ローカル線でめぐる城|【JR久大本線】福岡(久留米)~大分5つの城を楽しむ1日トリップ(前編)

夏本番!城めぐりには少し厳しい季節ですが、こんな時こそ気分を変えて、童心に返ったような原風景を感じられるローカル線でのんびり城旅はいかがでしょうか? 電車にコトコト揺られながら、下車した駅から城や歴史ある町並みを散策して、移動の合間に温泉に浸かって・・・思い出に残る旅が楽しめます。今回は、JR久大本線で行く九州の旅をご紹介します!

天領日田、花月川、ローカル線
天領日田を守るように流れる花月川。2018年7月14日、1年ぶりに橋の上に列車が走った

今回乗車するJR久大本線は、「平成29年7月九州北部豪雨」の影響で一部区間が運転を見合わせていましたが、2018年7月14日に約1年ぶりに全線が復旧した、今夏注目の路線です。沿線には「続日本100名城」の久留米城(福岡県久留米市)、角牟礼城(大分県玖珠町)、「日本100名城」の大分府内城(大分県大分市)が点在するほか、歴史的な町並みが残る筑後吉井(福岡県うきは市)や日田(大分県日田市)など、歴史や城ファンにはたまらない路線です。さらにうれしいことに、「おんせん県」と呼ばれる大分県の中でも、「豊後三大温泉」として知られる湯布院温泉や天ヶ瀬温泉も沿線にあるので、温泉もたっぷり楽しめます。

スタートは久留米駅?それとも大分駅?

久留米駅前広場、モニュメント
久留米駅前広場のタイヤのモニュメントは直径約4m・重さ約5t

JR久大本線を使う城旅の起点となるのは久留米駅または大分駅です。今回は、博多駅から在来線で約30~45分の久留米駅を出発して、旅の後半に天ヶ瀬温泉や湯布院温泉に浸かって疲れを癒す、ゆったり癒しのプランをご紹介。途中、食事処やみどころの多い日田駅、現地でのアクセスに時間を要する豊後森駅では、少し余裕をもって滞在するのがおすすめです。

参考までに、久留米駅発と大分駅発で、1日でまわる場合のスケジュール案をご紹介します。皆さまの予定に合わせて、前泊や、途中駅の日田や天ヶ瀬、湯布院で宿泊するなどアレンジしてみてください。大分駅に早く着きたい方は、途中で特急「ゆふいんの森」を利用する方法も。

【久留米発のスケジュール案】
8:23発  久留米駅  ★久留米城  
8:46着 筑後吉井駅  ★吉井の町並み
9:44発
10:17着 日田駅  ★天領日田・月隈城・日隈城 
14:17発
14:49着 豊後森駅  ★角牟礼城・豊後森の町並み
17:35発
19:30着 大分駅 ★府内城

※豊後森駅16:18発の特急「ゆふいんの森5号」に乗り、由布院駅で普通列車に乗り換えると、大分駅に17:45に到着。

【大分駅発のスケジュール案】
6:13発 大分駅  ★府内城 
8:07着 豊後森駅  ★角牟礼城
12:39発
※ここでは、豊後森 12:39 発の「特急ゆふいんの森」を利用。「10:00 豊後森駅発・13:30 日田駅着」の普通列車もあるが、豊後森での城攻めを考えると少し時間的に厳しい。または、豊後森駅から角牟礼城までタクシーを利用すれば、10:00発の豊後森駅の普通列車に乗ることも可能。
13:04着 日田駅 ★天領日田・月隈城・日隈城
15:28発 
15:59着 筑後吉井駅  ★吉井の町並み
17:17発
17:55着 久留米駅 ★久留米城
 
※大分駅発で豊後森駅に到着する列車は、大分駅6:13発の次は8:21発になるため、1日で移動しようとすると厳しい。

注:電車の時間は、全て2018年7月現在のもの。変更の可能性などありますので、ご利用の際は事前に確認してください。

久留米駅 久留米城(続日本 100 名城)とブリヂストン

久留米城本丸、高石垣
江戸時代の威容を伝える久留米城本丸の高石垣

今回の旅のスタートは久留米。久留米といえば世界屈指のタイヤメーカー・ブリヂストン創始者・石橋正二郎さんの出身地で、駅前には大きなタイヤのモニュメントがあります。久留米駅から久留米城跡までは、約1.5km。ケヤキ並木のブリヂストン通りを通って、まずは久留米城を目指します。

久留米城は、天正15年(1587)、豊臣秀吉による九州平定後に毛利秀包(もうりひでかね)が入封し修築。その後、田中氏の時代を経て有馬豊氏(ありまとようじ)が城主となり、約70年かけて完成。本丸中心部には歴代藩主を祀る篠山神社が立ち、本丸の石垣と堀は往時の姿を残しています。

筑後川、久留米城、水堀
悠然と流れる筑後川。久留米城の水堀の役割を果たす

筑後吉井駅 久留米城と天領日田を結ぶ白壁の宿場町

筑後吉井、白壁、町並み
「白壁の町並み」が残る筑後吉井

久留米城を見学したら、久留米駅に戻って、いよいよJR久大本線の旅がスタート。電車に揺られて約40分、筑後吉井駅で下車。筑後吉井駅から約800m歩くと筑後街道に出ます(現在の国道210号線)。この筑後街道こそ、スタート地点の久留米と、これから向かう日田天領を結ぶ街道。そして、筑後街道の宿場町として大いににぎわったのが筑後吉井です。江戸時代中期以降には精蝋、酒造、菜種の製油など農産物の加工品を製造し、有力商人により繁栄しました。

現在でも、漆喰塗の重厚な土蔵造りの商家跡が続く町並みがほぼ当時の姿のまま残されており、重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。「白壁の宿場町」として知られ、歴史散策にはもってこいですよ。

吉井町観光案内所、旧酒蔵
旧酒蔵を改修した吉井町観光案内所

日田駅~光岡駅 城下町を感じさせる花月川に架かる橋は7/14 に復旧

日田、町並み、花月川
日田の町並みに沿って流れる花月川

鉄道旅の舞台は福岡県から大分県へ。筑後吉井駅から再び久大本線に乗車。途中、緑深い山間にある夜明駅は、何とも郷愁を誘う駅名ですが、ここから大分県です。夜明駅の次、光岡(てるおか)駅を発つと次は日田駅。

日田駅の手前で花月川を渡りますが、この橋は今年7月14日に復旧したところ。2017年に起きた水害によって橋が流されてしまい、約1年ぶりに久大本線が復旧したのです。復旧初日は、大分県内で大きなニュースとして取り上げられ、復旧を待ち望んでいたたくさんの人々が集まりました。

花月川、久大本線、復旧
2018年7月14日の様子。久大本線が約1年ぶりに復旧し、待ち望んでいたたくさんの人々で賑わった

【旅メモ】続日本100名城を巡りたい方は

続日本100名城の中津城
続日本100名城の中津城

実は久大本線が復旧したことにより、博多を起点に2泊3日で「続日本100名城」をめぐる旅も可能です!
どのようなプランかというと、以前城びとでご紹介した【車使わず9日で九州平定!?「続日本100名城」攻略モデルプラン!(前編)】の旅程と組み合わせて、例えば、博多を起点にし、1日目に水城基肄城を経て久留米城を訪ね、2日目に久大本線を利用して沿線の角牟礼城を攻略して大分へ向かい、3日目には中津城小倉城を経て博多へ戻ることができます。時間によっては大分駅から続日本100名城の臼杵城佐伯城を組み合わせてもいいですね。


執筆・写真/藪内成基(やぶうちしげき)
奈良県出身。30代の城愛好家。国内旅行業務取扱管理者。出版社にて旅行雑誌『ノジュール』などを編集。退職し九州の城下町に移住。観光PRやガイドの傍ら、「城と暮らし」をテーマに執筆・撮影。『地域人』(大正大学出版会)など。海外含め訪問城は500以上。知識ゼロで楽しめる城の情報発信を目指す。

※歴史的事実や城郭情報などは、各市町村など、自治体や城郭が発信している情報(パンフレット、自治体のWEBサイト等)を参考にしています

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