熊本城の「いま」 第14回 熊本城特別公開第3弾!天守閣が完全復旧!

2016年4月に発生した平成28年熊本地震からおよそ5年が経過し、熊本城の天守閣全体の復旧が完了。いよいよ天守閣の内部公開が始まり、全面リニューアルした展示や、最上階からは復旧が進む熊本城を見わたせるようになります。コロナ禍で厳しい状況が続く今こそ、復旧が進む熊本城の姿が勇気づけてくれるはずです。※新型コロナウイルス感染拡大の影響により、公開が延期となっています。お城のホームページなどを確認の上、お出かけいただきますよう、お願いいたします。

熊本地震から3度目の特別公開

平成28年熊本地震によって、熊本城は50箇所の石垣が崩落し、国指定重要文化財建造物13棟すべてが被災するなど、甚大な被害を受けました。

熊本城、天守閣、加藤神社
最新の天守閣外観(加藤神社から)(写真提供:熊本城総合事務所

完全復旧までは約20年かかるとされますが、復旧する様子を見学できるように工夫され、訪れるたびに異なる姿を見せてくれています。

2019年10月には特別公開第1弾として、立入規制されていた区域の一部に入り、宇土櫓や天守閣の姿をより近くから観覧できるようになりました。「北ルート」とよばれ、日曜・祝日の限定ではありましたが、復興への第一歩を踏み出したのです。

▼特別公開第1弾はコチラをチェック!
「第12回 いよいよ10月5日にお披露目! 熊本城特別公開(第1弾)は復興の大きな一歩」

熊本城、特別公開第1弾
北ルートから望む宇土櫓。北ルートは、天守閣内部公開の開始後、原則として毎日公開となる(写真提供:熊本城総合事務所

2020年6月には第2弾として「特別見学通路(南ルート)」が公開され、熊本地震後に近づけなかった崩壊した石垣や、被災した建造物、熊本城の石垣でも特に有名な「二様(によう)の石垣」や本丸御殿の地下通路「闇(くらが)り通路」を間近から見学できるようになりました。

▼特別公開第2弾はコチラをチェック!
「第13回 熊本城特別公開第2弾!地上約6mから観覧する「令和の築城」」

熊本城、特別見学通路、南ルート
特別見学通路(南ルート)(写真提供:熊本城総合事務所

そして2021年、リニューアルを経た天守閣内部がいよいよ公開されます!(新型コロナウイルス感染拡大の影響により、公開が延期となっています)

生まれ変わった天守閣

熊本城、天守閣、天守閣前広場
最新の天守閣外観(天守閣前広場から)(写真提供:熊本城総合事務所

地上6階建ての天守閣内部は、展示が全面的にリニューアルされました。熊本城の天守の歴史に焦点を置き、「築城から西南戦争での焼失」「昭和35年(1960)の天守再建」の歴史が模型・映像などで分かりやすく解説されています。

今回はさらに「平成28年熊本地震での被災と復旧まで」というテーマが設定され、熊本地震によって刻まれた、熊本城の新たな歴史について理解を深めることができます。

熊本城、天守閣、天守軸組模型
1階には木造天守の構造がよく分かる、天守軸組模型が展示されている(写真提供:熊本城総合事務所

1階
1階のテーマは「加藤時代」です。熊本城を築き、「築城の名手」とよばれた加藤清正による築城の歴史が紹介されています。城とともに清正が力を入れた、河川改修による城下形成の変遷が、プロジェクションマッピングを使った展示により、見た目にも分かりやすく解説されています。

熊本城、天守閣、プロジェクションマッピング模型
1階のプロジェクションマッピング模型(写真提供:熊本城総合事務所

2階
2階は「細川時代」がテーマです。寛永9年(1632)、加藤清正の息子・加藤忠広が改易によって熊本城を離れると、豊前(福岡県)の小倉城から細川忠利が城主として移り、細川家の時代に入りました。細川時代の熊本城や城下の変遷について紹介されているほか、かつて天守に保管されていた甲冑や武具が展示されています。

熊本城、天守閣、甲冑や武具
2階に展示された細川時代の甲冑や武具(写真提供:熊本城総合事務所

天守閣に刻まれた熊本地震の歴史

3階
3階は「近代」をテーマとしています。明治時代以降に軍の管理下に置かれた熊本城の歴史と、西南戦争と天守の焼失、明治22年(1889)の熊本地震、昭和35年の天守再建までが映像などで紹介されています。

熊本城、天守閣、展示
3階の明治維新以降の熊本城に関する展示(写真提供:熊本城総合事務所

明治10年(1877)2月に起きた西南戦争で新政府軍と薩摩軍が争い、薩摩軍に攻められた熊本城は、50日あまりにもおよぶ籠城戦の舞台となりました。何度も苦難を乗り越えてきた熊本城の歴史が、よく分かる展示になっています。

4階
4階のテーマは「現代」です。天守閣が復旧に至る過程を説明した年表や、被災状況を再現した模型、復旧工事で採用された制震ダンパー(地震の被害を抑えるために、壁や柱などの接合部に設ける装置)などの設備が紹介されています。

熊本城、天守閣、展示
4階の平成28年熊本地震に関する展示(写真提供:熊本城総合事務所

さらに、熊本城の復興を目的に寄附をした「復興城主」の名前が表示される、デジタル芳名板が設置されています。「熊本城ミュージアムわくわく座」にも設置されていますが、実際に熊本城天守閣の中で、名前が表示されるのはうれしさも格別ですね。

熊本城、天守閣、デジタル芳名板
デジタル芳名板コーナー(写真提供:熊本城総合事務所

6階
6階(最上階)は展望フロアとなっており、復旧・復興が進む熊本城と熊本の街並みを一望できます。最上階から見ると復興の進捗だけでなく、いまだに残る熊本地震の痕跡もはっきりと見えます。復旧が進む喜びとともに、完全復旧までの道のりの長さを実感できるはずです。

熊本城、天守閣、最上階
最上階からの景観(現在)(写真提供:熊本城総合事務所

熊本城、天守閣、AR
最上階からの景観(AR)(写真提供:熊本城総合事務所

スマートフォンアプリのAR(拡張現実)機能を使って、明治5年(1872)に撮影された風景と現在の街の様子を重ねて比較できるのも、新たな試みです。専用のアプリをダウンロードすれば、スマホやタブレットによって古写真を重ねた眺望が楽しめます。

熊本城、天守閣、クロスダンパー
天守閣内のクロスダンパー(写真提供:熊本城総合事務所

1階から6階まで、加藤清正の築城から現在に至る、熊本城の歴史を体感することができる展示になっています。天守閣の内部には制振ダンパーが見えるように設置されているほか、エレベーターによるバリアフリー対応も万全であり、令和時代の城にふさわしい工夫が多く施されています。

入園券の事前購入も可能に!

熊本城、天守閣、Web販売
Web販売の告知イメージ(写真提供:熊本城総合事務所

天守閣の内部公開にともなって、入園券の事前購入も可能になります。これまで通り、当日に券売所で購入することもできますが、混雑を避けるためにWeb販売(事前販売)が開始されました。日時指定の熊本城特別公開入園券を購入すれば、人混みを回避して、じっくりと天守閣を見学できますね。
現在は特別公開入園券の受付を中止しています

また徹底した感染対策が実施され、受付時には「新型コロナウイルス接触確認アプリCOCOAのダウンロード」または、「調査票への回答」が必要になります。

▼詳細は熊本城特別公開公式サイトをご確認ください。

熊本地震の発生から約5年を経て、ついに完全復旧を果たした天守閣の公開をむかえます。コロナ禍で見学には難しい状況でもありますが、熊本城が復旧する姿は、勇気や希望を与えてくれるはずです。熊本城の復旧に思いを馳せ、落ち着きましたらぜひご来城ください。

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<基本情報>
熊本城特別公開第3弾 
期間:新型コロナウイルス感染拡大の影響により、公開を延期中。開始時期は熊本城ホームページでご確認ください。
TEL:096-223-5011(熊本城運営センター)
入園時間:9:00~17:00(最終入園16:30)
入園料:大人800円、小・中学生300円、(※未就学児、熊本市内の小・中学生、熊本市内在住で65歳以上は無料)

熊本城特別公開公式HP

執筆/藪内成基(やぶうちしげき)
国内・海外で年間100以上の城を訪ね、「城と旅」をテーマに執筆・撮影。『地図で旅する! 日本の名城』(JTBパブリッシング)や『「地形」と「戦術」で見る日本の城』(イースト・プレス)などを執筆。城めぐりツアー(クラブツーリズム)の監修・ガイドを務める。

※歴史的事実や城郭情報などは、各市町村など、自治体や城郭が発信している情報(パンフレット、自治体のWEBサイト等)を参考にしています。
※熊本城では、昭和35年(1960)に再建した天守を「天守閣」、明治10年(1877)に焼失する前のオリジナルの天守を「天守」として、表記を区別しています。

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