【2023年版】夢の「城泊」!全国「泊まれるお城」大調査!

近世城郭観光の魅力といえば、なんと言っても美しい天守や櫓。巨大な建物は眺めるだけでもワクワクしますし、最上階から眺めはそれまでの疲れを吹き飛ばしてくれます。そんな、天守や櫓などの歴史的建造物や、それらが建つお城の敷地内に泊まれる新しいサービス「城泊」が近年広がっています。どんなお城でどんな体験ができるのか? 城泊ができるお城とその魅力を紹介します!※2021年7月2日初掲載

お城に「泊まれる」!? 話題のキャッスルステイ

戦国時代や江戸時代、全国の城には戦国武将や大名が住んでいましたが、現在はその多くが観光地となっていて、私たちは見ることはできても泊まることはできません。

しかし!そんなお城で新たにスタートしているのが「キャッスルステイ(城泊)」。お城の建物や敷地内に宿泊できる……、つまり擬似的にではありますが、かつてそこで生活していた武将や家臣の気分を体験することができるというわけです。なんだかワクワクしますよね。

今、各地に続々と、「泊まれるお城」が登場しています。今回は、お城ファン必見の「泊まれるお城」についてクローズアップします!

大洲城(愛媛県)]天守を貸し切りで、最高のひとときを味わえる

まずご紹介するのは、2004年に復元された大洲城(愛媛県)。江戸時代の模型をもとに、内部まで木造で忠実に復元された「奇跡の城」です! この四重四階の天守と、重要文化財の櫓を貸し切りにして宿泊できるのが、2020年7月からスタートした「大洲城キャッスルステイ」です。

「大洲城キャッスルステイ」では、まるでお殿様になったかのような夢のような時間が用意されています。それでは一緒に宿泊を追体験してみましょう!

特別な時間のはじまりは入城から。1617年の城主・加藤貞泰の入城シーンを目の前で再現してくれるのです。そして宿泊者は貞泰から1日城主として城を託されます。幟隊の歓迎や、鉄砲隊の祝砲を受ければ、もう気分は江戸時代のお殿様です。

大洲城、加藤貞泰
約30人のスタッフが加藤貞泰の入城シーンを演じ、宿泊客をお出迎え

夕食は、加藤貞泰が食した料理を一流シェフが再現します。夕食後は、武将たちが月を眺めていたという「高欄櫓」で地酒を飲むことも。戦国時代に思いを馳せながら、美味しいお食事とお酒を堪能できるなんて、贅沢ですね。

心もお腹も満たされたら、完全復元された奇跡の天守で、一夜を過ごしましょう。そして朝食は重要文化財の「臥龍山荘」でいただき、キャッスルステイは締めくくられます。

大洲城、キャッスルステイ
ヒノキの香りが漂う、完全復元された天守で一夜を過ごす

「大洲城キャッスルステイ」は、1泊2名で110万円からという超高額! 庶民の私たちには、なかなか手が届かなそう…。ですが、実際に泊まった方は「まさにプライスレス」で貴重な体験だと大満足だそう! 人生で一度ぐらいは、この「奇跡の城」で殿様気分を味わってみたいものですね。

[料金]
1泊2日 2名利用〜(朝食1回 夕食1回) 1人550,000円〜(税込)
3名〜は1人あたりプラス110,000円の追加料金がかかります。
※完全復元木造天守につき、8月と12月~2月を除く季節限定での受付
※1日1組、年間30組限定
※具体的な宿泊日は要相談
[アクセス]
〒795-0012 愛媛県大洲市大洲903
電車:JR「伊予大洲駅」から徒歩約25分
車:松山自動車道(大洲道路)、大洲南ICから約5分
[予約方法]
HPのお問い合わせフォーム https://castlestay.ozucastle.com/

島原城(長崎県)]日本初の車中泊で泊まれるお城

天守に泊まるのではなく、天守を眺めながら泊まれるお城もあります。長崎県の島原城では、日本初、車中泊でお城に泊まれる「島原城の城キャン」を実施しています!

島原城は全国でも珍しく、本丸内に駐車場があるお城。その一角で乗用車や、キャンピングカー、キャンピングトレーラーに宿泊することができるのです。キャンピングカー、キャンピングトレーラーは貸し出しサービスもあるので、「キャンピングカーは持っていないけど、ゆったり城キャンを楽しみたい!」という人も安心です。

島原城、車中泊
天守のすぐ横の駐車場で車中泊ができる(写真はキャンピングカー)

駐車場の場所は本丸の北東側。五重五階の復元天守を大迫力で望める位置にあります。特にライトアップされた夜の島原城は格別! これからの季節なら、天守の隣で涼みながらお城談義に花を咲かせるのも乙ですね。

土日・祝日には、普段は入る事のできない夜の天守閣を懐中電灯で歩くという、少しドキドキの「島原城夜の陣」も開催中なので、併せて体験してみるのもいいですね!
※「島原城夜の陣」第7弾は2022年4月2日~2023年3月18日開催(土日・祝日限定。謎解きお城脱出ゲーム「キャッスルモンスター」開催日は除く)

島原城、車中泊、天守
キャンピングトレーラーから眺める、夜の島原城大天守

「お城の敷地で泊まれるのは新鮮!」「子供たちが大変喜んでくれました。」など大好評の「島原城の城キャン」。お値段もお手頃なので、島原を訪れた際はぜひ体験してみてはどうでしょうか。

[料金]
・「RVパークsmart」(100V電源あり車中泊スペース) 4,000円(税込)
・「Carstay」(100V電源なし車中泊スペース) 3,000円(税込)
・「島原城トレーラーお泊り体験」1室8,800円(定員2名/税込) 
・「島原城キャンピングカーお泊り体験」1室11,000円(定員2名/税込)
[日時]
15:00~翌日12:00
※宿泊は毎日利用可能で、前日までの事前予約が必要
[アクセス]
〒855-0036 長崎県島原市城内1丁目1183-1
電車:島原鉄道「島原駅」から徒歩約10分
車:長崎自動車道、諫早ICから約70分
[予約方法]
HPにある各プランの予約専用サイト https://shimabarajou.com/島原城の城キャンはじまる!!-2/

※島原城内は火気厳禁のため、焚火やバーベキューなどの火の使用は禁止。
※常設のキャンピングカー、トレーラーを借りる場合は要寝具持込。

白石城(宮城県)]白石城を眺めながら、ゆったりキャンプ

伊達政宗の右腕、片倉景綱の城として知られる宮城県の白石城。ここでは、2021年5月に1泊2日限定で、宿泊キャンプができるイベント「城キャン」が開催されました!

場所は本丸で、お城のすぐ真横。そびえ立つ天守を眺めて、東北の歴史に浸りながらキャンプができるなんてテンションが上がりますね。夜はお城と星のコラボレーション。片倉景綱もこの景色を見てウットリしたに違いありません。

白石城、キャンプ
宿泊客は20組限定でキャンプ道具を持参して参加

キャンプでは、小枝を針金でまとめたトーチ作りができたり、夜の天守閣に入場できたりと、「城キャン」限定の体験も盛り沢山だったそう。また、夜間は天守閣がライトアップされ、「なんだか武士がでてきそう」との感想も。たしかに、真夜中の天守閣は緊張感があって、歴史のワンシーンに迷い込んだかのような心地がしそうです。

1泊2日の限定でしたが、大盛況に終わった「城キャン」イベント。その後、2021年10月と2022年5月にも開催され、今後の開催も期待できそう! 開催情報をこまめにチェックしてみてください。

[日時]
2022年5月21日〜5月22日 ※終了しました
[アクセス]
〒989-0251 宮城県白石市益岡町1−16
電車:JR「白石駅」から徒歩約10分
車:東北自動車道、白石ICから約10分

「城泊ブーム」到来なるか!?

今回紹介した以外にも、お城を宿泊施設として利用する動きは全国に拡大中! 2020年に「城・社寺を見る文化財から『使う文化財』へ!」というコンセプトの元、国が城泊の活動支援地域を公募したところ、全国から7城が手を挙げ、観光庁の専門家調査や初動支援を受けました。さらに2021年5月には、城泊・寺泊などに上限800万円の支援を公募。こうした後押しを受け、お城側の城泊への関心も意欲も高くなっているのです。

結婚式が挙げられる天守でも知られる岸和田城(大阪府)では、さらなる活用を目指して、お城の周辺での宿泊体験を検討中! また、戦国時代に大友宗麟によって築城された臼杵城(大分県)では、お城周辺の武家屋敷を活用して、まるでタイムスリップしたかのような雰囲気の中で、豊かな自然や食などを満喫する特別な体験ができる宿泊サービスを検討中なのだとか。実現するのが楽しみですね!

他にも福山城(広島県)、津山城(岡山県)、丸亀城(香川県)、中津城(大分県)が国の支援対象に選ばれ、城泊の事業化を検討中。このうち福山城は2022年に城泊の実証実験を行い、早い段階での開業を目指しています。

平戸城、懐柔櫓、キャッスルステイ
宿泊施設として改装された平戸城懐柔櫓

そして、最近話題になったのは、2021年4月にスタートした平戸城(長崎県)の「平戸城 CASTLESTAY 懐柔櫓」です! 1泊60万円からという高額ですが、平戸城の懐柔櫓に泊まって、「ファーストクラスのおもてなし」が体験できるのだとか。ぜひ泊まってみたい…!

[情報・写真提供]
大洲城=大洲市観光まちづくり戦略会議
島原城=株式会社島原観光ビューロー
白石城=白石城管理事務所
平戸城=平戸市
岸和田城=岸和田市
臼杵城=臼杵市

執筆・写真/かみゆ歴史編集部
「歴史はエンタテインメント!」をモットーに、ポップな媒体から専門書まで編集制作を手がける歴史コンテンツメーカー。手がける主なジャンルは日本史、世界史、美術史、宗教・神話、観光ガイドなど歴史全般。近刊の『あやしい天守閣ベスト100城+α』(イカロス出版)は、全国にある天守を完全網羅。復興天守・模擬天守を中心に、現存天守から天守閣風建物まで全184の天守閣を掲載している。

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