【宮城県のお城】古代から戦国時代まで!歴史ロマン溢れるお城を巡る

「城びと」サイトにはたくさんのお城の情報をお寄せいただいています。お城初心者の方から「どこのお城にまず行けばいいの?」という声をいただく機会が増えてきました。そこでこの連載では、日本100名城、続日本100名城を中心に、各都道府県を代表するお城を分かりやすく紹介していきます。今回は宮城県編。宮城県の日本100名城には、仙台城(仙台市)のほかに、多賀城(多賀城市)、そして続日本100名城には白石城(白石市)が選ばれています。戦国ブームで仙台城にスポットが当たりがちですが、それに劣らず、多賀城、白石城も魅力的なお城です。それでは、宮城を代表する3つのお城を紹介します!

宮城県にあるお城は?

宮城県のお城といえば、真っ先に仙台城が思い浮かびます。仙台城は、戦国武将として人気のある伊達政宗が建てたお城です。戦災により、本丸など主要な建築物は焼失してしまいましたが、復元された大手門と、本丸の高石垣、本丸大広間跡など見どころは盛りだくさんです。

多賀城は奈良時代から平安時代にかけて造られた行政府です。平城宮跡(奈良県)や太宰府跡(福岡県)とともに日本三大史跡に数えられる貴重な城跡です。

最後に、伊達政宗に生涯忠誠を尽くした家臣・片倉小十郎景綱が治めた白石城。明治に入り破却された後、全国でも珍しい木造天守が再現されています。また、白石市中心部は江戸時代からの町並みを残した武家屋敷通りがあるので、お城めぐりの後に散策するのもいいですね。

■日本三大史跡の一つ!古代東北を治めた城・多賀城(日本100名城)

宮城県、多賀城、日本100名城
多賀城趾(提供元:発見!ニッポン城めぐり)

多賀城は奈良時代、平安時代に大和朝廷が東北の蝦夷支配のために築いた城柵のひとつです。城柵とは外郭を築地で囲んだ砦であり、古代東北において朝廷が造った軍事拠点のこと。もしかすると、城という名前から、立派な天守をイメージする人も多いかも知れませんね。ですが、多賀城は天守のような高い建物があるわけでなく、また「柵」があるわけでもありません。平城京や大宰府政庁と似たような構造をイメージするとわかりやすいかと思います。多賀城には「陸奥国府」と「鎮守府」が置かれていました。鎮守府は平安時代に入ると胆沢城へと移りますが、鎮守府が移った後も兵站機能は残され、多賀城は東北を支配する拠点となっていました。

神亀元年(724年)、行政機関としての多賀城を建造したのは、奈良時代の武人である大野東人(おおののあずまびと)です。当時の多賀城は約900m四方を築地塀や材木塀で囲まれており、中央に政務や儀式を執り行う政庁がありました。城の外には、道路などで区画された町並みができており、平安時代初期には都市が整備されていたことがわかっています。現在はほとんどが遺構として残るのみですが、政庁の中央にある正殿跡には、基壇が復元されています。城跡はのどかな雰囲気で、丘陵上から市内を見渡せる眺望のよさは散策にもおすすめです。また、南門近くにある多賀城碑もみどころのひとつ。多賀城創建の経緯などが、141の文字で記されています。日本三古碑のひとつで、国の重要文化財にも指定。

多賀城周辺には多賀城跡附寺跡や館前遺跡、柏木遺跡、山王遺跡千刈田地区、多数の門の跡など、かなり広範囲に遺構が残っているので、考古学ファンや古代のお城好きにはたまらないエリアです。国府多賀城駅のそばに東北歴史博物館があるので、こちらに立ち寄ってから多賀城跡を訪れると、より深く歴史を理解できて楽しめますよ。また、多賀城跡の一角には、約300万本の菖蒲が植えられた「あやめ園」があります。見ごろとなる6月下旬から7月上旬にかけて「多賀城跡あやめ祭り」が開催されるので、祭りの時期に合わせて訪城するのもおすすめです。

所在地 :宮城県多賀城市市川字城前ほか
アクセス:JR東北本線「国府多賀城」駅から徒歩約15分
楽しみ方:正殿跡、門跡、築地塀跡、多賀城碑、多賀城周辺の遺跡や遺構

■伊達政宗が建てた天険の要塞・仙台城(日本100名城)

宮城県、仙台城、日本100名城
伊達政宗が建てた仙台城(提供元:発見!ニッポン城めぐり)

仙台城は、仙台藩初代藩主である伊達政宗が建てたお城です。関ヶ原の戦い直後の慶長5年(1600)12月に、伊達政宗が城の建造に着手。本丸の東側には断崖絶壁と広瀬川があり、南側と西側には御裏林と竜ノ口渓谷が広がります。四方を天然の要害に囲まれまさに「守るに易く、攻めるに難い」山城なのです。

かつて豪壮華麗な建築物が並び、大手門は桃山文化の集大成とも言われています。本丸の遺構からは、イタリアのヴェネチアグラスなどが出土しており、政宗の海外への関心を伺わせます。政宗は海外との交渉にも関心があり、スペインの探険家・セバスティアン・ビスカイノは、慶長16年(1611)に仙台城で歓待を受けました。ビスカイノはこのとき仙台城を「この城は当国(仙台藩領)にある最強で最良の城のうちの一つである」と賞しています。その絢爛豪華な姿は、本丸会館にある資料展示館(9〜17時、冬期は〜16時)で見ることができます。CGシアターで在りし日の仙台城の姿が再現され、タイムスリップしたような気分が味わえますよ。
 
現在は大手門の脇櫓だけが再建され、さらに2015年に本丸の石垣復旧工事と、本丸の大広間跡の遺構表示整備が完成しました。それではその3つのみどころをご紹介しますね。

まず見ていただきたいのが、「仙台城の顔」とも言われた大手門の脇櫓です。大手門は入母屋造瓦葺、二階建てで豪壮な建物だったと伝えられています。昭和6年(1931)に国宝に指定されましたが、戦災により焼失。現在は復元された脇櫓から、仙台城の一端を知ることができます。

大広間跡は本丸跡の北側にあり、磁石を配置し、当時の部屋割りを表現しています。畳敷きと拭縁(ぬぐい)部含め430畳と広大で、ここで仙台藩の政治と儀式が行われました。かつて千畳敷とも称されたその広さを体感してみてください。

最後に、本丸の修復された石垣です。本丸北面の高石垣は、四角い形に加工された切石が「切込接(きりこみはぎ)」という技法で積まれています。「切込接」は、石工技術の進展により、ほぼ正形に加工した石を組んでいることが特徴です。規則的な形が生み出す石垣の美しさは必見。さらに「算木積み(さんぎづみ)」で組まれた石垣の隅部では、「江戸切り」という加工が石の角に施されており、稜線を一層際立たせています。石垣の見事な「反り」にも注目してください。

仙台城の範囲は広く、巽櫓跡、酉門跡、伊達政宗公像などまだまだみどころはありますので、時間に余裕を持ってお城めぐりを楽しんでください。

所在地 :宮城県仙台市青葉区川内
アクセス:JR東北本線・東北新幹線「仙台」駅下車。西口バスプール16番から観光シティバス「るーぶる仙台」で約20分「仙台城跡」下車、徒歩3分。地下鉄「仙台」駅から東西線で約5分「国際センター」駅下車、徒歩約25分
入館料 :青葉城本丸会館 展示資料館700円
楽しみ方:本丸大広間跡、大手門の脇櫓、本丸にある高石垣、伊達政宗公像など

■伊達政宗の忠臣・片倉小十郎景綱が治めた白石城(続日本100名城)

宮城県、白石城、続日本100名城
全国でも珍しい木造復元の天守閣は見応えあり(提供元:発見!ニッポン城めぐり)

蒲生氏郷の家臣・蒲生郷成によって築城された城ですが、伊達政宗の重臣・片倉小十郎景綱の居城として有名です。景綱は真田信繁(幸村)からの信頼が厚く、大坂夏の陣に挑む前に、信繁が子どもを預けた人物でもあります。真田家ゆかりの城として、大河ドラマ『真田丸』が放映されたときには大勢の観光客で賑わいました。

伊達政宗は関ヶ原の戦いが終わると旧領であった白石を攻略し、上杉景勝から奪取します。政宗は白石城の城主に片倉景綱を任命、景綱はお城の改修整備に取り掛かります。仙台城と同じく天然の要害を生かし、標高76mの山頂に本丸、ニの丸、中の丸、西曲輪を配置し、曲輪の周辺には天然の堀である館堀川を巡らせました。本丸には諸大名の天守に匹敵する天守代用の三階櫓が建てられます。元和元年(1615)の江戸幕府による「一国一城令」が出されたあとも、白石城は例外とされ、明治維新まで存続します。そんな白石城の終焉は戊辰戦争でした。新政府軍に降伏後、明治7年(1874)に解体されるにいたります。戦後、平成7年に天守である三階櫓と大手門が見事に復元されました。

見どころは、まず全国でも珍しい木造復元の天守です。天守は3階で、高さは石垣天端から約16m、戦後の木造復元天守閣では、国内最大級を誇ります。復元にあたり、残された史料を手がかりに、当時の建築様式を忠実に再現した秀麗な天守は見ごたえありです。

次に、天守台の石垣です。白石城本丸の石垣には、「野面積」と「打込接(うちこみはぎ)」という2つの石積み法が使われています。「野面積」とは、自然石や加工をしていない石を積む方法。一方、「打込接」とは、槌で石を叩いて接合面の隙間をなるべく減らした積み方です。石積みの技術は織豊時代以降に発展を遂げ、野面積みから打込接、そして切込接へと変遷をたどりました。石積み法の違いをじっくりと見比べてみてください。

最後に、本丸大手門の枡形です。枡形とは、別名で虎口とも呼ばれ、城郭の重要な防御施設です。大手門一之門と大手門二之門の間の枡形は、細長い逆L字型になっており登り勾配が特徴です。二重の防御を敷き、一気に侵入できないよう、曲がって進むように造られています。また、白石城周辺は、益岡公園として整備され、4月の桜まつり、5月の片倉鉄砲隊火縄銃演舞、10月の鬼小十郎まつりなどさまざまな行事が開催されますので要チェックです。

所在地 :宮城県白石市益岡町1-16
アクセス:JR東北本線「白石」駅から徒歩約10分
時 間 :9時〜17時(11〜3月は〜16時)
入館料 :白石城400円、歴史探訪ミュージアム400円、武家屋敷200円、共通券800円
楽しみ方:木造天守、天守台石垣、大手門枡形

執筆/城びと編集部

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