2020/01/22
お城EXPO 2019 徹底ガイド&レポート 【イベントレポート】城びとアンバサダーが満喫した「お城EXPO 2019」(2日目編)
2019年12月21日(土)・22日(日)に開催された「お城EXPO 2019」には、全国から数多くのお城ファンたちが登城。その一人である城びとアンバサダーの「たけ◎曲輪衆」さんはなんと岡山から参城! 2日目に参加した模様をレポートしてくれました!
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2日目も開城前に行列!
1日目の岩本さんのレポートに続き、最終日となった12月22日(2日目)は同じく城びとアンバサダーのたけ◎曲輪衆がレポートします。
プレミア前夜祭・初日と大盛況を迎えたお城EXPO 2019も、今日が最終日。日曜日ということもあってか、昨日にも増して朝早くから入城待ちの列。並んでいる皆さんからは、みんな開城時間が待ち遠しくてしかたがないっていうワクワク感が伝わってきます。
何人かで並んでいるグループでは、早くもお城談議に花が咲き年に一度のお城の祭典が待ちきれないという様子。そして行列のわきでは、突然寸劇が始まりました。並んでる間も来城者を飽きさせない心憎い演出。
寸劇を披露してくれたのはお城EXPO公式城番の武者所の面々。早く門を「開けろ!」「開けろ!」の掛け声に、待っている人たちの中からもつられて一緒に「開けろ!」「開けろ!」の声が
開城前から早くも熱気でムンムン!会場に集まったお城ファンには12月の寒さもなんのその。
待ちに待った開城です
本日も武者所の高らかな「開門~!」という掛け声とともに、さあ!待ちに待った2日目の開幕です。
会場に入るとまず最初に目に飛び込んでくるのは、お城EXPOの大きなのぼり。もう4度目となるとすっかりおなじみで見慣れた感もありますが、やはりこの大きなのぼりがズラーっと並んでいるのを見ると、今年もお城EXPOに来たぞっ!とまだ入ったばかりなのにテンションMAX!
初日に来城された方や下調べ万端の方々は、お目当てのブースへと一目散。どこから回ろうかと、パンフレットとにらめっこする方々。各自それぞれ思い思いの場所へと散らばっていきます。
やっぱり今年は御城印
今年のお城EXPOは、今ブームの御城印が注目されていて、各お城の出展ブースでもお城EXPO限定の御城印が発行・販売されるらしい。城びとでそれを知った私は、まずは3階の「城めぐり観光情報ゾーン」へと急ぎます。
今年のお城の出展ブースの数は過去最高とのこと。お城EXPOに来城しないと買えない限定御城印を求めてそれらのブースをめぐります。と言っても、昨日も朝から狙った御城印。考えることは皆さん同じ、どこも行列(泣)。1人ですべてをゲットするのは至難の業。今日は作戦変更、城友さん3人で共同作戦です。1人1枚限定のものにまず並んでゲットし、そのあとは手分けして配布枚数の少ないものから購入して行きました。
左/岩櫃城のお城EXPO限定御城印は、紺地の和紙に銀の文字。とてもカッコイイ! 右/今年初参加の島田市のブース。諏訪原城限定御城印は金・銀の2種類
特に人気が高かったのは、手書きの限定御城印と輪投げゲームで別名御城印がもらえる国宝5城のブース、弓矢ゲームをすると佐和山城御城印+グッズがもらえる彦根市のブース、掘尾吉晴さんがなんと直々に花押を書いてくれるうんぱく三城・松江城ブースなどは、長~い行列が! 城友さんの中には、1人で一日だけで24種類の御城印をゲットした人や、3日間で国宝5城の手書き・別名10種類コンプリートした強者も(驚)。
うんぱく三城ブースで配布されていたのは、御城印ならぬ御将印というものだそうです。書いていた堀尾吉晴さんは練習のしすぎで、オムライスの上にケチャップで花押を書いてしまったとか(笑)
行列のできている隣のブースの方からは「うちも御城印、作って持ってくりゃよかったなー」って本音がチラッと。その他にも通常の御城印や時期限定の御城印を販売しているお城ブースも多く見られました。ここ1年、各自治体も御城印に力を入れだし、私たちお城ファンにも急速に認知度が高まってきているように感じました。次回はもっと限定御城印増えそうな予感。
今回ゲットしたお城EXPO限定御城印
左/国宝5城、別名国宝5城、現存天守重文7城、根城
右上/お城EXPO、会津若松城、長篠城、諏訪原城、岩櫃城、松江城、佐和山城、田丸城
左下/小宮城、期間限定高梁城、期間限定福岡城、福山城
ホントは全部聞きたかった厳選プログラム
そして今回一番楽しみにしていた厳選プログラムを聞くために、1階のメインホールへ。聴講するのは「レポート!惜しくも消滅した南山城」。私の地元、倉敷市にある中世の山城です。春風亭昇太師匠と城郭ライターの萩原さちこさんが、災害復旧のため消滅するこの南山城を、どういう視点で解説してくださるのか楽しみでした。
さちこさんと昇太師匠が登壇するとあって、おそらく今回の厳選プログラムの中でも人気なようで、会場は超満員。プログラムが始まると、さすが、お2人の軽快なトークに会場からは笑い声が。けれども真備町の話になると真剣な表情でのトークが繰り広げられ、南山城が消滅する理由にも納得。全貌が明らかになった南山城をとてもわかりやすく紹介してくださいました。
特にすごかったのは、ドローン空撮の映像が大きなスクリーンに映し出されたとき! まるで自分が南山城の上を飛んで見ているような大迫力でした。昇太師匠曰く「この映像1本あればお家で美味しいお酒が何時間でも飲める」そうです。このプログラムで多くの方が南山のことを知ることができてとても良かったです。
たけ◎曲輪衆さんが撮影した、翌々日の12月24日の南山城の様子。とうとう頂上付近にも重機が入り、切り崩されています。南山城は消滅するけど、真備町の一日も早い復興を願わずにはいられません
小・中学生お城の自由研究コンテスト 優秀作品展
次に行ったのは、これも楽しみにしていた日本城郭協会主催の「小・中学生お城の自由研究コンテスト 優秀作品展」。
この自由コンテストに連動して昨年3月と7月に行われた、城びと主催の小中学生向けの石垣山城と小田原城総構をめぐるツアーに参加してきたのですが、そこに来ていた大人顔負けのお城好きな子どもたち。加藤理文先生と小田原城天守閣館長の諏訪間さんによる案内のもと、熱心に説明を聞いたり、見学したり、土塁によじ登ったりしていた元気な子どもたちの夏休みの自由研究は、もちろんお城! 参加した子供たちの中から入賞者が出てれば嬉しいな!なんて思いながら会場へ。
今年の優秀作品も大人顔負けの専門的なものから、子どもならではの視点で見たとてもユニークなものなど、どれも力作ぞろい。覗き込むようにじっくり読む来城者も多く「これすごいね!」とか「へー!これ面白いねー!」という声が多く聞こえていました。子どもたちのレベルの高さにビックリ。今回優秀作品に選ばれた子どもたちの中から必ずや将来の城郭研究者が出てくるのではないでしょうか。お城の未来も明るい!
大人も子どもたちも興味津々で入賞した優秀作品を覗き込んでいました
International Lounge インターナショナルラウンジ
次に向かったのは、城友さんのアンドリューがぜひ来てね!と言っていたインターナショナルラウンジ。ここは名前の通り、外国人目線で日本のお城の魅力を知ることのできる場所。兼・外国人の来城者のためのインフォメーションセンター的な場所。
日本のお城は多くの外国人の方々が訪れる人気観光スポットですが、最近では私たち同様、海外在住・日本在住にかかわらずお城ファン・お城マニアと呼ばれる外国人の方々も増えています。そんなお城EXPOに来城された外国人の方々にも楽しんでもらえるようにと、第1回から開設されているそうです。
ラウンジ内には英訳のお城のパンフレットがズラリ!お城の一部分だけの写真を見て、どこのお城か当てるクイズゲームもあり、来場者も超難問に四苦八苦
ここでは、日本在住のお城マニア・Andrewさんとベルギーから来日したPaulさんが、英語、フランス語などの言語で会場の案内をボランティアで担当。2日目のこの日も多くの方が訪れていました。お城好きにとっては、国境っていうものはないんですね! そんなことを実感できたインターナショナルラウンジでした。これで次回のお城EXPOに外国のお友達を招待しても、もう大丈夫!
一番左側のオーストラリアからお越しのAllenさんは、日本100名城スタンプをオーストラリアから通って10年がかりでコンプリートした強者。日本城郭協会の方から「あなたが南半球在住の方で日本100名城制覇一番乗りです!」と伝えられて本人もビックリ大感激! こんな素敵な場面にも出会えました。Allenさん、Congratulations.
グルメも楽しみ!お城EXPO
今日は朝から会場中を歩き回っていたので、お腹が減っては戦はできぬ!ということで腹ごしらえ。普段のお城のリア攻めの時は、食べるのも忘れて夢中でお城中を歩き回る私たちお城マニアも、お城EXPOではチョット違います。ここでしか食べられない、弁当や御膳やスイーツがあります。
入口で配られたパンフレットには会場周辺の飲食店のサービスクーポンがズラリ! 入場券があれば入退場自由なので外に行こうか迷いましたが、時間の都合で5階の休憩処へ。私は崎陽軒のお城EXPO炒飯弁当を購入。包みはお城EXPOのポスター風の特製とだけあって、食べた後の包みを持って帰る人の多いこと。
限定のお城EXPO2019炒飯弁当は大人気で昼ごろには売り切れ
専門家によるお城のお話・セミナー
時間がきたので次に向かったのは4Fのセミナー会場。山梨県埋蔵文化財センター・柴田さんによる「史跡甲府城跡復元整備の歩み」。
私のお城巡りの楽しみ方の一つとして、今から約40年前の学生時代に全国のお城を回って撮った写真と同じアングルの写真を当時と同じ場所でもう一度撮ってみるというもの。その写真を見比べていると、当時は崩れた石垣だったのに、今は石垣がきれいに積み直され、その上に天守や櫓や櫓門が復元整備されているお城に多く出会いました。そのため、この40年の間にどのように復元整備されてきたのか、そしてこれから先、未来はどのように整備・復元されていくのかということを調べ始めました。そんな理由で、この甲府城のセミナーは必ず聞きに行こうと決めていたのです。
甲府城のセミナーで配られたレジュメ
この甲府城のセミナーを聴いて、そのお城が廃城以来どのような経緯で現在まで残ってきているのか、古写真を交えながら解りやすく知ることができました。また整備・復元するときの難しさや、問題点なども具体的に知ることができてとても良かったです。
熱演!イベントステージ
ほんとはすべての厳選プログラムやセミナー・ワークショップに参加したいけどそんなわけにもいかず、悩みに悩んで決めたプログラムの間隙を縫って、これまた悩みながら各観光ブースや展示ブースを回ります。しかし、イベントステージのことも気になります。5階に上がったとたん、楽しそうな音! つい寄らずにはいられません。
イベントステージでは、全国から集まった各地の武将隊による演武や、ゆるキャラたちも参加して各お城のPRが行われていました。その中でも、ひこにゃんや、城びとで「前田慶次の自腹でお城めぐり」を連載中の前田慶次殿がいる名古屋おもてなし武将隊が、やはり大人気! 時間が許されるなら、ずっとここにいたいと思わせる出演者の熱演がステージ上で繰り広げられていました。
ステージ上では上州真田武将隊による熱演が
お城EXPOでも人気者・ゆるキャラたち
そして、やはり会場で目にとまるのはご当地ゆるキャラたち。どこにいても記念撮影で引っ張りだこです。
左/名古屋城ブースでねこねこ日本史「織田信長」君と記念撮影
中央/八王子市の「はっちお~じ」君
右/犬山城の「わん丸」君
左上/三重県玉城町・田丸城の城之介君
左下/姫路城の「しろまるひめ」と岐阜県の「ミナモ」君のツーショット
右/人気者「ひこにゃん」のいる所は、いつも黒山の人だかり
お城ファンの交流の場
そして会場のいたるところで、手を振りながら「久しぶりー!」と近づき手を取り合う光景が見られました。実際、私も何人もの城友さんたちから声をかけて頂き、久しぶりにお会いして楽しい時間を過ごしました。昨夜、とあるグループはお城ファン107人が集まっての懇親会を会場近くで開催したそうです。さすが日本一のお城のお祭り、ここお城EXPOの会場がお城ファンの交流の場にもなっているんですね。
左/久しぶりに会ったお仲間達と、さっそく記念撮影 右/2階の入城ゲートのすぐ前にある武者所ブースでも記念撮影。お城EXPOに来たらやっぱりここで写真撮らないとね。掛け声はもちろん、ハイ!「し~ろ!」
沖縄県・首里城特設ブース
お城EXPOの開催直前、とても悲しいニュースが飛び込んできました。多くのお城ファンたちがテレビ画面にくぎづけになった、首里城炎上。急遽お城EXPOでも特設ブースが設けられて、来城者の関心度の高さからか、多くの人が訪れていました。
一般より募集されたかつての首里城の写真に思いをはせ、炎上中と崩れ落ちた焼け跡の写真に心を痛め、見つめる皆さんは真剣な表情。会場に掲げられたメッセージボードには、早期復元に向けた多くの応援メッセージが書き込まれていました。熊本城同様、募金箱も設置されていて、たくさんの人たちからの募金も寄せられていました。
いつ行っても賑わっていたブース
そしていつもたくさんの人が集まっていたのが、ニッポン城めぐりのアプリブース。アプリユーザーが参加できる弓矢イベントが開催されていて、矢が当たった限定の姫をアプリ内に入れてもらえるというもの。矢を射るたびに一喜一憂する声でギャラリー含めてとても賑やかでした。今年は大河ドラマ「麒麟がくる」推進協議会とのコラボイベントも開催されていました。
一発勝負の弓矢ゲーム。一矢入魂、皆さん本気のマジ顔!
弓矢を引いた後、くじ引きで当たりが出たら「明智光秀ゆかりの地 岐阜」ブースに行くとお城EXPO限定のクリアファイルがもらえるというもの。
左/当たりを引いて思わずニンマリ 右/当たり券をもって岐阜ブースへ。明智煕子のクリアファイルをゲット!
ここ城めぐブースも城友さんとの待ち合わせ場所になっていたり、一人で来ても、ここに来れば誰か知り合いと会える!なんていう交流の場としても賑わっていました。
日本一の御城印コレクション!城びとブース
お城の情報を発信し続ける「城びと」のブース。ここには編集部が取材を通して全国から集められた御城印が展示されていました。実は、現時点での日本一の御城印コレクションがここにあったんです。数の多さにビックリされた方も多かったのではないでしょうか。
御城印を見ている方からは、「えっ!あそこのお城にも御城印あったのー!」とか「この限定の御城印欲しいなー」なんて声が。御城印ビギナーの方からは、ズラーっと並んだ御城印の壮観さに驚きながらも「私も集めてみようかな!」。今年も御城印の勢い、止まりそうもありませんね!
そして名残惜しい閉門の時間が
時間も忘れて夢中になって各ブースを見て回っている来城者に聞こえてきた「蛍の光」。えっ!もうそんな時間?!と誰もが思ったんじゃないでしょうか。
今年は、前夜祭はありましたが2日間の開催。あっという間でした。各ブースのスタッフの皆さんからはものすごい熱意というか、そのお城に対するお城愛がガンガン伝わってきました。一度訪れたことのあるお城でも、また行ってみたいな!と思ってきました。とても楽しい充実したお城EXPOでした。
退城口では、武者所の面々に見送られながら帰路に就く来城者。見送る側も見送られる側もみんな満足げな表情です
お城EXPO番外編、会場近くのお城にリア攻め
せっかく岡山から横浜に来たのだから、近くのお城にも実際に行きたい!ということで、お城EXPOが閉城した翌日に会場からほど近いお城に行ってきました。
行ったのは「城びと」のお城EXPO2019徹底ガイド③横浜発120分以内!「お城EXPO」参城記念にめぐりたい10城に掲載されていた、八王子市にある続日本100名城にも選定されている北条のお城・滝山城。35年前に一度訪れたきり、なかなか再訪出来なかったお城でした。
城跡の南西側にある観光駐車場に車を停めて、そこからは徒歩で駐車場に置いてあったパンフレットの案内地図を見ながら城跡へ。遺構を見ながら城域中心部の中の丸で続100名城スタンプを押していると、一人の甲冑姿の若武者から声をかけられました。お話をしていると、お城EXPOで私を見かけて覚えていてくださった、八王子/滝山三城のブースにおられた「滝山城群・自然と歴史を守る会」で滝山城の保存整備活動をしている方でした。
この日は外国人の方々を案内するツアーイベントの日で、甲冑姿の城守兵が突然現れてツアー客を攻撃するという、お城好きにとっては血が騒ぐ内容。急遽参加させていただくことになりました。
突然、甲冑姿の鉄砲隊が現れ、大空堀向こうの高い櫓台から攻撃される。たまらず、ツアー客達もエアー弓矢で応戦!
城内の見学が終わると甲冑体験。とても楽しいツアーでした。滝山城についても詳しく理解でき、いろんな遺構も案内して頂きました。
ちなみに、守る会の会長さんから伺った話によると、10年前から有志が集まり整備活動がはじまったそうです。広い城域の滝山城故の整備の大変さや苦労話、問題点など、城址の活用などについても伺い知ることができました。こうして私たちお城ファンが全国にあるいろんなお城に行ってそのお城を探訪できるのも、地元の保存会や守る会の方々の年間を通じての努力の賜物。お城ファンとして敬意を表さずにはいられません。お城EXPOのついでに寄った滝山城、最高でした。
次回も必ず行きたい!お城EXPO
前夜祭と番外編を含めてお城漬けの4日間は、最高に楽しい時間でした。本当は各ブースをもっと時間をかけて回りたかったし、厳選プログラムやセミナーをもっと聞きたかったし、物販ブースではもっと買い物もしたかったし、2日間の開催では時間が足りなかったです(泣)。山城用に消音機能付きベル『城めぐリン』も欲しかったのですが、3日間とも他のことに夢中になって気づいて行ったときには当日分売り切れで買いそびれてしまいました。限定御城印も含めて、今年は限定もの、もっと数増やしてくださーい(願)。
でも、このお城EXPOで何人かの新しい城友さんもできたし、お城の新しい情報や、知識も増えました。今年のお城めぐりが楽しくなりそうです。次回の今年の年末?のお城EXPOには、お城にまったく興味のないお友達も連れてってみようかな(笑)。ハマッちゃったりして(大笑)。
執筆・写真/たけ◎曲輪衆(小野雅章)