【夏の城旅】東海編:今注目!本丸御殿全面公開の名古屋城&信長の居城へ

夏休み到来! まだ何の予定も決めていないという人も、せっかくだから夏の思い出を残したいですよね。家族連れや友達同士でも公共の交通機関を用いて無理なく行ける、2泊3日の城旅をご紹介しましょう。今回は、関東からでも関西からでもアクセスのよい、名古屋と東海を中心とした旅をご紹介。本丸御殿の全面オープンで注目度の高い名古屋城と、織田信長とゆかりの深い小牧山城や岐阜城を案内します!

上洛殿、名古屋城、本丸御殿
2018年6月に公開されたばかりの本丸御殿の上洛殿。御殿内で最も格式が高い

[1日目]名古屋城は家族連れの見どころ満載!

東京駅から約1時間40分、新大阪駅からなら約50分で到着する名古屋駅。「尾張名古屋は城でもつ」と昔からいわれているとおり、名古屋が誇る観光地といえば、真っ先に名古屋城の名前が挙げられます。

名古屋城は城ファンにはもちろん、今や外国人にも定番の観光名所となっていますが、この夏はさらに魅力がアップしました。そう、第二次世界大戦の空襲によって失われていた本丸御殿が完成し、6月8日に全面公開されたばかりなのです。本丸御殿は藩主や政庁としてではなく、徳川将軍家が尾張に立ち寄った際の宿泊施設として築造されました。そのため、まばゆいばかりの絢爛豪華さが特徴。まだ檜のかぐわしい香りが充満する内部は、障壁画といい、彫刻欄間(らんま)といい、贅の限りを尽くしています。部屋ごとに異なる天井のスタイルや、釘隠しとなる彫刻された金具など、細部まで見逃せません。

名古屋城、上洛殿、欄間、彫刻、装飾、天井
豪華な彫刻が施された上洛殿の欄間。左右の欄間や天井にも細やかな装飾がなされている

名古屋城、本丸御殿、小天守、大天守、木造復元、
本丸御殿越しに見る小天守と大天守。天守は木造復元のため建て替え準備が進められており、中に入ることはできない

名古屋城の新施設としては、金シャチ横丁も見逃せません。今年3月に正門側の「義直ゾーン」と東門側の「宗春ゾーン」の2つの商業施設がオープン。ひつまぶしや味噌カツなどの定番から、あんかけスパなどのニュースタイル、さらに金箔のソフトクリームといったスイーツまで、新旧の名古屋めしを味わえます。友人や家族連れで行ったら、食べ歩きも楽しいでしょう。

8月31日までは、名古屋城の開園時間が午後5時30分まで延長中(本丸御殿の入場は午後5時まで)。「義直ゾーン」は午後6時でクローズとなりますが、「宗春ゾーン」は午後10時30分までオープンしています。1日かけてたっぷり名古屋城を満喫し、1日目は名古屋に宿をとるのがいいでしょう。

名古屋城、金シャチ、義直ゾーン
金シャチ横丁の「義直ゾーン」。左右に名店が並び、思わず目移りしてしまう

[2日目]新発見が続く小牧山城と国宝天守を誇る犬山城

2日目は天下人・織田信長の居城だった小牧山城と、国宝天守が建つ犬山城へ。名古屋駅から小牧山城の最寄りの小牧駅へは、市営地下鉄を乗り継いで40分前後。小牧駅から小牧山城は徒歩だと約20分程度、バスかタクシーを利用してもいいでしょう。

小牧山城は、信長が桶狭間の戦いで今川義元を下して尾張を統一したのち、次のターゲットを美濃(岐阜県)の斎藤氏に定めて、その国境近くに築いた城です。これまでは、斎藤氏を攻めるために臨時で築かれた砦程度の城とされてきたのですが、近年の発掘調査で本丸には石垣がめぐっており、また城下町も立派に整備されていたことが判明しました。つまり小牧山城は、臨時の砦どころか、その後の安土城に通じる総石垣の城の先駆けだったのです。発掘された石垣の大部分は再び地中に埋められてしまっていますが、石垣の一部は地上で展示されています。

小牧山城、石垣づくり、露出展示
石垣造りであったことが判明しつつある小牧山城。石垣の一部は露出展示されている

小牧市歴史館、小牧山城、山頂
山頂の小牧市歴史館。小牧山城の歴史を学ぶために是非立ち寄りたい

小牧山城から犬山城へ。最寄りの小牧駅から犬山駅は名鉄小牧線でわずか17分たらず。犬山城は木曽川沿いの愛知県側に建ち、川向こうは岐阜県です。

犬山城の見どころは、何と言っても全国に5城しか残らない国宝天守でしょう。古い「望楼型(ぼうろうがた)」と呼ばれる形式で、2階建ての基礎となる建物の上に、物見となる望楼を載せているのが特徴です。最上階にはお寺にあるようなオシャレな窓が2つ。花の形、または炎の形に見えることから、「華頭窓」「火灯窓」(どちらも読みは「かとうまど」)と呼ばれています。「望楼型」と「華頭窓・火灯窓」の名称を覚えておくだけで、子どもや同行者に自慢できるかも。

犬山城、天守、望楼型天守、華頭窓、火灯窓
犬山城天守。古い様式である「望楼型天守」で、最上階には「華頭窓・火灯窓」がつく

犬山城城下、お土産屋、街並み
古い街並みが摸され、お土産屋が並ぶ犬山城下の散策も楽しい

2日目の宿泊地は、城から徒歩20分圏内の犬山温泉がよいでしょう。木曽川が流れる犬山は、鵜飼いの鑑賞でも有名。昔ながらの手法で行われる鵜匠の漁を観覧船から間近で見ることができ、川面を照らすかがり火はなんとも幻想的な光景です。木曽川から見上げるライトアップされた犬山城天守も、これまた絶景。シーズンは混みますので、観覧船は必ず事前予約するようにしましょう。

[3日目]岐阜城では山麓の遺構も見逃せない

東海の名城めぐりも3日目。3日目は岐阜城へ行く予定ですが、もし時間が許せば、犬山駅から路線バスで20分程度の「博物館明治村」に足をのばしてみるのもよいでしょう。重要文化財である聖ヨハネ大聖堂や品川燈台をはじめ、明治時代の貴重な建物と文化財が広大な敷地に集合しています。これまでめぐってきた江戸時代までの城と、文明開化によって西洋化した明治の建物を比較してみるのも勉強になりますね。

さて、2泊3日の城旅の最後の目的地である岐阜城は、犬山駅から名鉄犬山線で名鉄岐阜駅まで(約30分)行き、そこからバスで約15分の距離となります。戦国時代にこの地を治めた斎藤氏の居城であり、その斎藤氏を滅ぼした信長もまた、安土城に移るまで居城としました。信長が「天下布武」を掲げた城であり、「岐阜」という名称も信長の命名とされています。

岐阜城、織田信長、金華山、騎馬像
岐阜城に到着すると、若き信長の騎馬像が出迎えてくれる。背後が金華山

岐阜城、天守、長良川、濃尾平野
岐阜城天守から長良川と濃尾平野を望む

標高300メートルを越す金華山の山頂に建つ岐阜城。岐阜城に着いたら、まずはロープウェイで山頂まで行き、天守を目指しましょう。岐阜城にこのような天守が建っていた時代はなく、まったくの模擬天守なのですが、天守からの眺めは絶景。長良川が生み出した濃尾平野を一望することができ、気分はまるで天下人のよう。晴れた日はこれまで巡ってきた犬山城や小牧山城の位置を確認することができ、遠く名古屋の高層ビル群も望めます。

岐阜城では、山麓の遺構も見逃さないようにしましょう。信長の館は山麓に構えられていたともいわれており、巨石が用いられた登城道が復元されています。また、近年では庭園の跡地が発掘されており、信長がどんな場所で生活していたのか、その解明が待たれます。

岐阜城、山麓、登城道、高石垣、復元、発掘調査
発掘調査をもとに復元された山麓の登城道。かつては高石垣だったと考えられる

今回紹介した東海の4城はどれも名城ばかり。復元された豪華な御殿もあり、国宝天守もあり、発掘調査が進む城もあり、今後も家族や友人で城めぐりをするよいきっかけになるでしょう。

[1日目]
 名古屋駅
  ↓ 市営地下鉄、約20分程度
 市役所駅または名城公園駅
  ↓ 徒歩約10分
 名古屋城
  ↓ 
 名古屋市内泊

[2日目]
 名古屋駅
  ↓ 市営地下鉄、約40分前後
 小牧駅
  ↓ バスで約10分、または徒歩約20分
 小牧山城
  ↓ バスで約10分、または徒歩約20分
 小牧駅
  ↓ 名鉄小牧線、約17分
 犬山駅
  ↓ 徒歩約20分
 犬山城
  ↓ 徒歩約20分圏内
 犬山温泉

[3日目]
 犬山温泉
  ↓ 徒歩約20分
 犬山駅
  ↓ 名鉄犬山線、約30分
 名鉄岐阜駅
  ↓ バスで約15分
 岐阜城
  ↓
 帰宅

執筆・写真/かみゆ(滝沢弘康)
ポップな媒体から専門書まで編集制作を手がける歴史コンテンツメーカー。かみゆ歴史編集部として著書・制作物多数。

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