超入門! お城セミナー 第123回【鑑賞】戦に強い「落ちない城」は合格祈願にも効果あり!?

お城に関する素朴な疑問を、初心者向けにわかりやすく解説する連載「超入門! お城セミナー」。今回は受験生応援企画! ということで、本番に強い“落ちない城”を紹介します。合戦で負け知らずのお城に行けば、運気もあがって試験で実力発揮できること間違いナシ!



大学入学共通テスト
学生の将来を左右する受験。大学受験では「大学入学共通テスト」が1月15、16日に行われ、2月からは私立の一般入試が本格的に始まる勝負の期間となる(Fast&Slow/PIXTA)

人事を尽くした後は…城頼みで受験を乗り越えよう!

今年も、はや2月。本格的な受験シーズンになりました。1月の共通テストは、「共通一次」の時代から、雪で交通網が乱れるなどのトラブルが毎年恒例のようになっていますが、今年は、いまだ完全勝利に至らぬ新型コロナウィルス感染症との戦いに加えて、事件や自然災害まで……。鍛錬を積んできた全国53万人の受験生のうちの多くの人が、出陣に際して心穏やかではいられなかったことでしょう。

戦場での緊張や動揺を乗り越える精神的な支えとなるのは、神社やお寺で合格祈願したことや、その時手に入れたお守りでしょうか。もちろん神頼みもいいですが、お城好きなら……そう、「城頼み」です。今回のお城セミナーでは、お城好きの受験生のために、「落ちない」ご利益があるといわれている縁起のい〜いお城を紹介します。
 
全国で「落ちない城」をアピールしている城はたくさんありますが、今回はその中でも落城経験がないといわれる“真の不落の城”4城を厳選。でも、新型コロナウィルス感染症の影響により、開館日や営業時間が変更されている施設もあります。入館制限なども状況により変化すると思われますので、必ずご確認のうえ、厳重な感染対策をしてお出かけください。また、雪の情報も忘れずチェックしてくださいね。

【落ちない城1】上田城(長野県上田市)

まずは、NHK大河ドラマ『真田丸』の放送以来、知名度がグンと高まった上田城から。真田昌幸が、川沿いの崖上に巧みに縄張をした堅城です。「不落の上田城」と「真田」の名を世に知らしめたのが、天正13年(1585)の第1次、慶長5年(1600)の第2次の2度にわたり、徳川軍に勝利した「上田合戦」です。

第1次では徳川家康が派遣した3倍以上の攻城軍を翻弄して撃退。第2次では、3万8000の徳川秀忠の大軍を足止めさせ、秀忠は関ヶ原の戦いの本戦に間に合わず、父の家康から大目玉をくらいました。城跡に鎮座する眞田神社の必勝祈願絵馬や合格守りは、毎年受験生に大人気。城の東側にある上田市観光会館売店にも、「落城(おち)ない上田城」という自由帳が売られていますよ。

眞田神社

合格祈願、上田城御城印
本丸跡に鎮座する眞田神社(上)。受験シーズンには合格祈願神事も行われている。下は上田城御城印。「不落の城」の印が押され縁起が良さそうだ(信州上田観光協会提供)※上田城の御城印は季節でデザインが変わります。写真は令和3年冬バージョン

【落ちない城2】忍城(埼玉県行田市)

沼地を利用した複雑な縄張の忍(おし)城(埼玉県)も、天下人の大軍に攻められても落ちなかった城です。関東7名城の一つで、『のぼうの城』の小説と映画で一気に全国に知られることになりました。築城主の成田氏は、扇谷上杉氏、北条氏、上杉氏に付いたり離れたりを繰り返して生き残ってきたツワモノ。忍城は何度も攻められますが、決して落ちません。

名声を決定的にしたのが、北条氏の家臣として迎えた小田原攻めの時の忍城の戦いです。豊臣秀吉の命を受けた石田三成は、主君にならって水攻めを敢行。ところが、城代の子・成田長親(なりたながちか)を総大将に、わずかな人数で籠城して城を守り抜き、北条方の支城で唯一落ちなかった城となりました。この武運にあやかった「落ちない御守り」のデザインは、御三階櫓と武勇の姫君・甲斐姫(かいひめ)の2種類。城跡の郷土博物館や観光情報館など、行田市内の各所で入手できます。

忍城、復元御三階櫓
忍城の復元御三階櫓。隣接する行田市郷土博物館では、忍の“落ちない”歴史を紹介している

【落ちない城3】国吉城(福井県美浜町)

続いては、越前の戦国大名朝倉氏に何度も攻められながら、一度も落城しなかった国吉城(福井県)です。若狭国守護の武田氏の家臣である粟屋勝久が、若狭と越前の国境の古城を改修して城主をつとめていました。

主家の武田家で家督争いが起こった時、勝久が新当主に従わなかったため、武田氏の縁戚である越前朝倉氏が攻めてきますが、籠城戦で撃退。その後毎年のように攻められるも、落城することはありませんでした。のちに勝久は織田信長を迎え入れ、国吉城は朝倉攻めの本陣に。朝倉氏の本拠地・一乗谷にも率先して攻め込みました。若狭国吉城歴史資料館で販売している御城印には「不落」の大きな印が押されていて、合格祈願印の入ったバージョンは、この時期、特に買い求める人が多いそう。

若狭国吉城歴史資料館

合格祈願、若狭国吉城御城印
麓の若狭国吉城歴史資料館(上)で購入できる「合格祈願」御城印(下)。受験はもちろん資格試験にも御利益があるとか(若狭国吉城歴史資料館提供)

【落ちない城4】富岡城(熊本県苓北町)

最後は、かの島原の乱の舞台になった城です。天草四郎率いる一揆軍が使用した原城(長崎県)が有名ですが、幕府軍の拠点の一つだった富岡城(熊本県)をご存知でしょうか。関ヶ原の戦い後のいわゆる「慶長の築城ラッシュ」の時に、天草領主の寺沢氏が唐津城(佐賀県)の支城として築きました。

一揆軍が攻めてきた時、江戸に参勤中の城主に代わり城を守ったのが、唐津藩筆頭家老の三宅藤兵衛(みやけとうべえ)でした。しかし藤兵衛は城外での戦で討死してしまいます。残された城兵3000人は、3倍以上の一揆軍の攻撃に籠城して耐え抜きました。のちに廃城になりますが、平成に入ってから発掘・復元作業が行われ、ビジターセンターと歴史資料館が建てられています。石垣や櫓・門などの復元建造物も大きくて立派です。御城印は「落ちない」御利益があるといわれて大人気。季節限定版もあるので、ぜひチェックを。

富岡城
城内には江戸時代の石垣が残る他、櫓や門が復元されている

崖っぷちに追い込まれても絶対“落ちない”岩

この他、城そのものではなく城内にある落ちそうで落ちない「岩」も受験生に人気です。まずは、竹田城(兵庫県)西登山道の中腹にある駐車場から約300m登ったカーブ脇。崖っぷちに「落ちない岩」があります。近年約2mのこの大岩にしめ縄が張られ、そばに説明板が設置されたため、実にありがたい姿に。また、佐々木六角氏の隠れ城の異名を持つ三雲城(滋賀県)の岩にもご注目。見張り台のような場所にそそりたつ「八丈岩」は、高さ5mの巨岩。そばまで登って横から見ると、まるで浮いているよう。まさに落ちそうで落ちない岩なのです。周囲には合格の願いが書かれた石が積まれている、知る人ぞ知る祈願スポットです。

三雲城跡、八丈岩
三雲城跡の八丈岩。崖っぷちにかなりの急角度で立っている。今にも落ちそうだが絶対に落ちないのだ(kuririn/PIXTA)

この他にも、唐沢山城(栃木県)、千早城(大阪府)、白旗城(兵庫県)、月山富田城(島根県)など、「落ちない城」として知られているお城はたくさんありますし、城跡にある神社や城下町のおみやげ屋さんでは、勝守りや合格守り、シャレをきかせた合格祈願グッズなどが見つかるかもしれません。興味が湧いた城好き受験生の皆さんは、まずは地元の城にそんなグッズがないかなど、追い込み勉強に差し支えない程度にチェックしてみてくださいね。

鍛錬を重ね、「落ちない城頼み」で精神統一できたら、あとは本戦に威風堂々のぞむのみ。いざいざ、出陣じゃ〜!! 城びとも全力で応援しています!

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第117回【鑑賞】模擬天守をつくった時のモデルって、どこのお城?(https://shirobito.jp/article/1387
第116回【鑑賞】もうひとつの江戸城!? 東京中心地に残る「見附」を歩く(https://shirobito.jp/article/1363
第115回【鑑賞】意外な施設に生まれ変わったお城を知りたい!<第1弾>(https://shirobito.jp/article/1355
第107回【鑑賞】熊本城にはたくさん食べものが隠れているって本当?(https://shirobito.jp/article/1280
第105回【鑑賞】なぜ山城には建物が残っていないの?(https://shirobito.jp/article/1262

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執筆・写真/かみゆ歴史編集部
「歴史はエンタテインメント!」をモットーに、ポップな媒体から専門書まで編集制作を手がける歴史コンテンツメーカー。主な制作物に、『地域別×武将だからおもしろい 戦国史』(朝日新聞出版)や、『あやしい天守閣 ベスト100城+α』(イカロス出版)など。


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