2022/08/26
お城ライブラリー お城ライブラリーまとめ【お城が出てくる漫画編】
お城の解説本や小説はもちろん、漫画から映画まで、お城に関連するメディアを幅広くピックアップする「お城ライブラリー」。これまで紹介してきたものの中から、漫画だけをピックアップ! 史実にのっとったお城などの歴史描写に夢中で見入り、戦乱の世に生きた武士たちの生きざまに胸が熱くなる作品の数々、ぜひ気になる一冊を見つけてください。
東村アキコ著『雪花の虎』:上杉謙信は女性だった?
【あらすじ】
時は享禄二年、1529年。越後の春日山城城主・長尾為景の第3子が誕生する。不甲斐ない嫡男・晴景に代わる後継ぎとして期待された赤子は、しかし女児だった。失望する為景だったが、すぐに決意を新たにする。「この子を、姫武将として育てる」「名を虎千代とする」と――。
強い父、やさしい母、穏やかな兄、健気な姉に囲まれ、小さな山城でお転婆に育つ虎千代。その双肩に背負う運命の重さを、未だ知るよしもなく……。(amazonより)
【見どころ】
『海月姫』『東京タラレバ娘』など、女子の本質にズバッと切り込む辛口さで人気を誇る東村アキコの意欲作。実際に仮説が存在する「上杉謙信女性説」から思い立ったという本作は、その裏付けとなるエピソードを紹介しながら“女・謙信”をのびのび魅力的に描き出しています。もちろん、謙信が終生居城とした春日山城(新潟県)も舞台として登場。戦国時代の山城らしい質素な特徴がとらえられていて、謙信をはじめ長尾家の暮らしぶりが鮮やかに見えてきます。
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お城ライブラリー vol.22 東村アキコ著『雪花の虎』
岩明均著『雪の峠』:“築城”をめぐって対立する新旧の忠臣たち
【あらすじ】
慶長7年(1602)。常陸国(茨城県)から出羽国(秋田県)に転封された佐竹家の家中は、当主・義宣に見出された若手と、先代・義重を後ろ盾とする老臣の2派に分裂していた。そんな折、新領地の国府(築城候補地)を決定する合議が開かれ、義宣派の筆頭・渋江内膳は、海上交易の拠点となる土崎湊に近い窪田(秋田市)を候補地として推挙するが、老臣たちから反発される…。
【見どころ】
SF漫画の金字塔『寄生獣』を代表作とする一方、歴史に造詣の深い漫画家としても知られる岩明均が、出羽佐竹氏の新城普請を背景に“新世代と旧世代の衝突”を描いた作品。老臣たちの暴挙を止めようとする内膳の奮闘を軸としつつ、単純に勧善懲悪化せず、戦国武士たちのそれぞれの複雑な心情を描き出しています。また、時代の過渡期における城の役割の変化や、地選の段階から着目した築城プロセスも丁寧に描いていて興味深いです。
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お城ライブラリー vol.24 岩明均著『雪の峠』
ゆうきまさみ『新九郎、奔る!』:戦国初期の大名・北条早雲の青春時代
【あらすじ】
織田信長、豊臣秀吉、徳川家康……かの有名な武将たちが活躍する時代の少し前、戦乱の世のはじまりを生き抜き、切り開いた男がいた―――その名を伊勢新九郎。彼はいかにして戦国大名となったのか。彼はそもそも何者だったのか。(amazonより)
【見どころ】
『究極超人あーる』や『機動警察パトレイバー』を代表作とするゆうきまさみが、興国寺城(静岡県)を旗揚げの城として関東一円を支配した北条早雲(伊勢新九郎)を主人公とする歴史物語に挑戦。英雄でも武芸の達人でもない普通の青年が、壁にぶつかるごとに成長していく姿を硬軟織り交ぜて描いています。新九郎の領地の平地にある居館の背後に築かれた詰城など、城ファンがワクワクする描写ポイントも!
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お城ライブラリー vol.29 ゆうきまさみ『新九郎、奔る!』:大胆だけど臆病者!?まったく新しい[北条早雲]像を描く
岩明均・室井大資『レイリ』:凋落する武田家に命を懸けて仕える最強の少女影武者
【あらすじ】
武田軍が織田・徳川の連合軍に歴史的な大敗を喫した「長篠の合戦」から4年後の天正7年(1579)。武田軍を狙う残党狩りによって家族を皆殺しにされた少女・レイリは、剣技に磨きをかけていく。そしてその腕を武田家の重臣・土屋惣三に見込まれ、武田家当主・勝頼の息子である信勝の影武者という重役を任される。
【見どころ】
『雪の峠』の岩明均が原作を手がけ、武田信玄亡き後の武田家の衰退をメインストーリーとした歴史漫画を創造。独特な死生観を持つレイリの成長や大切な人との別れといった人間ドラマの読み応えはもちろん、綿密な時代考証による史実の再現も大きな魅力。武田家の拠点・躑躅ヶ崎館(つつじがさきやかた)(山梨県)や堅牢な山城として有名な高天神城(静岡県掛川市)など、敗北を迎える城の“弱さ”にも注目したリアリティのある描写は必見です
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お城ライブラリー vol.32 岩明均・室井大資『レイリ』