4月から、加藤理文先生がお城の「なぜ?」「なに?」や、お城ってこんなとこが「すごい!」「おもしろい!」を、小・中学生に向けて楽しく教えてくれる、新連載「理文先生のお城がっこう」がはじまります! 今回は、「お城がっこう」開校にあたって、理文先生からのメッセージをお届けします。
はじめに
ここ数年「城めぐり」をする人が増加傾向(ぞうかけいこう)にあるというニュースをよく耳にします。姫路城(ひめじじょう)、大阪城(おおさかじょう)、金沢城(かなざわじょう)には、年間200万人以上の人が訪(おとず)れています。近年は、「お城ブーム」と言われ、老若男女(ろうにゃくなんにょ)問わず、お城めぐりを楽しんでいるようです。
城と言えば天守(てんしゅ)、昔は天守だけを見ることが城の楽しみと思われていました。しかし、江戸時代(えどじだい)から現在(げんざい)まで残っている天守は、12城でしかありません。その他の多くの天守は、戦後になって鉄筋(てっきん)コンクリートによって再建(さいけん)されたものです。エレベーターで最上階まで登って、四方の景色を眺(なが)め、展示品(てんじひん)を見ながら降(お)りてくるのが見学ツアーの定番でした。
全国一、観光客が訪れる世界遺産(せかいいさん)の姫路城
鉄筋コンクリートで再建された大阪城の天守閣(てんしゅかく)
そのスタイルが大きく変わってきました。女性(じょせい)や若者(わかもの)を中心に、建物の無い城、石垣(いしがき)や土塁(どるい)、空堀(からぼり)だけが残る城跡(しろあと/じょうせき)を訪ねる人が年々増加しているのです。
その契機(けいき)となったのは、「天空の城」として話題となった竹田城(たけだじょう)でしょうか。石垣だけが残るこの城に、年間50万人以上もの観光客が押(お)し寄(よ)せています。この数字は、国宝天守(こくほうてんしゅ)を持つ犬山城(いぬやまじょう)や松江城(まつえじょう)に匹敵(ひってき)する数字です。
石垣だけが残る「天空の城」竹田城
こうした多くの人たちに交じって、小・中学生の姿(すがた)を目にすることが増(ふ)えて来ました。しかし、小・中学生向けにお城をやさしく解(わか)りやすく、そして楽しめるようにした解説書(かいせつしょ)を目にすることはあまりありません。
そこで、「これからのお城を勉強してみよう」とか、「お城ってどうやって見るのが楽しいの?」って疑問に思っている小・中学生の皆(みな)さんに「お城の魅力」を解りやすく解説していきたいと思います。
当然ですが、天守がある近世のお城だけでなく、皆さんの裏山(うらやま)にある小さな城まで楽しめる、それがコンセプトです。直接(ちょくせつ)現地(げんち)を訪れることは、凄(すご)く大切なことです。しかし、その前に、基礎的(きそてき)なお城の歴史や構造(こうぞう)を知ることも忘(わす)れてはいけません。
「実際(じっさい)に行動するために必要なこと」、「お家で座(すわ)って勉強すること」の二本立てで、お城について学んで行きましょう。
全国には、大小併(あわ)せて5万近くのお城が残されています。数日しか使われなかったお城もあれば、数百年に渡(わた)って地域(ちいき)を支配(しはい)するための中心となったお城もあります。
では、今月から一緒(いっしょ)にお城の勉強をスタートしましょう。楽しみにしていてください。
土で造(つく)られた戦国時代の城、岩櫃城(いわびつじょう)の本丸跡(ほんまるあと)
加藤理文
理文先生のお城がっこう授業(じゅぎょう)は毎月2回。「城歩き編(へん)」と「歴史編」に分けて掲載(けいさい)します。
●「城歩き編」(毎月第2金曜日 掲載)
実際にお城に行くために必要なことを学びます。
●「歴史編」(毎月第4金曜日 掲載)
お家でお城の歴史について学びます。
<これからの掲載予定>
●城歩き編
4月 城へ行く前にすることは
5月 服装(ふくそう)選びのポイントは
6月 何を持っていけばいいのかな
7月 山城へ行ってみよう
8月 近世のお城に行ってみよう
●歴史編
4月 城の始まり
5月 豪族居館(ごうぞくきょかん)の登場
6月 天皇の住まい
7月 古代山城の築城(ちくじょう)
8月 藤原京(ふじわらきょう)と都城制(とじょうせい)