2018/09/26
城びとのイベントPICK UP! 【イベントレポート】西軍を勝利に導け!「関ヶ原の戦い」のたられば妄想を楽しむイベント開催
2018年9月15日(土)東京の神保町にて、小和田泰経先生と いなもとかおり による城びとのトーク&ワークショップイベントが行われました。この日のテーマは「関ヶ原の戦い」です! 西軍を勝利に導くためのキーパーソンとは? 明暗を分けたターニングポイントはどこだったのか? 泰経先生の丁寧な解説で、関ヶ原の謎が紐解かれました。そんなこの日のイベントの様子を、いなもとがレポートします。
「関ヶ原の戦い」をみっちりと語る!
気合い充分!さぁ、私たちと一緒に語り尽くしましょう
1600年の旧暦9月15日は、関ヶ原にて天下分け目の戦いが起こった日です。イベントが開催されたこの日の天候は、決戦日と同じ雨にもかかわらず、関ヶ原の戦いを語り合おうではないかと、ファンの方々にお集りいただきました。
この日のプログラムは、前半に小和田泰経先生による関ヶ原の戦い、そして本戦に至るまでの歴史解説。さらに後半はチームに分かれ、「どうしたら西軍が勝てたのか」をテーマにグループディスカッションをしました。約3時間半、関ヶ原の戦いをたっぷりと語り合いましたよ!
本戦に至るまで。明暗を変えた分岐点を探る
女性が多かったこの日のイベント。みなさん真剣です!
多くの日本人が知っている関ヶ原の戦いですが、本戦にいたるまでにはどのような歴史があったかご存知でしょうか。
泰経先生によると、関ヶ原の戦い決戦日に至るまでには大小約70の合戦があったそうです。例えば、前哨戦となる「杭瀬川の戦い」や、徳川秀忠軍が足止めを喰らった「第二次上田合戦」などが有名ですね。つまり、関ヶ原にいた東西軍の兵の数は、これが全てではなかったということです!
さらには、大坂城にいた西軍の総大将・毛利輝元が関ヶ原に出陣しなかったことや、戦上手といわれた西軍の立花宗茂や毛利秀包ら1万5千の兵が、大津城で戦っていたため本戦に参加できなかったことは、大きな打撃だったようです。ここにも勝敗を左右する分岐点があったようですね。
関ヶ原の本戦でキーパーソンを探ろう!
関ヶ原の地形と各軍の布陣が落とし込まれた図を見ながら、泰経先生によるポイント解説
3つの街道が交差する関ヶ原は、大坂、京都や西軍・石田三成の居城がある佐和山城へと家康軍を入れさせないための最終防衛ラインでした。
泰経先生によると、本戦におけるキーパーソンは、松尾山に陣を張った西軍の小早川秀秋。そして南宮山の麓にいた西軍の吉川広家だそうです。地形や陣形では西軍有利の状況だったものの、小早川秀秋は東軍へと寝返り、吉川広家のいる毛利軍は傍観するだけで戦わずに終わりました。兵力が大幅に減った結果、西軍が大敗を喫することになったのです。
関ヶ原の戦い布陣図や、大名ごとの石高について。さらには、泰経先生オリジナルの解説レジュメも。
みっちり70分間、泰経先生のわかりやすい解説を聞き「たられば妄想」の素材を集めた参加者の皆さん。今回も泰経先生と城びと編集部が作成した詳細な資料で、妄想をさらに逞しくするヒントをGETしました!
“2018年の関ヶ原の戦い”は、西軍を勝利に導こう!
真剣に考える現代の軍師たち
後半は、関ヶ原の戦いの本戦に限定し「どうしたら西軍が勝てたのか」をテーマに30分間のディスカッションタイムです。最年少9歳の男の子も参加し、軍師のような明察を披露してくれましたよ! また、女性の参加者も多く、和気あいあいとした団らんタイムとなりました。
たられば妄想に正解はありません。もしも携帯電話が使えていたら……。もしもドローンが開発されていたら……。なんて妄想もアリだと思います! おや、それスゴく面白いのでは?どなたか脚本をお願いします(笑)
いざ、発表タイムー!
4つのチームに分かれて、導き出した答えを発表
各チームの発表からは、豊臣秀頼の影武者を西軍の陣に置く、小早川秀秋を寝返らせないために西軍の総大将にする、小早川秀秋に東軍劣勢のニセ情報を送る、東軍・福島正則を西軍に寝返らせる……など、意見がありました! そして、その中から「優秀賞」に輝いたチームはコチラ。
<優秀賞に選ばれたチームの発表>
「長期戦へと持ち越し、攻めずに守る作戦!」
長期戦に持ち越すメリットは、大坂城や大津城で戦っている西軍の援軍を待ち、本陣を厚くできる点です。さらには、東軍に寝返った小早川軍や傍観していた毛利軍に西軍有利の状況を見せて、裏切れない状態をつくりだせると考えました。
泰経先生いわく、やはり家康も長期化することを避けたかったらしく、短期決戦での決着を狙っていたようですね。痛いところを突いた作戦です!
妄想は無限大!またお会いしましょう
泰経先生の「全部実行しちゃえば、どれかうまくいって西軍が勝てていたかもね」との一言に、会場は笑いに包まれました。妄想は、歴史の楽しみ方の一つです!もしも、関ヶ原の戦いで西軍が勝利していたら、その先の日本はどのような道を進んでいたのでしょうか。
もしかしたら、また戦国時代に戻って、慶長の築城ラッシュもものすごい数だったのかも……。そうしたら、天守以上の壮大な建物も誕生していたのかな?なんて、私は、よこしまな妄想をしてしまいました。
参加者アンケートでは「面白く刺激的だった」「妄想って楽しい」「真面目一本に考えるのかと思っていたが、けっこう笑いがとれた」などのご意見をいただきました! 城びとでは、これからもアットホームでわくわくするイベントを企画していきます。また次回のイベントでお会いしましょう。
執筆/いなもと かおり
お城マニア&観光ライター
29歳になる城マニア。國學院大學文学部史学科古代史専攻卒。19歳の時に、会津若松城に一目惚れしてから城の虜となる。訪城数は400ほど。国内旅行業務取扱管理者、日本城郭検定準1級、温泉ソムリエ、夜景鑑賞士2級の資格をもつ。メディア出演は、日本テレビ『ズームイン!!サタデー』、フジテレビ『おっかけのおっかけ』、BS日テレ『中川翔子のマニア☆まにある』など。