詳細は不明ながら、杉谷砦は杉谷氏(甲賀五十三家)が築いた出城と伝わります。なお、織田信長を火縄銃で狙撃したことで知られる杉谷善住坊は杉谷氏の一族とも言われます。
県道から正福寺の東側に続く道に入り、少し行くと車両通行止めになっていますので、道路脇の空きスペースに路駐させてもらいました。駐車場所から正面の藪に突入すると主郭北西部に至るのですが、進入路を見付けられず、竹藪沿いに東に少し進んだところから突入すると、東側の堀切から続く竪堀の北麓に出ました。杉谷砦の一番の見どころと言われるだけあって、相当な深さで東尾根を完全に断ち切っています。堀切の西側には主郭があるはずですが、ルートがわからないので土塁によじ登ってみると、はるか下に主郭が見えます。大変な高さ(7mくらい)です。主郭に下りていくと広さはないものの、東辺から南辺、西辺までを高土塁で囲んでいます。主郭北東隅から東側の堀切に続く道があり、堀切を越えて東尾根にも行ってみましたが、雑木林になっていて特に削平された様子もないので、城域ではなさそうです。それにしても、堀切のあちこちに石仏が転がっていたのは何か謂れがあるものなんでしょうか。
…ということで、この日は甲賀の新治地区・杉谷地区の城をめぐりましたが、こんな小さな砦に至るまで見上げるような高土塁を備え、徒歩圏内に10以上の城が密集し、それぞれ登城口からすぐに遺構にたどり着けるというのは……甲賀の城、最高すぎますね。満足満腹を通り越して胃もたれを起こしそうなほど濃密な一日でした。
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