<出張!お城EXPO>情報 「出張!お城EXPO in 滋賀・びわ湖2024」会場から1時間圏内のお城やコラボツアー特集

10月20日(日)に滋賀県米原市で開催される「出張!お城EXPO in 滋賀・びわ湖2024」。お城EXPOと合わせて会場周辺のお城も訪れたいですよね。最寄り駅のJR米原駅から約1時間以内でアクセスでき、城下町散策も楽しめるお城をご紹介します。お城EXPOに合わせて10月19日(土)に開催される城郭探訪ツアーに参加するのもおすすめです!

いま話題の大津を代表する城下町「膳所(ぜぜ)」

滋賀県の県庁所在地がある大津市には、歴史ドラマで話題の紫式部ゆかりの石山寺があります。石山寺駅までは、びわ湖浜大津駅(かつて大津城があった場所)から京阪石山坂本線に乗って約16分。途中の膳所本町駅で降りると、江戸時代に築かれた膳所(ぜぜ)城(膳所城跡公園)まで徒歩10分ほど。米原駅からはJR東海道本線で石山駅下車、京阪石山坂本線に乗り換えて、膳所本町駅まで約1時間です。

膳城
膳所城跡公園の入口に復元された城門(本来とは異なる位置にある)

膳所城は関ヶ原の戦いの翌年、慶長6年(1601)に徳川家康の命令によって築かれました。もともとは琵琶湖に面して本丸が広がる水城でしたが、明治3年(1870)に廃城。城門の一部が現存し、付近に移築されて残っています。

膳所城
かつての膳所城本丸跡(膳所城跡公園)には、天守がそびえていた

また、膳所城の城下町にのびる東海道をたどれば、北には膳所城北総門跡、南には膳所城勢多口総門跡の石碑が立ち、往時の町割りが浮かび上がってくるでしょう。膳所本町駅の近くにある膳所高校など、膳所城周辺は今年の本屋大賞受賞作『成瀬は天下を取りに行く』の舞台としても盛り上がっています。

膳所城
東海道沿いに立つ膳所城北総門跡の石碑。城下町の北側の入口を示す


豊臣秀次とヴォーリズゆかりの城下町「近江八幡」

お城EXPOin滋賀
西ノ丸から見える琵琶湖は、もともと八幡山城に面していた

お城から琵琶湖を見たいなら、続日本100名城の八幡山城へ。米原駅からJR東海道本線で約20分の近江八幡駅で下車し、バスに約10分乗車すると歴史的町並みに到着します。

八幡山城は豊臣秀吉の甥・秀次の居城として、天正13年(1585)に築かれました。標高約272m(比高約180m)の八幡山城に登れば、秀次が見ていたであろう視点で琵琶湖が見渡せます。平成29年(2017)から始まった「石垣見える化プロジェクト」によって整備された、出丸の石垣もお見逃しなく。

お城EXPOin滋賀
城下からも石垣がよく見えるように整備された八幡山城の出丸

八幡山城が築かれた頃、城下町も短期間で完成しました。東西約5㎞にわたって巡らされた掘割「八幡堀」は、八幡山城の防御だけでなく、琵琶湖と結ぶ運河として利用されました。八幡堀を使った船運によって全国各地と交易を行えるようになり、近江八幡の経済的発展を支えたのです。

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八幡堀に沿って白壁の土蔵群が並び、風情のある景観が広がる

歴史的建造物が並ぶ城下町では、建築家・ヴォーリズが手がけた建築群が近年注目されています。ヴォーリズは明治38年(1905)に、近江商人の士官学校と言われた滋賀県県立商業学校(現・滋賀県立八幡商業高等学校)の教師として来日し、その後はずっと近江八幡に住み続けました。ヴォーリズが八幡山城に登っていたという記録も残っています。

珍しい足軽組屋敷が残る城下町「彦根」

八幡山城から北東に約25㎞、滋賀県彦根市には日本100名城の彦根城があり、秋の紅葉シーズンには天守や石垣、庭園などが紅葉で彩られます。JR米原駅からJR彦根駅までは約5分、JR彦根駅から歩いて約30分で彦根城の天守に着きます。

お城EXPOin滋賀
二の丸から見た彦根城の天守。見る角度によって印象が変わるのも特徴

彦根城は天守を中心として、3重の堀によって4区画に分けられていました。内堀の内側は「第一郭」と呼ばれます。天守を中心として櫓に囲まれた丘陵部分と、藩庁の表御殿(現在の彦根城博物館)から構成され、彦根城の中心部と言えます。内堀と中堀に囲まれた「第二郭」には、藩主の下屋敷だった槻(けやき)御殿(現在の玄宮園・楽々園)や重臣の邸宅が並びました。ここまで訪れた方は多いのではないでしょうか。

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現在も狭い通路が残り、往時の町割りを今に伝える足軽組屋敷

中堀と外堀の間は「第三郭」と呼ばれ、武家屋敷と町屋があった「内町(うちまち)」です。そして、外堀の外に広がる「第四郭」は、「外町(とまち)」と呼ばれ、商工人の住居と足軽の組屋敷がありました。第四郭は城下町のなかで最も外側に造られ、城下町と彦根城の防衛を担った足軽組屋敷の一部が残っています。彦根城下町のスケールも感じられますので、ぜひ足を延ばしてみてください。

山城だけじゃない!バリエーション豊富な米原の城

彦根城からは、石田三成の居城として有名な佐和山城がよく見えます。そして、佐和山城の向こう(北東側)は、「出張!お城EXPO in 滋賀・びわ湖2024」の会場がある滋賀県米原市です。

お城EXPOin滋賀
彦根城から見た佐和山城(中央の山)。かつて佐和山城の西山麓は松原内湖に面していた

滋賀県の北東部に位置する米原市は、近畿地方の北東端にも当たり、古くから東からの文化が入ってくる玄関口でした。古代には東山道など畿内と東海・北陸を結ぶ街道が通り、江戸時代には中山道、北国街道、北国脇往還が通り、6カ所の宿場町が置かれる交通の要衝でした。
米原市のお城では佐和山城のほか、続日本100名城の鎌刃城に代表される山城がよく知られます。実際には山城だけではなく、琵琶湖と街道を抑える城や、守護大名・京極氏の城館(京極氏館)など、さまざまなタイプの城が築かれました。

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武家の儀式や宴が行われていた庭園の遺構(京極氏館跡庭園)

例えば京極氏館は、庭園跡が残るなど守護所の構造がよくわかります。美濃国(岐阜県南部)との国境に近い伊吹山山麓に構えられ、背後の尾根上に上平寺城を詰城として築き、館の南側には、家臣や町人が住む守護町が整備されました。

京極氏館跡の北東部には、2つの池の周りに多数の庭石を配した庭園の遺構があります。背後の山や渓谷を借景に取り込んだ池泉観賞式庭園で、滝組石や水分石などの景石も配されていますので、ぜひ見つけてみてください。

バリエーション豊かな米原市の城を、「出張!お城EXPO in 滋賀・びわ湖2024」のプログラムで知識を深め、ぜひ攻城してみてください。

▼もっと滋賀県のお城が知りたい方は、出張!お城EXPO in滋賀・びわ湖 公式サイトをチェック

【プレイベント】10月19日(土)、城郭探訪バスツアー開催!

お城EXPOin滋賀

「出張!お城EXPO in 滋賀・びわ湖 2024」にあわせて、城郭探訪バスツアーが開催されます。北近江の城郭や戦国時代の魅力を体感できる2コースを設定。どちらかお好きなほうにぜひご参加ください!

【ツアーコース内容(選択)】

①長比城跡と周辺文化財の探訪バスツアー
織田氏VS浅井氏の最前線の城「長比城跡」や、織田信長・豊臣秀吉・小早川秀秋ら戦国武将ゆかりの成菩提院などをめぐるバスツアーです。

お城EXPOin滋賀
(左)柏原宿歴史館、(右)青岸寺庭園 (画像提供:滋賀県)

日 時:10月19日(土)9:30米原駅東口ロータリー集合、15:30青岸寺解散(米原駅へは徒歩3分程度)
行き先:長比城跡、柏原宿、成菩提院、青岸寺。※標高差のあるコース。体力・脚力に自信のある方向け。
参加費:無料(但し、拝観料・昼食代は各自持参)
定員(抽選):20名

②小谷城跡と周辺文化財の探訪バスツアー
太田浩司氏(淡海歴史文化研究所長)の解説により、浅井氏ゆかりの姉川古戦場跡や小谷城跡と賤ケ岳合戦ゆかりの草野鍛冶を見学するバスツアーです。
お城EXPOin滋賀
(左)姉川古戦場跡、(中央)萬右鍛冶小屋、(右)小谷城黒金門跡 (画像提供:滋賀県・萬右鍛冶小屋)

日 時:10月19日(土)9:30米原駅東口ロータリー集合、17:00米原駅東口ロータリー解散
行き先:姉川古戦場跡、萬右鍛冶小屋、小谷城戦国歴史資料館、小谷城跡、道の駅 浅井三姉妹
参加費:無料(但し、拝観料・昼食代は各自持参)
定員(抽選):40名

①②ともに
◆申込期間:2024年9月9日(月)~2024年9月29日(日)
◆申込方法:専用の応募フォーム(https://www.e-radio.co.jp/shiro/)から申込み
※1度の申込みで最大4名まで申込み可能。
※※未成人(18歳以下)は、保護者の同行必須。
※当選者には当選通知を10月6日(日)までに郵送。

藪内成基,城びと
執筆・写真/藪内成基(やぶうちしげき)
国内・海外で1000超の城を訪ね、「城」をテーマに執筆・ガイド。著書『講談社ポケット百科シリーズ 日本の城200』(講談社、2021年)。『小学館版 学習まんが日本の歴史 6~8巻』(小学館、2022年)、『地図で旅する! 日本の名城』(JTBパブリッシング、2020年)などで執筆。日本お城サロン(まいまい京都主催)のコーディネーターを務めた。

※歴史的事実や城郭情報などは、各市町村など、自治体や城郭が発信している情報(パンフレット、自治体のWEBサイト等)を参考にしています。