!1泊2日の「丸亀城キャッスルエクスペリエンス」(香川県丸亀市)

丸亀城キャッスルエクスペリエンス
丸亀駅でお出迎えし、丸亀城まで人力車で移動

現存天守と美しい高石垣で知られる四国の名城・丸亀城でも、天守や邸宅を貸し切りで独占できる城泊を2024年から開始! ふるさと納税での申し込みも併せてスタートしました。

丸亀城キャッスルエクスペリエンス
(左)宿泊施設として改修した延寿閣別館 (右)夕食後は天守貸切でのナイトラウンジを体験

丸亀城キャッスルエクスペリエンス
(左)中津万象園の母家(朝食会場) (右)中津万象園の松帆亭(うちわ作り体験会場)

返礼品プランの内容は1泊2食付き。まず初日は、JR丸亀駅からお出迎えの人力車で入城し、和太鼓での歓迎を受けます。そして東京にあった京極家江戸屋敷を移築した延寿閣別館にて夕食・宿泊。ナイトラウンジに変身した天守での晩酌も堪能できます。さらに2日目は、中津万象園での朝食、うちわづくり体験、煎茶道体験をご用意。かつての城主たちに思いを馳せながらゆったりと贅沢な一夜を過ごし、江戸時代の文化も体験できるという充実の内容です。

<ふるさと納税情報>
●プラン名
「丸亀城キャッスルエクスペリエンス」1泊2食付 ペアチケット
●寄附金額
422万円
●受付
ふるさとチョイス
ふるなび

城めぐりを通じて思い入れの強い市町村に、ふるさと納税を活用して寄附するのも、城好きならではの貢献ではないでしょうか。お城のある自治体に寄附金で貢献しながら、一生の思い出に残る特別なお城体験も楽しんでみませんか。

<ふるさと納税を利用した城に関する支援>
▼青森県弘前市 ひろさき応援寄附【特別コース】弘前城天守がお引越し!世紀の石垣大修理~石垣普請応援コース~

▼福島県白河市 ふるさとしらかわガンバレ寄附金(小峰城清水門復元プロジェクト)

▼福島県会津若松市 城下町會津 まちづくり寄附金(鶴ケ城整備のために活用)

▼長野県上田市 夢に向かって!上田城復元プロジェクト

▼静岡県三島市 日本が誇る貴重な文化財「山中城跡」を後世へつなげたい。
https://www.furusato-tax.jp/gcf/3527?srsltid=AfmBOorvmC-bVodIMF4nLGCu6Qwd4ed2B8E_oTjIRAvhXju9AjV8m9Jw

▼岐阜県恵那市 ふるさとえな応援寄付金

▼愛知県名古屋市 名古屋城寄附金

▼和歌山県和歌山市 史跡和歌山城整備基金(ふるさと納税制度と同様に寄附金控除が受けられます)

▼大阪府大阪市 大坂城 豊臣石垣公開プロジェクト

▼兵庫県西播磨 西播磨の山城登山道整備補助応援プロジェクト

▼広島県福山市 次の100年へ、城があるまち福山(福山城)

▼香川県丸亀市 ふるさと丸亀応援メニュー(日本一の高さを誇る丸亀城石垣を修復する事業)

▼福岡県福岡市 福岡城整備基金

▼大分県玖珠町 童話の里くす・ふるさと応援寄附金

▼長崎県五島市 ふるさとづくり寄附金

▼長崎県大村市 大村市ふるさとづくり寄附(玖島城石垣の石NFT)

▼熊本県熊本市 熊本城復興城主

▼熊本県八代市(ふるさと八代元気づくり応援寄附金に積み立て)
https://www.city.yatsushiro.lg.jp/list01303.html

▼熊本県人吉市 歴史や文化資源を保存・活用するための事業

▼熊本県芦北町 芦北町ふるさと寄附金

▼沖縄県 首里城未来基金

執筆/城びと編集部