2018/05/11
理文先生のお城がっこう 城歩き編 第2回 服装選びのポイントは(近世城郭の場合)
加藤理文先生が小・中学生に向けて、お城のきほんを教えてくれる「お城がっこう」の城歩き編。今回は城(近世城郭)に行く時の服装について。
■理文先生のお城がっこう
前回「第1回 城へ行く前にすることは」はこちら
まずは靴えらび
一口に城(しろ)歩きをすると言っても、様々な城が存在(そんざい)します。今回は、比較(ひかく)的歩きやすい「近世城郭(きんせいじょうかく)」に行ってみましょう。城は、敵(てき)が攻(せ)めて来た時に守りやすいように工夫が凝(こ)らされています。近世のお城も同じです。どの城も、天守のある中心部に、侵入(しんにゅう)してきた敵兵を容易(ようい)に近づけないようにする工夫がこらされていました。
従(したが)って、一回り見学するだけでも、歩く距離(きょり)はかなり多くなってしまいます。そこで、上手に「靴(くつ)」を選ぶことが大切になってきます。かかとの高い靴、暑い夏はサンダルでなんて思っていませんか?長時間歩くことも考えた靴を選びたいですね。そこで、長く歩いても疲(つか)れない「スニーカー」をお勧(すす)めします。なかなか自分の足にフィットしない時は、靴の中敷(なかじ)きであるインソール(靴底)を交換(こうかん)してみましょう。インソールによって、かなり負担(ふたん)が軽減(けいげん)されますよ。
もう一点注意してほしいのが、城の内部は舗装(ほそう)されている場所だけではないということです。むしろ舗装がされていない「土」の箇所(かしょ)が多い城もあります。土も、固く踏(ふ)みしめられたものもあれば、砂利(じゃり)(直径2~5cm程度(ていど)の石や、小石に砂(すな)が混(ま)ざったもの)を敷(し)いてある場所もあります。雨上がりで、ぬかるんでいたりする時もあります。小さな石が中に入ってきたり、すべったりすることの無い「靴」を選んででかけましょう。
久保田城本丸跡(くぼたじょうほんまるあと) 通路は砂利道です
意外と大切な靴下
靴と同様に、靴下も大切です。「くるぶしソックス」のような丈(たけ)が短い靴下は、土の道や砂利道を歩くと、意外と小さな石が入ってきます。丈は、最低でも10㎝以上はほしいですね。
もう一つ、近世城郭の見どころの一つに、江戸(えど)時代から残っている天守や櫓(やぐら)、門などがあります。こうした建物の中に入る時、必ず靴は脱(ぬ)がなくてはなりません。スリッパが用意されている城だけではありません。急角度の階段(かいだん)を登る時、すべり止めが付いている靴下が重宝(ちょうほう)します。あるいは、5本指のソックスもいいですよ、力が指にかけやすく普通の靴下よりはすべりにくいのは事実です。5本指ソックスは、指同士がくっつかないため、汗(あせ)をすぐに吸収(きゅうしゅう)してくれるという利点もあります。また、裸足(はだし)に近い状態にしてくれるため、足本来の働きができるようになって疲(つか)れが軽減されます。一度、試してみてはいかがでしょうか。
ズボンと上着
近世城郭は、山城と違(ちが)ってあぶない場所は多くありません。でも、スカートは避(さ)けたいですね。石段を登ったり、天守の急な階段を登ったりすることもあります。からみつく危険性(きけんせい)がありますから気を付けましょう。ズボンならOKですが、ズボンの素材(そざい)は、なるべく軽くて乾(かわ)きやすい物を選びましょう。夢中(むちゅう)で歩き回って、汗ダクなんてこともあります。
上着も同様です。Tシャツみたいな感じでも大丈夫(だいじょうぶ)ですが、樹木(じゅもく)の多い箇所は虫がいるかもしれません。強い日差しは、日焼けの原因(げんいん)にもなります。薄手(うすで)の、長袖(ながそで)の軽い上着(出来たら、襟(えり)が付いている方がいいですよ)を持っていくことをお勧めします。場所や日差しを見て、気軽にはおれます。
彦根城(ひこねじょう)大手坂 かなりの勾配で長い坂です
帽子(ぼうし)をかぶりましょう
日焼け対策(たいさく)や虫よけに役立つもう一つのアイテムが「帽子」です。帽子は、なるべくつばの広い帽子をかぶりたいですね。つばの広い帽子をかぶることで、顔だけではなく首筋(くびすじ)も保護(ほご)してくれます。また、最近は目に入る紫外線(しがいせん)を20%~30%もカットすることができると言われています。
炎天下(えんてんか)に長い時間歩き回ることになるかもしれません。城歩きは、自分の目で見て勉強することなので、知らず知らずに目に負担(ふたん)がかかり疲れてしまうこともあります。帽子をかぶることで、いろいろな予防(よぼう)が出来るということを覚えておきましょう。
次回は「服装選びのポイントは(山城の場合)」です。
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加藤理文(かとうまさふみ)先生
公益財団法人日本城郭協会理事
(こうえきざいだんほうじん にほんじょうかくきょうかい りじ)
毎年、小中学生が応募(おうぼ)する「城の自由研究コンテスト」(公益財団法人日本城郭協会、学研プラス共催)の審査(しんさ)委員長をつとめています。お城エキスポやシンポジウムなどで、わかりやすくお城の話をしたり、お城の案内をしたりしています。
普段(ふだん)は、静岡県の中学校の社会科の教員をしています。