2022/01/29
お城EXPO 2021 徹底ガイド&レポート お城EXPOを楽しむヒントも!参加5回目の城びとアンバサダーが当日をレポート
2021年12月18日(土)・19日(日)に開催された「お城EXPO 2021」。お城EXPOへの参城歴なんと5回目!という城びとアンバサダーの「たけ◎曲輪衆」さんが、見どころ聞きどころ満載のお城EXPOの楽しみ方とともに、当日の模様をレポートします。
城びとアンバサダーのたけ◎曲輪衆です。お城EXPOも2021年で6回目。すでにお城ファン・お城関係者にとっては毎年恒例の大きなイベントになっています。私も5回目の参加ということで、お城EXPOの楽しみ方もだんだんとわかってきました。最初のころは行きたいブースや聞きたい厳選プログラムだらけで、いざ開城しても目に付くところを片っ端から回っていました。そして終わって思うのは、あそこも行きたかった、あれも聞きたかった、あの御城印・グッズを買いそびれた!とかそんなことばかり。
そこで今回は、そんな私なりの経験から踏まえた、お城EXPOの楽しみ方・攻略法などをからめて当日のレポートをしてみたいと思います。
お城EXPOは楽しみどころいっぱい!
厳選プログラムはオンライン視聴も活用
お城EXPOの大きな目玉が、専門家による講演「厳選プログラム」の数々。本来は会場でしか聴けない講演ですが、最近は「出張!お城EXPO」も含めて、コロナ渦の影響もあり厳選プログラムの一部をオンライン視聴できるようになりました。私は毎年どれも聴きたいと思うのに、他の行きたい所と重なったりして残念な思いをしていました。そこで今回は、会場で厳選プログラムをライブ楽しむ雰囲気に浸りたいのを我慢して、すべてオンライン視聴にし、その分空いた時間で会場を回ろうと決めていました。
と言っても、配信のないプログラムもあるので、気になったものはチェックしておかないと聴き逃してしまいます。私は小田原城天守閣の諏訪間順館長による『城から探る小田原合戦「土の城」小田原城と「石垣の城」石垣山城』を聴きに行き、お城EXPOが終わり家に帰ってからその他のプログラムをオンライン視聴。アーカイブで正月休みにガッツリ聴くことができました。ほんと、このオンライン視聴、使わない手はないですよ! どうせ聞くなら5公演すべてを。5500円ですからワンデイチケットを2日分買ったと思えばお得感ありです。
じっくり見たい、聞きたい観光情報ゾーン・出展ブース
やっぱり一番楽しいのは観光情報ゾーンの出展ブース巡り。毎年参加しているベテランブース勢も、今年初めて参加したブースも、どこも趣向を凝らした展示・PRを行っていました。常連ブースだと同じスタッフが来られていることも多く、1年ぶりにまたお会いしてお互いに覚えていたりとか、そんな嬉しいこともありました。
(左)初出展の岡山城ブース。今年11月のリニューアルオープンに向けて金と黒の忍者も奮闘中!(右)こちらも岡山県の初出展、備中松山城・津山城合同ブース
ブースに行くと御城印やお城グッズを購入したりお城のパンフレットや縄張図などをもらったりしますが、それだけではなくスタッフの方々とお話ししてみることをぜひお勧めします。ブースの中にいる方はそのお城や町のスペシャリスト。お城のことだけではなく、その町やおいしいお店など、いろんな話をしてくれます。ブースによっては学芸員の方が常駐しているところもありますので、マニアの方にぴったり。
(左)城下町物販ブースも大盛況。今年はアイデア凝らしたきれいな御城印帳が目立ちました (右)国宝五城ブースの巨大御城印は、一番人気の撮影スポット
そのほか、ブースにはこんな”楽しみどころ”もあります!
➡やはり「本物」はスゴイ!
出展ブースには、貴重な本物の資料が厳重な管理のもと展示されることがあります。今回私が目にしたのは、福山城ブース。なんと、昨年発見された、天守に使われていた鉄板を展示していました! 鍵付きのガラスケースに鎮座した鉄板の現物に驚いた方もいらっしゃったのではないでしょうか。興味深そうにのぞき込んでいた来城者が多くみられました。あと、「ふくい城巡りブース」には丸岡城の天守に使われていた石瓦がありました。こちらは実際に手で持つことができました。思ったよりも、見た目よりも重い!
(左)福山城の鉄板 (右)丸岡城の石瓦。どちらも実際に使われていた本物です!
「本物」といえば、お城EXPOではテーマ展示でも、歴史資料が展示・解説されます。毎回楽しみにしているお城ファンの方も多いでしょう。今年のテーマは「伝承する歴史-豊臣秀吉を中心に-」。江戸時代の数種類の太閤記が展示されていました。歴史はいつの時代も姿・形を変えながら伝承され、現代では映画・ドラマ・ゲーム・武将隊へと受け継がれて続いているのですね。
さらに、こちらも「本物」! 厳選プログラムやセミナーに登壇する先生方が、その合間に各ブースが気になるのか会場内を回っている姿をお見受けします。他にも、お城に関係した活動をしておられる著名人や、お城ファンなら誰でも知っている人気者にも出会えます。来城者から声をかけられ、気さくに記念撮影に応じる姿も。
※記念撮影の瞬間だけマスクを外していただいております
ご当地のマスコットキャラクターたちも熱心にPR!
(左)岸和田城のちきりくん (中)一乗谷城の朝倉ゆめまるくん (右)ひこにゃん
➡子どもが(大人も)楽しめる工夫がたくさん!
最近増えてきている子どものお城ファン。お城EXPOの会場でもお子様連れのご家族もたくさんいらっしゃいました。それに伴い?ブースも、子どもたちが楽しめる工夫を凝らした内容の展示も多くなりました。弓矢を使った的当てゲーム、射的、輪投げ、手裏剣投げ、カーリング方式の城攻めゲームなど、参加していた子どもたちも大はしゃぎ!
(左)丸岡城ブースの手裏剣投げ (右)彦根市ブースの城攻めゲームも大人気!ストーンで守備兵をはじき出す
お城好きな子どもといえば、忘れてはならないお城EXPO名物「小・中学生 城の自由研究コンテスト優秀作品展」。城びとアンバサダーの小城さんが詳しくレポートしているので、「小中学生の力作が勢ぞろい! 第20回「城の自由研究コンテスト」表彰式レポート」(https://shirobito.jp/article/1497)をご覧ください!
➡今年も大人気の御城印・御城印帳
関ヶ原町ブース。配布された松尾山御城印、徳川家康と石田三成の武将印は大人気!
今回もお城EXPO限定御城印が多くのブースで無料配布・販売され大人気。できるだけたくさんの限定御城印をゲットするには、やはり情報集めが大切! 城びとや各ブースの公式サイトなどには、お城EXPOでの御城印配布・販売の有無や、配布方法・時間・枚数が載っているところもありますので要チェックです。中には「詳細は当日」というブースもありますが、それも含めて御城印集めを楽しんじゃいましょう!
ブースを巡る順番で大切なのは、整理券を配布するブースや、ゲームやアンケートに記入してもらえるブースなど、自分で行かないとゲットできないところを優先すること。他のものは御城印を集めている城友(お城好き仲間)さんと手分けして購入するのも良い方法です。あとは2日間参加してみること。1日目に売切れや配布枚数終了でゲットできなくても、2日目分として別に用意しているところも多いので、2日目はそこを優先して狙いましょう。
今回ゲットした限定御城印
体験に勝るものなし!ワークショップ・セミナー
会場3階のEXPOサロンでは、各城郭関連団体によるワークショップやセミナーが行われていました。ワークショップ・セミナーに参加するには整理券が必要です。人気のものはすぐに定員に達するので、行きたいものがあれば朝一・午後一番で整理券のゲットをお勧めします。
ここでは私が参加した2つを紹介します。
1つ目はお城イラストレーター香川元太郎先生による「お城を描こう!」というワークショップ。前々回のお城EXPOからずっと気になっており、今回やっと整理券をゲットして参加できました。
会場内は定員いっぱいの満員です。今回は「戦国の障子堀と井楼櫓・小田原城をイメージ」というちょっとマニアックなテーマ。説明の後、先生が前もって引いているアタリ線をガイドに、さっそく実践。見本に忠実に描く人、少しアレンジして描く人、思い思いにイラストを書いていきます。実際に描いてみて思ったことは、香川先生のテクニックの凄さ。そして先生の細かいアドバイスを基に、小さいところにも気を付けて描いてみるとお城の見方も少し変わったように思えました。とても良い体験でした。
(左)香川先生の丁寧なご指導!(中央)左の写真のご兄弟で参加したお兄ちゃんの作品。先生のアタリ線以外にも櫓の窓・しゃちほこを追加。土塁を石垣に変更。さらにその石垣は野面積み・打ち込みハギ・切込ハギの3種類。堀の外側には土塁も追加するという大人顔負けの想像力!(右)は私の作品
もう1つは『凸版印刷(株)「ストリートミュージアム」5周年記念・千田嘉博氏の特別講演とメタバース城郭ツアー』。メタバースという時空を超えた仮想現実空間でのお城の新しい楽しみ方について、お城インスタグラマーKAORIさんをMCに、VRを使用した城郭ツアーが行われました。
メタバース空間で彦根城本丸を案内中のKAORIさんのアバター
ステージプログラムも忘れずに!
お城を多角的に楽しむには、ステージプログラムも見逃せません。特に情報を得たい目的のお城に武将隊などのPR隊がいれば彼らのステージと、さらに4階にある「お城シアター」で動画も上映されていればそれらとセットで見ることもお勧めします。
(左上)書家・こーたさんによる「お城EXPOオープニング書道パフォーマンス」 (右上)福井を全力でPRするふくい城巡りPR隊 (左下)うるま市の中高生たちにより代々受け継がれている現代版組踊「肝高の阿麻和利」。イベントステージは高校生・OGたちによりお城EXPOスペシャルバージョンで上演 (右下)沼田城(群馬県)をPRする上州真田武将隊の迫力の演武
まとめ
今回は前もって行くところや優先順位を決めて参加したので、前回よりたくさんのものを見たり、聞いたり、購入することができました。オンライン視聴を活用して時間も節約でき、より多くのブースをじっくり回ることもできました。そしてブース内の方といろんなことをお話しでき、とても楽しかったです。
お城EXPOも回を重ねるごとに、出展ブースの内容やワークショップ等、充実したものになってきています。お城の情報収集の場としても、年に1回、全国の城友さんたちとの交流の場としても、次回のお城EXPOが今から待ち遠しいです。
執筆・写真/たけ◎曲輪衆(小野雅章)