佐倉城(千葉県佐倉市)を親子で堪能!親子名城見学会レポート

親子名城見学会
今年も(公財)日本城郭協会による「親子名城見学会」が始まりました。専門家による解説を聞きながら親子で名城を堪能できる人気企画です。9月29日(日)に千葉県佐倉市の日本100名城・佐倉城で行われた見学会の様子をお届けします!

親子でお城に行き、一緒に歴史や城郭文化に触れることで親子の絆を深めることを目的に、公益財団法人日本城郭協会は「親子名城見学会」を毎年開催しています。参加費が無料なのに専門家がお城について解説してくれるので、より深くお城を知ることができる上、親子で感想を交わせるのも大きな魅力!

23回目を迎える今年の名城見学会は、佐倉城浜松城彦根城広島城の4城で開催が予定されており、9月29日(日)に佐倉城(千葉県佐倉市)で今年初めての見学会が行われました。

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佐倉市都市部公園緑地課提供

佐倉城は、千葉氏一族の鹿島幹胤(かしまもとたね)が鹿島台に築いた中世の城郭が原型。千葉一族滅亡後に譜代大名の土井利勝が城郭を築きました。石垣を使わず、すべて土塁で、曲輪や掘割が造られています。
今回は、入口前~姥ヶ池~大手門~三の門跡~二の丸跡~本丸跡~清水出丸跡~出丸跡~三の丸跡~馬出し空堀という具合に、佐倉城をぐるっと回っていきます。

参加したのはお城好き親子8組!

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佐倉城址の一角にある国立歴史民俗博物館入口前に集合!本日のルートを説明する小和田先生

専門家による解説を受けながらお城を見られるのが親子名城見学会の大きな魅力。今回佐倉城を解説してくださるのは、歴史研究家で日本城郭協会理事の小和田泰経先生です。参加者は小学1年生から中学2年生までのお子さんと保護者の方8組で、お城好き歴も2年から6年とさまざま。みなお子さんから「参加したい」とご希望で、地元千葉県や神奈川県、東京都など関東圏のほか、遠くは山梨県から車で弾丸参加という猛者親子さんも! 定刻よりだいぶ早く全員集合したことからも、皆さんのやる気と期待が伝わります。

土塁と空堀の宝庫を満喫!

それではここから、見学会の様子をピックアップしてご紹介してまいります!
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さっそく空堀の中へGO!
 
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悲しいお話が伝わる姥ヶ池。池の向こうが本丸で、本丸までの障害となっています
 
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「佐倉城の遺構ではないのですが、せっかくだから」と先生が案内してくださったのは、訓練用12階段。明治の廃藩置県で佐倉城跡が軍隊の駐屯地となった名残です
 
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佐倉城には空堀が本当にたくさんあります!

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江戸時代における佐倉城のの大手門前のメインロード。今の道路はお堀を埋めて作られたので、まっすぐになっていない箇所がある! 

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昔の絵図を使って侍屋敷の説明。天守に近ければ近いほど身分が高くなるそう
 
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浅間神社跡の富士塚に登ります。晴れていれば富士山が見えるそうですが、この日はあいにく曇天…
 
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9代目城主の堀田正睦(右の銅像)が老中の時、日米修好通商条約を締結しました。左はアメリカ総領事のハリスの銅像です
 
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ふか~い空堀。戻ってくるのが大変なので今回の見学ルートには入っていませんでしたが、おや、チャレンジしている元気な親子さんが!
 
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二の門跡を抜けて二の丸へ。ニの門のみならず、佐倉城の門は基本的に写真がしっかり残っているので、復元しようと思えばできるそうです! 
 
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土塁の上に置かれている礎石。柱を立てた跡が残っています
 
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雨ニモマケズ行く我ら。土のお城は雨が降ると防御性が高くなる!
 
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佐倉城の大きな特徴の一つである出丸を見学。当時は引橋がかけられていたそうです。出丸を守る水堀に目をやり「鷺も雨宿りしてるね」と教えてくれたお子さんのおかげで撮れたのが右の一枚。教えてくれてありがとうございます!

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「土塁の上を歩かせてもらえるお城は珍しい。ぐるっと回れるので土塁の上を行きましょう」と先生に連れられて土塁の上を巡ります

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出丸はあまり広くないので大人数を配備できないため出入口を一か所に制限して守りやすくしているとのこと。佐倉城はどの曲輪も土塁と堀で守られています

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「佐倉城の写真といえばこの空堀馬出し!」定番の一枚。ここで見学会は終了です

参加されたみなさまの感想

親子横並びで同じものを注意深く、興味深く見ること、それだけでなんとなく子どもの心が落ち着くと聞いたことがあります。取材中、確かにそういった雰囲気を肌で感じることがありました。素晴らしいお城でそれができるなんて、なんと贅沢なことか! 約2時間の親子名城見学会、体感ではあっという間に終わり、参加された方々に感想を伺いました。

・佐倉城に来たことはあったけれど、しっかり見たり知ったりすることができてよかった。(お子さん)
・見学会は今回で3回目。いままで参加した見学会のお城は石のお城ばかりで、土のお城は初めてだった。それぞれの良さが知れてよかった。(お子さん)
・天守とかないお城だから、先生が説明してくれてよかった。楽しかった。(お子さん)
・コロナでずっと行かれなかったけれど、今回ようやく参加できた。嬉しい。(お子さん)
・佐倉城は出丸や角馬出しなど特徴的なお城。おもしろい発見や初めて知ることがいっぱいあって楽しかった。(お子さん)
・自分たちだけでお城に行くと、どこがどうなのかよく分からず、結局パンフレットを見ないで回ることが多いけれど、見学会は専門家の先生が解説してくれるので勉強になる。(保護者の方)
・有名な先生にこんな近くで解説していただける機会は滅多にない。贅沢な時間だった。(保護者の方)
・もともと歴史・お城好きだったのが再燃した。(保護者の方)

小和田先生もお子さん方の熱心さと素直さに感心されていました。
熱心に聴いて質問してくれるので説明しがいがありました。見学会をきっかけに、将来お城の界隈で活躍してくれるようになると嬉しいですね。(小和田泰経先生)

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見学会終了後に質問するお子さんや、最後までしっかりメモを取るお子さん。頼もしいですね
 
最後に「お城が好きなのはもちろんだけれど、小和田泰経先生の大ファンだから参加した」というお子さんと先生のツーショットで今回のレポートを終わりにします。親子名城見学会は「親子」と銘打ってありますが、「親子」でなくても成人(18歳以上)の保護者の方とお子さんのペアでも参加できます。残念ながら今年の申込は締め切っておりますが、ご興味のある方は、ぜひ来年ご参加ください!

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先生のサインもいただいて満面の笑み!

親子名城見学会については、こちらをご覧ください。

執筆・画像/城びと編集部