2017/12/26
2018年オススメの城【後編】イベント目白押し! サミット開催や維新150周年関連の城
2018年にぜひ訪れて欲しい城を厳選してご紹介。後編では、全国城サミット・全国山城サミットと、明治維新や戊辰戦争から150周年を記念するイベントをお伝えします。
「第5回全国城サミットin松山」のパンフレット
今年も開催!全国城サミット&全国山城サミット
2018年1月27日・28日に愛媛県松山市で開催される「全国城サミット」。2013年に会津若松市で始まった本イベントは今年で5回目を数えます。松山城は、現存12天守のひとつであり、天守・小天守・隅櫓を結んだ連立式天守が見どころ。年間登城者数も毎年ベスト5には入る人気の城です。
27日には松山市民会館中ホールでシンポジウムが開かれ、松山城の整備委員会会員・三浦正幸氏が登壇。「魅力が溢れる松山城天守 ~岐阜城・安土城に始まる天守の壮大な歴史~」の講演や、お城と城下町の魅力に迫るパネルディスカッションが行われます。※先着500名、定員に達し次第終了。
翌28日は会場を松山城へと移し、様々な趣向を凝らしたプログラムが開催。とくに松山城の石落としを使って行う射的ゲーム「松山城を守れ!曲者撃退ゲーム」は注目。兵士になって忍者を狙うゲームを楽しみながら、松山城の櫓や城門に配された石落としの役割を学べます。丸亀城鉄砲隊による火縄銃を使ったパフォーマンスを楽しむことができます。山城らしい複雑で堅固な構造が魅力の松山城で、戦国の雰囲気を存分に感じたいところ。
松山城は、ロープウェイが整備されているため、アクセスはとてもしやすい
2017年11月に唐沢山城で開催された「第24回全国山城サミット」には、2日間で約1万人が参加し、大盛況に終わりました。すっかり城ファンには定着したイベントになった山城サミットの2018年開催地は、島根県安来市にある月山富田城。9月22〜24日までの3日間。著名な先生による月山富田城の現地見学会や、安来市内の名所巡りなどを予定しています。
また、月山富田城は戦国大名・尼子氏の居城で、毛利元就の侵攻を何度も防いだ鉄壁の防備を誇ります。5年に1度開かれている「第7回戦国尼子フェスティバル」も同時開催されます。尼子氏の子孫やゆかりのある方々が全国から集結し、尼子一族の法要が行われる予定。他にも手作りの甲冑を身に纏った武者行列も企画されており、町全体が戦国ムード一色に染まる楽しみなイベントです。
▼「第24回全国山城サミット」「第7回戦国尼子フェスティバル」の詳細はコチラの記事をチェック!
「第25回山城サミット」の開催が決まった月山富田城。2015年に山頂部分が伐採・整備され、遺構がわかりやすくなった(安来市教育委員会提供)
2017年の山城サミット開催地である唐沢山城に設置された、「山城サミット安来大会」と「戦国尼子フェスティバル」の幟。
2018年は維新&戊辰戦争150年。会津若松城や大阪城で特別展が開催
江戸幕府が崩壊し、明治時代の幕が空けた1868年から150年。2018年には維新や戊辰戦争関連の城跡でもイベントが予定されています。
伊達政宗や上杉景勝、蒲生氏郷ら名将とゆかりの深い会津若松城。この城は幕末の戊辰戦争で、新政府軍と1ヶ月にわたって激しい籠城戦が行われたことで知られます。この会津若松城では、1年間を通して会津若松氏戊辰150周年記念事業が開催されます。1月に行われる「キックオフ歴史シンポジウム」を皮切りに、会津若松城のプロジェクトマッピングや白虎隊の史実を描いた「オペラ白虎」などのプログラムが会津若松市内各地で開かれます。
なかでも注目したいのが、9月から11月にかけて会津若松城天守閣で開催予定の特別企画展です。戊辰戦争中の「1868年の会津藩」をテーマに、京都守護職時代を含めた会津藩に関わる歴史的史料の展示が計画されています。新政府軍に降伏し屈辱を味わったのち、街と城を復興させた会津の歴史に思いを馳せてみましょう。
戊辰戦争の舞台となった会津若松城。会津戦争の際には、白虎隊の悲劇などが発生した
大阪のシンボルである大阪城(大阪府大阪市)は、大政奉還後に徳川最後の将軍・徳川慶喜が拠点とした名城。鳥羽・伏見の敗戦後、慶喜は大阪城を脱出し江戸城に逃げ帰ったエピソードも知られています。
その大阪城では、重要文化財に指定されている千貫櫓・多門櫓・焔硝蔵の内部が3月3日から11月25日までの土日祝日限定で特別に公開予定。普段は見られない建物の内部に入り、櫓にある槍落としなど防御施設を堪能することができます。中でも注目したいのが、千貫櫓で行われている火縄銃体験。実際に火縄銃を構えることができ、目標を狙う銃眼を通して見る大手口は、さながら兵士になったような気分を味わうことができるでしょう。
今回、特別公開されている3つの建造物は、鳥羽・伏見の戦い後に大阪城が焼失した際に、大火をくぐり抜け、明治維新という歴史的瞬間を見届けた貴重な建造物です。ぜひこの機会に、見てみましょう。
豊臣秀吉が築いた大阪城。1931年に天守が再興され、今の姿になった
大阪城の千貫櫓内にある火縄銃用の狭間。火縄銃体験を通して、城に施された防御のための工夫を学べる
戊辰戦争の際、奥羽越列藩同盟として新政府軍と戦い落城した二本松城(福島県二本松市)。12〜17歳の少年で構成された二本松少年隊の悲話も残されています。この二本松城の近くにある二本松市歴史資料館では、戊申戦争時の二本松藩の特別展が開催予定。他にも戊辰戦争の際に、ほぼ焼失した長岡城がある新潟県長岡市では、長岡藩立藩400周年の記念セレモニーが行われます。
二本松城にある再建された箕輪門。二本松藩の藩庁として用いられたが、戊辰戦争での攻城戦で多くの建物が焼失した
二本松城にある二本松少年隊群像。出陣した少年たちの多くが命を落とした
2018年のサミットや維新150周年事業を紹介してきましたが、これ以外にも全国の名城でさまざまなイベントが予定されています。ぜひ、イベントをきっかけに、お城を訪れてみましょう。
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執筆・写真/かみゆ歴史編集部(板谷亮輔)
書籍や雑誌、ウェブ媒体の編集・執筆・制作を行う歴史コンテンツメーカー。日本史、世界史、美術史、宗教・神話、観光ガイドなどを中心に、ポップな媒体から専門書まで編集制作を手がける。城関連の最近の編集制作物に、『よくわかる日本の城 日本城郭検定公式参考書』『完全詳解 山城ガイド』(ともに学研プラス)、『日本の山城100名城』『超入門「山城」の見方・歩き方』(ともに洋泉社)、『カラー図解 城の攻め方・つくり方』(宝島社)、『戦国最強の城』(プレジデント社)、「廃城をゆく」シリーズ(イカロス出版)など。