【2021年注目! 】イベント・復元が行われる城

新型コロナウイルス感染拡大により、世界中が大きな混乱に見舞われた2020年も終わり、2021年となりました。緊急事態宣言や外出自粛によって満足にお城めぐりができなかったという人も多いでしょう。「2021年こそは思う存分お城を楽しみたい!」と、意気込むあなたのために、2021年に復元公開や周年記念事業などの特別なイベントを行うお城を紹介します! ぜひ、お城旅行の参考にしてみてください。
※なお、紹介したイベントは新型コロナウイルス感染症の感染状況によって、規模縮小・順延・中止となる可能性があります。関連するサイトなどでご確認ください。

【坂本城(滋賀県)ほか】ラストチャンス! 『麒麟がくる』の舞台を訪れよう

西教寺
会場の一つである西教寺。境内の明智光秀公資料館で光秀直筆の寄進状などを展示している

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、2021年2月まで放送が延期されたNHK大河ドラマ『麒麟がくる』。これにともない、ドラマの舞台で開催されている大河ドラマ館や光秀関連イベントも会期延長が決定! 『福知山光秀ミュージアム』(京都府福知山市)は2月7日(日)、岐阜県の『麒麟がくる 岐阜 大河ドラマ館』(岐阜市)、『麒麟がくる ぎふ可児 大河ドラマ館』(可児市)と『麒麟がくる ぎふ恵那 大河ドラマ館』(恵那市)、京都府の『麒麟がくる 京都亀岡大河ドラマ館』(亀岡市)は2月14日(日)、『びわ湖大津・光秀大博覧会〜戦国ぶらさんぽ〜』は3月31日(水)まで行われることになりました。

特に注目なのが、光秀の居城・坂本城(滋賀県)を擁する『びわ湖大津・光秀大博覧会〜戦国ぶらさんぽ〜』。光秀とゆかりのある、禅明館光秀坊・西教寺・滋賀院門跡・大津市博物館で、それぞれのスポットならではの切り口から光秀の実像を探る企画展示が行われています。他にも、大津市には坂本城や比叡山延暦寺など光秀関連の史跡があるので、市内をめぐりどっぷりと明智光秀と『麒麟がくる』の世界に浸ってみましょう。

【桑折西山城(福島県)】伊達氏発祥の地で「全国山城サミット」開催!

桑折西山ライブ2020
プレ大会「桑折西山ライブ2020」の様子。イベントには、奈良大学教授・千田嘉博氏や俳優・高橋英樹氏らも参加した(桑折町提供)

全国の山城を持つ自治体とお城ファンが一堂に会し、交流・情報交換を行う山城の祭典も2021年で28回目を迎えます。新型コロナウイルスの感染対策のため、史上初のオンライン開催となった2020年「第27回 上田大会」。その最後で発表された28回大会の開催地は、福島県の桑折町(こおりまち)。桑折町は奥州の名門・伊達氏14代・稙宗が、陸奥国守護の本城として築いた桑折西山城(福島県)を擁し、初代朝宗の墓所があることから、「伊達氏発祥の地」と呼ばれています。城内の建物などは残っていませんが、曲輪や堀が良好に残っているほか、本丸では発掘された建物跡の平面復元も行われています。

桑折町では、上田大会での開催地発表に先立って2020年10月11日にプレ大会「桑折西山ライブ2020」を開催。ステージイベントや史跡をめぐる「歴史散歩」を行い、サミット開催に向けて町民の一体感を高めました。全国山城サミット桑折大会は、2021年10月30日(土)、31日(日)に開催予定。新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、イベントの詳細については決定次第、随時情報公開が行われる予定なので、HPなどの情報確認を忘れずに。

【熊本城(熊本県)】天守が完全復旧! 内部公開がはじまる

熊本城
2019年10月には天守の外観が公開。まだ、小天守には工事の足場が組まれているが、着実に復興に向かっていることが分かる(撮影/2020年8月)

2016年の熊本地震で甚大な被害を受けた熊本。市民の心のよりどころである熊本城(熊本県)も、貴重な現存建物や石垣が破損・崩落するなどの被害を受けました。熊本城では市民の強い希望から、城のシンボルである天守の復旧が優先して進められています。また。2020年6月には特別見学通路が設置され、城内の復旧工事の様子が間近で見られるようになりました。

そして、地震から5年目の節目を迎える2021年4月、ついに大天守が完全復旧され、内部の一般公開が始まります。天守内の展示も復旧にあわせてリニューアルされ、天守模型など熊本城の建築と歴史をより分かりやすく学べるようになるそう。公開時には記念イベントも予定されているので、気になる人はHPなどをチェックしてみてください。

また、2020年11月には加藤清正時代から残る長塀が復旧されました。まだ、外構整備などは続いていますが、坪井川沿いにまっすぐのびる長塀と石垣を見ることができます。完全復旧は2021年1月の予定。

【鳥取城(鳥取県)】32万石の威風を伝える大手門が復元

鳥取城大手門
10月に行われた大手門上棟式の様子。すがすがしい秋晴れの中、約600人の観覧客が集まり、門の永久堅固と鳥取市の発展が祈願された(鳥取市教育委員会提供)

因幡国支配の拠点として重視され、戦国時代には羽柴(豊臣)秀吉による兵糧攻めの舞台となったことでも知られる鳥取城(鳥取県)。大手の登城路を幕末の姿に復元する計画が進められており、2018年に内堀に架かる擬宝珠(ぎぼし)橋が復元されました。現在、復元が行われているのは城の大手門にあたる中ノ御門表門。桝形石垣をともなう珍しい形状の高麗門は、他の城郭と一線を画す威容を誇っています。

中ノ御門表門は伝統工法に則った木造建築で復元が進められており、2020年10月には柱などの骨組みの完成を祝う上棟式が行われました。竣工は2021年3月13日(土)。竣工日には「史跡鳥取城跡中ノ御門表門復元竣工式典」「鳥取三十二万石お城まつり」など、門の完成を祝うイベントが行われる予定です。竣工式典では商工会議所青年部らが扮する華やかな時代行列や記念品の配布、お城まつりでは火縄銃演武や麒麟獅子舞の奉納の他、飲食ブースの出店や乗馬体験などが企画されているそうです。

【福山城(広島県)】築城400年に向けて福山盛り上がってます!

福山城築城400年
応援サポーター・福山潤氏が水野勝成に扮した「信長の野望」コラボポスター(福山市文化振興課提供)

江戸幕府の西国鎮護として築かれ、水野氏や阿部氏などの譜代大名が城主をつとめた福山城(広島県)。2019年に水野勝成入封400年、2022年には福山城の完成から400年を迎えることを記念し、福山市では静岡大学名誉教授の小和田哲男氏や声優の福山潤氏などを応援サポーターに迎えて様々な記念事業を行っています。

2022年の築城400年を祝う記念事業の目玉となるのは、天守の外観復元工事。福山城では市制50周年である1966年に天守が復元されていますが、花頭窓や高欄などの姿は江戸時代のものと異なっています。そしてなにより、福山城天守最大の特徴である天守北側の鉄板張りが再現されていないのです。今回の外観復元では、これらの史実と異なる外観を正し、江戸時代の天守の外観復元が試みられます。復元にあたっては、市内外から広く寄付が募られています。一定額以上の寄付を行うと、天守に貼る鉄板(10万円以上)や屋根に葺く瓦(1万円以上)に名前を記入できる特典も。

また、天守の外観復元以外にも、2022年8月28日(日)の福山城築城400年記念日の800日前からは100日ごとにカウントダウンイベントが予定されています。

ここまでに紹介した5城以外にも、築城500年を迎える北条家の支城・滝山城(東京都)や毛利元就死去から450年が経つ吉田郡山城(広島県)などが2021年に記念の年を迎えます。コロナ禍により、現在具体的なイベントの予定は立っていませんが、気になる方は公式HPなどで情報をチェックしてみてくださいね。

執筆・写真/かみゆ歴史編集部
「歴史はエンタテインメント!」をモットーに、ポップな媒体から専門書まで編集制作を手がける歴史コンテンツメーカー。都市の中に眠る城を紹介する『廃城をゆく7 “再発見”街中の名城』(イカロス出版)が好評発売中。また、2020年12月には、“エライ人”を中心とする相関図で日本史が分かる『イラスト図解で速攻理解 時代別 本当にエライ人でわかる日本史』が発売。

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