盛岡城見学のあと、東北本線で花巻に移動しました。
2010年にお買い物をした懐かしのイトーヨーカドーを左に見て、早坂御門跡から坂を登ります。
左手の石段を登ると西御門が見えました。手抜かりのない正門復元を目指したことが伝わってくる本格的な構えです。(そう感じた理由は後でわかりました。)
門を潜ると土塁の配された本丸。菱櫓からの眺めもよく、御台所前御門の枡形がとてもいい感じです。説明板の古図には天主台の文字もあり、天守があったという記録はないようですが格式高い建物が映えそうな雰囲気でした。
御囲穀御蔵前御堀跡、鐘撞堂前御堀を越えると花巻小学校校庭と武徳殿のある二の丸です。東御門付近の土塁、中御門跡など確認し、見学のメインはこのあたりまでかなと思ったのですが、せっかくなので少し離れたところの馬場口御門、円城寺門まで行ってみることにしました。
焔硝蔵前の虎口の雰囲気の残る門跡。ここが東御門で、通りに出ると臼堀跡、その先に馬場口御門がありました。
下調べなしで来たにも関わらずここまでスイスイとチェックポイントを見逃さずにまわれたのは遺構のないところにも立ててくださっている標柱のおかげです。ありがたいです。
円城寺門は馬場口御門から少し進んだ鳥谷崎神社社務所前にありました。
神社にお寺の門があるのは不思議な感じもしましたが、円城寺門は花巻城の搦手門で、元々この近くに円城寺というお寺があり、その近くの坂に建てられたのでそう呼ばれたそうです。明治4年の城郭取り壊しの際に個人に払い下げられてその方のお宅の門となり、約60年後に別の人の手に渡って鳥谷崎神社の境内に移築、戦中戦後の荒廃でほぼ柱だけの状態になってしまったものが復元され、現在の位置に据えられたということでした。(現地説明板より。)
ぽかんと口を開けたかわいらしいコアラのような門にそんな歴史があったなんて。お城の歴史はどのような形であっても大切に思う人がいたからこそ未来へと受け継がれていくのだと思った次第です。
そして門の内側にまわってみた時に、あっ、これだ!とピンときました。最初に見た本丸の西御門によく似ています。西御門は復元の際にこの円城寺門を参考にしたのではないかなぁ。
ここまで来たら円城寺門跡(元々あった場所)まで行ってみます。見晴らしのよい崖の上で、円城寺坂も健在。門の向きも古図に描かれていたので、コアラさんを脳内で元の場所に戻してみました。
崖の下の広場には古図通りの観音堂もありそうです。これは町なか探検をしたら楽しそうじゃないですか?
ということでそのまま歩いてみることにしました。
重ね地図(これが本当にありがたかったです!)にある上御堀に沿って市役所方面に向かいます。右手に崖のある何でもないけれど高低差のある道路が堀跡の空気を漂わせています。間もなく時鐘が見えてきて市役所入口付近に到着。梯郭式縄張の南の隅にあたるこの場所に大手門の碑がありました。周辺の道路もあまり大きくは改変されていないようです。
時鐘は盛岡城の鐘として鋳造されたものが“小さかった”ために花巻城に移されたのだそうです。
濁り堀跡、城内藩学揆奮場跡等の標柱を確認しながら花巻小学校まで戻ってきました。中御門は古図にも櫓門が描かれていますが、今でも狭い道路に枡形の面影があって感動!スピードを落とした車が曲がって入ってくる様子は結構好きな光景です。
御役屋跡、鍵御堀跡、長屋前御門跡と確認しながら戻っていると「花巻城跡(鳥谷ケ崎城跡)」の石碑がありました。
スタート地点の早坂御門に戻って見学終了、花巻駅に戻りました。駅は町の玄関口というイメージがあるのですが、ここは町の後ろに駅がある、という印象でした。
約2時間の花巻散歩は小さな町に城の痕跡をさがす、ちょっと大人の城散歩でした。(本人はちょっとどころではなくだいぶ大人ですが。)
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