2021/09/28
映画『燃えよ剣』が迫る新選組の知られざるドラマ──最強の剣客集団が駆け抜けた動乱の幕末を描き切る
動乱の幕末に勇名を馳せた剣客集団・新選組を描いた司馬遼太郎のベストセラー小説を完全映画化! 公開延期を経て2021年10月15日(金)からいよいよ劇場公開されるスペクタクル・エンタテインメント超大作『燃えよ剣』の見どころを城びと編集部がいち早くご紹介します。
“最後のサムライ”土方歳三と同志たちの誇り高き戦いが熱い
折しも幕末から明治への時代の移り変わりを背景にした大河ドラマ『青天を衝け』がオンエア中の2021年、まさにタイムリーな形で劇場公開されることになった『燃えよ剣』。言わずと知れた司馬遼太郎のベストセラー小説が原作で、メガホンを握った原田眞人監督は十代の頃に読んですっかり虜となり、自身の代表作『関ヶ原』(こちらも原作は司馬遼太郎)と並んで長年映画化を熱望していたそうです。
物語は、伝説の剣客集団・新選組副長の土方歳三(岡田准一)が過去を回想する形でスタート。武州多摩の“バラガキ(ならず者)”で同郷の近藤勇(鈴木亮平)や沖田総司(山田涼介)らと共に剣の腕を磨いていた土方は、「武士になりたい」という熱い思いを胸に、過激浪士たちの悪行がはびこる京都の市中警護の務めに志願します。徳川幕府の後ろ盾のもと、芹沢鴨(伊藤英明)を局長に新選組が発足。土方が副長として類まれな手腕と厳しい法度で組織を統率し、新選組は倒幕派勢力の制圧に大活躍します。
新選組が存在したのは、文久3年(1863)から明治2年(1869)までのわずか6年。本作ではこの短くも波乱万丈な6年間を、池田屋事件や戊辰戦争など新選組を語る上で欠かせない主要なエピソードを網羅しつつ、堅い絆で結ばれた同志たちの連帯感と生きざまを熱く描いています。その軸となるのは、幕末から明治へと時代が移って既存の秩序やモラルが変革されていく中、剣の道に生きる信念と男の筋を貫き続ける土方。“最後のサムライ”というべき不器用な愚直さは、岡田准一(自身がMCを務める番組で土方を取り上げた際に「いつかこの人物を演じるかもしれない」と運命的に思ったのだとか)のカリスマ性豊かな熱演と相まって、混乱の最中にある現代に生きる私たちも「こうありたい」という共感と憧れを抱かずにいられません。
他にも新選組のメインメンバーとして、実直を絵に描いたようなリーダー・近藤を鈴木亮平、清々しく穏やかな美男剣士・沖田を山田涼介、ギラギラした粗暴な豪傑・芹沢を伊藤英明がそれぞれ男気満点に好演。さらに、京都守護職として新選組の身を預かる会津藩藩主・松平容保に尾上右近、容保に京都守護職を命じる15代将軍・徳川慶喜に山田裕貴、そして土方と真剣な恋模様を紡ぐ庶民の絵師・お雪に柴咲コウなど名優たちが脇を彩り、人間味豊かな群像模様を通じてダイナミックな時代のうねりを体感させてくれます。
新選組史上最も有名な池田屋を完全再現!世界遺産や国宝級建造物での撮影も
土方は「局中法度」と呼ばれるルールで新選組内部にも厳しく目を光らせ、違反者には容赦なく切腹を命じた
本格的時代劇である本作の見どころは人間ドラマだけではありません。原田監督は様々な文献を調べる中で「新選組のトレードマークであるダンダラの羽織を、近藤や土方ら幹部クラスは一度も着なかった。新選組は黒の集団だった」という説を取り入れ、黒い制服を新選組の衣装に起用。さらに見せ場となる殺陣のシーンでは、原田監督が「超一流の武芸者が俳優のふりをしているような人」と形容する岡田准一が剣技の構築・指導を担当し、これまでの新選組モノとは一線を画すリアリティと迫力に満ちた作品に仕上がっています。
さらに作品のリアリティに大きな貢献を果たしたのが、撮影のロケーションです。世界遺産の二条城(京都府)や東本願寺大寝殿(大政奉還のシーン)、国宝の石清水八幡宮(土方と芹沢が参道で剣を交えるシーン)、重要文化財である新選組発祥の寺・金戒光明寺など「本当に撮影できたの?」と驚くような場所でロケを敢行。なお、新選組の最後の決戦となった「五稜郭の戦い」は、五稜郭(北海道)の高台という設定にピッタリな高石垣を誇る津山城(岡山県)で撮影されているのでお城好きは要チェックです!
また、池田屋事件の舞台となった池田屋は宮大工によって完全再現! 史実では池田屋で1時間弱にも渡って斬り合いが繰り広げられたそうですが、狭い家屋ゆえ刀を大きく振ることができず、突きが中心だったそうです。当時さながら再現された池田屋の空間は、見た目のリアルさだけでなくそうしたジリジリとした緊張感を見事につくり出しています。
監督、俳優、美術…あらゆるスタッフが情熱と技量を惜しみなく注ぎ、歴史スペクタクル超大作といえる力作に仕上がった『燃えよ剣』。その迫力とスケール、そして剣を手に命を燃やした男たちの熱い生きざまを、ぜひ映画館の大きなスクリーンで体感してください。
<作品情報>
『燃えよ剣』
監督・脚本:原田眞人
出演:岡田准一、柴咲コウ、鈴木亮平、山田涼介ほか
配給:東宝 アスミック・エース
2021年10月15日(金)公開
© 2021 「燃えよ剣」製作委員会
執筆:城びと編集部