2018/12/28
大人も学べる 理文先生のお城がっこう 大人も「お城がっこう」|城歩き編 第1回 城へ行く前にすることは
加藤理文先生が小・中学生に向けて、お城のきほんを教えてくれる「お城がっこう」の城歩き編。今回は城に行く前の準備やポイントについて。
※この記事は「理文先生のお城がっこう」を大人向けに「ふりがなをなくした」ものです。内容は子供向けと同じです





城歩きの楽しみ
城歩きの楽しみは、なんでしょう?
それは、人それぞれ違うと思います。写真を撮りたいとか、残っている建物を見てみたいとか、城の造りを勉強してみたい。あるいは、スタンプを押しに行きたいなんてこともあるかもしれませんね。

漆黒の国宝松本城の天守群
城と言ってもたくさんあります。姫路城や松本城のように天守が残る近世の城、建物はすべてなくなってしまい石垣だけが残る竹田城のような城、建物も石垣も無い上杉謙信の春日山城のような城、みなさんの町にも探してみるとお城が残っているはずです。
一口に城といっても、実に様々な種類の城が残っています。では、城を見に行く前の準備や、見るポイント、そして持ち物や服装など、それをこれから一緒に勉強していきましょう。

土で造られた上杉謙信の春日山城
事前の準備
さあ明日は城へ行く日だ!
でもちょっと待ってください。事前の準備は出来ていますか? 城を訪ねる前に、最低限の資料を準備しておくことが大切です。一番大切なことは、自分は何をしに城へ行くかということです。何を目的にして城を訪ねるのかをまとめておきましょう。
残っている建物や再建された建物を見に行くのですか?
あるいは石垣を見に行くのですか?
城の構造を調べに行くのですか?
いずれにしても、城の図面が必要になります。最初は、パンフレットや解説書に載っている図面で十分です。これをコピーして持って行きましょう。インターネットでダウンロードすることもできます。

松江城と周囲がわかる「松江城下町マップ」
図面は、用意出来ましたか?お城だけでなく、周辺の様子がわかる地図(バス停やお店など)と、お城のだけを書いた図面の2種類を持っていくと便利です。
最近は、どこの城も地図やイラスト入りの案内図を載せたチラシやパンフレットが用意されていることが多くなりました。お城のどこで手に入れることが出来るのかも、調べておくと良いでしょう。

小冊子になったパンフレット(無料で手に入ります)
ポイントのチェック
現地に行って、お城の魅力をあまさず知るために、お城の中で自分が行きたいポイントをチェックしておくことが大事です。チェックした場所はどこですか?そこにあるのは何ですか、建物ですか、石垣ですか、それとも堀や土塁ですか?
チェックした場所にある物について行く前に調べておきましょう。建物なら、その種類と建てられた年号、石垣なら、そこにある石垣が積まれた年号と積み方、堀や土塁も、その種類といつ造られたのかを調べておきましょう。そうすれば、実際にそこに行った時に、いつのものかが解り、見方も変わってきます。
勉強で言うなら「予習」ですね。予習や行った時に気が付いたことをメモ出来る小さなノート(メモ帳)があると便利です。解らなかったことや気が付いたことをメモしておきましょう。きっと帰って整理するときに役立ちます。
見て歩く順番もチェックしておきましょう。無駄なくまわることが出来て便利です。また、自分が見たいと思う所以外の「見どころ」も調べてみましょう。案外気が付かない見所がある城がありますよ。後で、どうして見なかったのだろうと悔やまないようにしておきたいですね。

見学ルートや見どころを案内した地図を参考にしよう
交通手段と天気予報
最後に、その城へ行く方法(交通機関等)をしっかりと調べましょう。城は、便利な所だけにあるとは限りません。公共交通機関、特にバスに乗り換えて行く所は、時間もかかることですし、バスの本数も限られている場合があります。行くときだけでなく、しっかりと帰りに乗るバスの時刻も調べておきたいですね。天気も大切です。事前に天気予報で当日の天気を確認しましょう。天気次第で、持ち物や服装が異なってきます。
次回は、城へ行く時の「服装や持ち物」について考えて見ましょう。
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加藤理文(かとうまさふみ)先生

公益財団法人日本城郭協会理事。毎年、小中学生が応募する「城の自由研究コンテスト」(公益財団法人日本城郭協会、学研プラス共催)の審査委員長をつとめています。お城エキスポやシンポジウムなどで、わかりやすくお城の話をしたり、お城の案内をしたりしています。普段は、静岡県の中学校の社会科の教員をしています。