<1・2日目編>【GW日本の100名城制覇旅】東海編:大迫力の石垣の名城を歩く

4〜5月は気候も良く、旅行に出かけたくなるシーズンですね。今回は4泊5日で、東海地方の日本100名城11城をめぐる旅をご提案! 前編の1・2日目編では、約30メートルもの石垣を有する松阪城や、信長の居城であった岐阜城などをめぐります。(※2019年4月25日初回公開)



[1日目/松坂城・伊賀上野城]見事な石垣を持つ2城に登城!

東京駅からは約1時間40分、新大阪駅からは約1時間、新幹線の旅を経て名古屋駅に到着! 旅の初日は三重県にある日本の100名城、松阪城伊賀上野城の2城をめぐります。

1城目は、名古屋駅から急行に乗って約1時間20分、松阪駅から徒歩約15分の松阪城。蒲生氏郷によって築かれ、見事な石垣が残る城です。明治10年(1877)に二の丸にあった徳川陣屋が焼失し、明治14年(1811)ごろには残っていた表門、裏門、土蔵なども取り壊されました。現在するものは、元々は隠居丸にあった米蔵が御町御城番屋敷です。御町御城番屋敷には、なんと現在も子孫の方々が住んでいるそうです!

松阪城、石垣
松阪城のシンボル野面積でありながらも堅固な石垣

石垣と合わせてもう一つ見ておきたいのが、松阪出身の国学者、本居宣長が書斎として使用していた「鈴屋」です。書斎の名前の由来は、36個の鈴を紐に付け、それを鳴らすことで気分転換とした「柱掛鈴」を書斎内に掛けていたため。宣長が使っていたものは残念ながら現存していませんが、長男である春庭の作ったものが展示されています。

日本100名城スタンプは、「本居宣長記念館」と、松阪城に関する資料や江戸時代の店の復元などを展示する「松阪記念館」に、設置されています。

本居宣長、邸宅
本居宣長の邸宅。松の奥、2階に部分「鈴屋」が見える

松阪駅で近鉄山田線に乗り、伊賀神戸駅で一度乗り換えて電車に揺られること約1時間、伊賀上野城の最寄り駅である上野市駅に到着。駅から徒歩約15分で藤堂高虎が築いた城、伊賀上野城に到着です。反りがなく、まっすぐな石垣は約30メートル。徳川家が大阪城再建を行うまでは日本一の高さでした。石垣は、本丸西側から水堀越しに見るのがベストビュースポット。石垣の高さと美しい積みを見ることができます。

水堀、打込接、石垣
水堀の中から石を積み上げた打込接の石垣は圧巻

天守閣内は資料館になっており、館内1階では藤堂高虎が豊臣秀吉から拝領した兜「唐冠形兜(とうかんなりかぶと)」や、甲冑などが展示されています。日本100名城のスタンプを押せるのはここです。2階では歴代藩主縁の品を、3階では横山大観などから寄贈された色紙がはめ込まれた天井絵巻を見ることができます。

伊賀上野城、天守
伊賀上野城の天守。連結式天守で天守の横には小天守が伴われている

伊賀と聞くと、忍者を連想する人も多いのではないでしょうか。伊賀上野城が位置する上野公園内には、「伊賀流忍者博物館」も併設されています。忍者に関する資料の展示や、どんでん返しや抜け道などのからくりが体験出来る「伊賀流忍者屋敷」もあるので、あわせて訪れてみてはいかがでしょうか。

1日目はこの2城で終了。今夜は明日の岐阜城に向けて、岐阜駅に宿をとるがオススメです。

[2日目/岐阜城・犬山城]信長居住城と日本最古の現存天守

2日目は、岐阜城犬山城に行きます。岐阜駅からバスで15分、ロープウェイに乗り換えて、金華山(稲葉山)の山頂まで行けば岐阜城の本丸にたどり着きます。岐阜城は、織田信長が天下統一の拠点とした城でもありました。

岐阜城、天守
岐阜城の天守。天守からは次の目的地・犬山城も見える

山頂にある石垣の多くは、昭和時代に積み直されたものがほとんど。信長当時の遺構は山麓に残っているため、じっくり見たい場合はロープウェイに乗らずに、七曲登山道を約50分歩いて山頂に向かいましょう。途中、約2メートルもの大きさの堀切などを見ることができます。

信長居館
山麓の信長居館につづく道。両脇には石垣の基礎が残っている

天守すぐ近く、復元された武器庫や食料庫は岐阜城資料館。館内には、岐阜城に関する資料や甲冑などの武具が展示され、日本100名城スタンプもここで押すことができます。

金華山を下山して、犬山城を目指します。岐阜駅から犬山遊園駅までは電車で約35分、最寄り駅から徒歩約20分で犬山城に到着。道中の城下町からは犬山城までの道がまっすぐ伸び、お城を見ながら歩くことができます。

国宝、犬山城
国宝・犬山城の天守最上階からは濃尾平野を一望でき、遠くには名古屋のビル群が見える

犬山城の現存天守は日本最古。入母屋部分は慶長元年(1596)に建てられ、その後元和6年(1620)に3階と4階部分が増築されました。また、近代日本唯一の個人所有のお城でした。現在は財団法人犬山城白帝文庫に譲られています。

また、日本100名城スタンプは、犬山城と城下町についての展示を見学できる「城とまちミュージアム(犬山市文化史料館)」に設置されており、犬山城からは徒歩約7分ほどです。

2日目も2城をめぐりました。後半戦の3日目は岩村城からスタート。2日目の夜は犬山城から徒歩約20分の犬山温泉に宿を取って、ゆっくりと体を休めましょう。なお、3日目は出発時間が早いため、犬山駅か犬山遊園駅であらかじめ朝ご飯を買っておくことをオススメします。


※城名の後ろ、丸括弧内は日本の100名城スタンプ設置場所
(スタンプ設置場所は変更になる場合があります。事前にご確認ください)

[1日目]
名古屋駅
↓JR快速みえ鳥羽行き、約1時間20分
松阪駅
↓徒歩約15分
松阪城(松阪市歴史民俗資料館または本居宣長記念館)
↓徒歩約15分
松阪駅
↓近鉄山田線で伊賀神戸駅へ、伊賀鉄道に乗り換え、約1時間
上野市駅
↓徒歩約15分
伊賀上野城(大天守1階)

[2日目]
岐阜駅
↓バスで約15分、
金華山ロープウェイ山麓駅
↓約3分
金華山ロープウェイ山頂駅
↓徒歩約8分
岐阜城(岐阜城資料館)
↓徒歩約8分
金華山ロープウェイ山頂駅
↓約3分
金華山ロープウェイ山麓駅
↓バス約15分
岐阜駅
↓徒歩7分
名鉄岐阜駅
↓名鉄各務原線、約35分
犬山遊園駅
↓徒歩約15分
犬山城(城とまちミュージアム(犬山市文化史料館))
↓徒歩約20分圏内
犬山温泉


執筆・写真/かみゆ歴史編集部(野中咲希、小関裕香子)
「歴史はエンタテインメント!」をモットーに、ポップな媒体から専門書まで編集制作を手がける歴史コンテンツメーカー。手がける主なジャンルは日本史、世界史、美術史、宗教・神話、観光ガイドなど歴史全般。最近の編集制作物に『天皇〈125代〉の歴史』『マンガ面白いほどよくわかる!新選組』(西東社)、『さかのぼり現代史』『日本の信仰がわかる神社と神々』(朝日新聞出版)、『ニュースがわかる 図解東アジアの歴史』(SBビジュアル新書)、『ゼロからわかるケルト神話とアーサー王伝説』(イースト・プレス)など。