お城ライブラリー 自宅でもお城めぐり気分!籠城(ステイホーム)中に楽しめるおすすめ本

コロナ禍の影響でなかなか気軽に外出できない“籠城”期間が続き、「お城へ行きたい!」気持ちは高まるばかり…。そんな皆さんに、「お城に行った気になれる」お城のガイド本から、「お城が登場する物語を楽しめる」小説まで、城びと編集部と城びとアンバサダーがピックアップ! ぜひご自身の興味に合った一冊を見つけてください。 


お城ガイドから小説・漫画まで、城びと編集部&アンバサダーのおすすめをご紹介!

籠城期間が続き、皆さん「お城へ行きたい!」熱が高まっていると思われます。そこで、城びと編集部とアンバサダーが、お城のガイドや小説、漫画など、お城・歴史に関する本でお気に入りをピックアップしてご紹介! 

ガイド本でキレイな写真を眺めながら、お城へ行きたい欲求を満たしたり旅の計画を立てるもよし。初心者でも分かりやすい解説書を熟読し、いつか実際に行ける日が来た時のために“予習”するもよし。おうち時間がたっぷりある今だからこそできる、お城の楽しみ方を体験してみてください。

■『ヘンテコ城めぐり』 長谷川ヨシテル(れきしクン)(柏書房)

ヘンテコお城めぐり,城びと
ヘンテコ城めぐり』 長谷川ヨシテル(れきしクン)(柏書房)

(概要)
「れきしクン」としてテレビでもおなじみの著者が、「桃太郎の鬼が住んでいた」「城内をジェットコースターが疾走!」といった、日本各地のお城の珍エピソードや現存12天守の意外な話までを語りつくす城LOVEに満ち満ちたユニークなお城ガイド。
 
(おすすめ)
超有名なお城からマニアックなお城まで、ちょっと人に話したくなるような各お城のエピソードがこれでもかと詰め込まれた1冊。たとえば、鳥羽城(三重県)は「魚ファースト」というか「ボラファースト」なお城として紹介されますが、それはどうしてなのか? ほかにもスーパーマリオゆかりだったり、ダイナマイトで爆破されたり、忘年会で酔いつぶれたすきをつかれて落城したりと、個性豊かな城にまつわるお話が楽しめます。しかも、人物名や用語には、たとえば仙石忠政は「父は人気漫画『センゴク』の主人公・仙石秀久」、最上八楯は「出羽の有力な勢力ベスト8」なんて、初心者にもわかりやすいかみ砕いた註釈がついている、とっても優しいつくりです。そして、なんとあとがきでは、お城サイトとして「城びと」を紹介していただいている(ありがとうございます!)のです。これは読まずにはいられませんね! (城びと編集部)

■『世界でいちばん素敵なお城の教室』 監修:加藤理文(三才ブックス)

世界でいちばん素敵なお城の教室
世界でいちばん素敵なお城の教室』 監修:加藤理文(三才ブックス)

(概要)
お城についての素朴な疑問に、美しい写真を添えて、Q&A形式でズバッと答えるビジュアル図鑑。現存含めて数万はあったとされる日本のお城の魅力を、歴史・構造・見どころなど、さまざまな視点から紹介します。

(おすすめ)
城びとでおなじみ、加藤理文先生監修の本書では、ビジュアル図鑑というだけあって、表紙から最後のページまで、どこをめくってもとってもきれいなお城の写真に出会えます。持っているだけでうっとり堪能できる本。「守りの要である城にとって、『強さ』は何で決まるのか?」「神社のようにご利益があるお城ってある?」「土塁だと石垣より登りやすいのでは?」「大きな城に大きな庭園があるのはなぜ?」などの疑問に一言でズバリと答えてくれます。とにかく写真がとっても素敵なので、行きたいお城が増えること間違いなしの1冊です!(城びと編集部)

■『墨攻』 酒見 賢一(文春文庫)

墨攻
墨攻』酒見 賢一著(文春文庫)

(あらすじ)
「固く守り抜く」という熟語「墨守」の元となった中国の思想・墨家を題材にした虚実入り混じった歴史小説。舞台は戦国時代の中国。墨家の俊英である革離は、今まさに趙の軍勢2万に蹂躙されそうになっている梁に乞われて梁城の守りに入ります。城主は色ボケ、守りは穴だらけ。果たして革離は城を守り抜けるのか!?
 
(おすすめ)
籠城して徹底抗戦するための策が次々と繰り出されるので、守備の首尾が気になりつい先を読み進めてしまいます。革離が忍城(埼玉県)や備中高松城(岡山県)、鳥取城(鳥取県)にいたらどうやって守っただろう?と想像するのも面白いです。(城びと編集部)


■『ひとり旅日和』『ひとり旅日和 縁結び!』 秋川滝美(KADOKAWA)

ひとり旅日和、ひとり旅日和 縁結び!
左:『ひとり旅日和』秋川 滝美 KADOKAWA
右:『ひとり旅日和 縁結び!』秋川 滝美 KADOKAWA

(あらすじ)
人見知りで要領の悪い日和は、仕事場でも怒られてばかり。ある時、気晴らしに旅へ出ることを勧められ、初めてのひとり旅へ。熱海から始まったひとり旅は、やがて、佐原、仙台、金沢、福岡にまで足を延ばしていくように。旅好きの先輩との交流や素敵な出会い、旅を通して、日和の日常も少しずつ変わっていきます。

(おすすめ)
コロナ禍でなかなか出かけられない時に、旅の気分を楽しめるシリーズです。主人公の日和が訪れるところはお城のある土地が多いので、読んでいると旅の予習になったり、行ったことのあるところは、「そうそうこんなだった…」と思い出したりと、いろいろな面で楽しめる1冊です。ちなみに、主人公はお城に興味はないので、シリーズ1作目はお城のある土地を訪れてもほとんど描写はありません。しかし、シリーズ2作目で久留里城(千葉県)を訪れるなど、とある登場人物に「城好き」と思いこまれる行動をしているので、シリーズ3作目が今後出るのであれば、もっとお城が出てくるようになるかもしれません。(城びと編集部)


■『コンスタンティノープルの陥落』 塩野七生(新潮文庫)

コンスタンティノープルの陥落,城びと
コンスタンティノープルの陥落塩野七生(新潮文庫刊)

(あらすじ)
「1453年、オスマン帝国がビザンチン帝国を滅ぼす」。東ローマ(ビザンチン)帝国の首都として1000年以上栄えたコンスタンティノープル(現在のイスタンブル)でしたが、次第に衰退し、ついに15世紀後半には、メフメト2世率いるオスマン帝国軍を前に最大の危機を迎えます。豊富な資料に基づいた、キリスト教世界とイスラム世界との覇権闘争。
 
(おすすめ)
国境を越えて、籠城戦の本質を知ることができる1冊です。コンスタンティノープルに築かれた三重の城壁を舞台に、攻め手(オスマン帝国軍)と守り手(ビザンツ帝国軍)が知恵を絞り合って戦いを繰り広げる、攻防戦が臨場感たっぷりに描かれています。また、ビザンチン帝国軍は、キリスト教国であるギリシア、ヴェネチア、ジェノヴァを中心とする混成軍であり一枚岩ではありません。一方、オスマン帝国軍もキリスト教国のセルビアなどを組み込んだ複雑な陣容です。崩れゆく城壁とともに、人間同士が繰り広げる生々しい葛藤も見逃せません。コロナ禍で旅が困難な状況ですので、本の中では思い切って、海外の城を旅してみてはいかがでしょうか。(ライター 藪内成基)


■『ミツナリズム』 鈴木コイチ(講談社)

ミツナリズム,城びと
ミツナリズム』 鈴木コイチ(講談社)

(あらすじ)
関ケ原の戦いにおいて西軍の実質的な大将として戦い、敗れることになる石田三成。生真面目で頑固、融通の利かない若き三成が豊臣秀吉のもとで繰り広げる日々を軽妙に描いた漫画。笑いながらもときにヒンヤリするのは、彼の行く末が見えているから。笑いをまぶして、三成の生きざまや思想=ミツナリズムが著されています。
 
(おすすめ)
同僚にいたら、ちょっとうっとうしいけれど、とても頼りになるだろうなあ、と感じさせる魅力的な三成。どんどん三成が好きになること請け合い! 大谷刑部との友情もいい! 思わず笑ってしまうシーンが多いけれど、結末を知っているだけに、この笑いの日々の描写が切なくもなります。(城びと編集部)
 

■『隠れた名城 日本の山城を歩く』 監修:小和田哲男  編集:かみゆ歴史編集部(山川出版)

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隠れた名城 日本の山城を歩く 監修:小和田哲男  編集:かみゆ歴史編集部(山川出版)

(概要)
「天空の城」で有名な竹田城(兵庫県)や、ワッフルのような障子堀を有する山中城(静岡県)など、全国有数の山城20城を「歩く」目線で紹介する一冊。

(おすすめ)
絶景とともに紹介されることが多い山城。あこがれるけれど、実際行くとなると大変そう…と二の足を踏んでいる方に特にお勧め! 山城基礎講座から始まるので、全く知識のない人でも安心です。「築城の教科書」と称される杉山城(埼玉県)を皮切りに全国20城を紹介。各お城は「ガイド人」として専門家が解説してくれます。代表的なコースや見どころもわかりやすい! (城びと編集部)

お城大好き!城びとアンバサダーおすすめの一冊

■『わくわく城巡り ビギナーも楽しめる〈城旅〉34〉』 萩原さちこ (山と溪谷社)

わくわく城巡り ビギナーも楽しめる〈城旅〉
わくわく城巡り ビギナーも楽しめる〈城旅〉34〉』 萩原さちこ (山と溪谷社)

(概要)
「歴史に興味はあるけど、お城のことはあまり知らない。興味はあるけどお城って面白いの?」というお城巡り初心者の方に読みやすい本です。
まずは「超基礎セミナー」というページでお城に関する基礎中の基礎の知識を学んでお城に興味が湧いたところで、「城旅ビギナー」・「城旅ニスト」に進みます。ここでそれぞれのお城の特徴や見るべきポイントが紹介されており、自然と「実際にお城に行ってみようかな」という気持ちにさせてくれます。
 
(おすすめ)
私は歴史が大好きで、小さい頃から大河ドラマや時代劇を見て育ち、お寺や神社などにはたくさん行っていたものの、お城には一度も行った事がありませんでした。また、お城の本というと難しい歴史や単語の羅列が多いイメージがあった上、そもそも本を読むのが苦手だったこともあり、勝手に敬遠していたところがありました。しかし、この本がきっかけでお城巡りにハマり、お城巡りがライフワークになったのです。私の人生を変えるきっかけになった一冊です。女性目線だからこそ共感できる部分が多いことも、おすすめポイントの一つです。(城びとアンバサダー もちみ)

■『日本のお城 縄張図集』 渡邉敬(山城出版)

日本のお城 縄張図集
日本のお城 縄張図集』 渡邉敬(山城出版) 画像提供:たけ◎曲輪衆(小野雅章)

(概要)
日本全国の425城と韓国倭城7城の縄張図集

(おすすめ)
著者の渡邉敬さん、御年80歳。中世城郭研究会所属のお城マニア。20年間で実際に現地に行き書き溜めた縄張図が430余り。周りの人たちの声もあり、このまま埋もれるのはもったいないと自費出版。渡邉さんのお城集大成です。各お城の縄張図と簡単な解説、QRコードを読み取るとマップ上で詳細な所在地もわかります。見ているだけでも楽しい一冊。ちなみに、渡邉敬さん、日本城郭協会の日本100名城スタンプラリー制覇第1号の方でもあります。(城びとアンバサダー たけ◎曲輪衆(小野雅章))

■『岡山県中世城館跡総合調査報告書』 岡山県教育委員会

岡山県中世城館跡総合調査報告書
岡山県中世城館跡総合調査報告書』  画像提供:岡山県古代吉備文化財センター

(概要)
岡山県内に所在する約1,400ヶ所の中世城館跡について、その実態を把握するために、平成25年度から7年計画で取り組んできた調査成果がまとめられた報告書。備前・備中・美作国の3分冊として、約1100ヶ所の城館の位置図や規模・構造等を表した縄張図とその解説はもとより、関連する文献史料等が掲載されています。

(おすすめ)
岡山県内のお城マニアはもとより、県外のお城マニアさんも待ち侘びた備前国、備中国、美作国、3分冊の調査報告書です。現在は調査報告書の販売は終了してますが、岡山県古代吉備文化財センター(https://www.pref.okayama.jp/site/kodai/)のホームページ内のデジタル図書室で閲覧が可能になっています。
僕は、お城に訪れる前に縄張図を印刷して現地に出向き、縄張図と照らし合わせて楽しんでいます。報告書にはお城の位置図、縄張図、文献や伝承といった解説はありますが、お城への登城口がどこなのかは記載されていません。自分で下調べして現地に出向き、登城口を探してみる事も楽しみの一つでは無いかと思います。(城びとアンバサダー 岩本尚也)

ご紹介した本は、世にあまたあるお城本のごくごく一部。このほかにもたくさんすてきな本がありますので、籠城期間中にお気に入りの一冊をぜひみつけてください。
城びとには、お城のガイドや解説本はもちろん、小説から写真集まで、お城に関連する書籍を幅広くピックアップした特集記事「お城ライブラリー」もあります。こちらもぜひご覧ください!

執筆:城びと編集部、藪内成基、城びとアンバサダー もちみ、城びとアンバサダー たけ◎曲輪衆(小野雅章) 画像提供:柏書房株式会社、株式会社三才ブックス、株式会社文芸春秋、株式会社 新潮社、株式会社講談社、株式会社山川出版、株式会社 山と溪谷社、城びとアンバサダー たけ◎曲輪衆(小野雅章)、岡山県古代吉備文化財センター

<お城情報WEBサイト 城びと>

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